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第1節 モンテディオ山形戦

 こんにちは、私です。
 期待大で迎えた開幕戦は山形を相手に2-3で敗戦。前半は特に守備面では良い内容で1-0で折り返すも、後半は背後を狙われ54分、60分と立て続けに失点を喫してしまいました。終盤は盛り返すも追いつくことができず。開幕戦を勝利することができませんでした。一体いつになったら山形に勝てるのでしょうか…。

J2リーグ 第1節
ジェフユナイテッド千葉 2-3 モンテディオ山形

スタメン

・嵌ったプレスと狙われたSB裏

 前半序盤は山形のビルドアップに対してハイプレスで応戦。このハイプレスが嵌って高い位置でボールを奪うシーンを作れていました。特にジェフの右サイドは連動性が高く、右サイドで奪うことが多かった印象です。ただ、時間が経つにつれてミドルブロックを組みような形になり、CBからのパスをスイッチにプレスを開始していました。
 後半になると山形がジェフDFの背後にボールを送ることが多くなり、プレスが無効化されるように。特に日高の背後のところは前半から狙われていて、ここからチャンスを多く作られてしまいました。この試合は背後に蹴られた時の対応に課題が残る一戦となりました。

①ハイプレスとミドルブロック

 前半はハイプレスで嵌めて高い位置でボールを奪うシーンを作り、特に右サイドのプレスの連動性は良かった。

 山形は後方から組み立てる時に髙江がアンカーのように振る舞い、南が風間と田中の間に立ち位置を取ってきました。南がこの位置を取ることで田口を引っ張り出して、スペースができた中盤を後藤などが使って突破力のあるサイドに展開するイメージがあったと思います。
 ジェフはCBにはある程度持たせることが多く、上の図のように小森風間で中盤へのパスコースを消しながら状況によってはCBに寄せていき、サイドに誘導。

 SBに入ったところで田中がプレスのスイッチを入れてハイプレス開始。それに連動するような形で後方もマークにつき、ここで嵌めるシーンを何度か作れていました。

 山形がDFラインを経由して逆サイドに展開する際に、CBに対してSHの田中が寄せに行くようなシーンもあり、この田中のプレスに連動して髙橋がSBへのマークにズレて、DFラインもスライド。対峙する相手よりも奥の相手にプレスをかけに行くことをジェフでは「ジャンプ」と呼んでいますが、田中のジャンプに連動して、後方の選手もスライドがしっかりできており、右サイドの守備での連動性はとても良かったように思います。
 前半中盤からミドルゾーンで構えることが多くなりました。小林監督は試合後に、

自分たちは常に、前掛かりになれるならそうしたいというところがあって。ただ、僕自身が見ていても、スカウティングにおいてもそうですが、選手たちの立ち位置を見ても「自分たちが前掛かりになれる瞬間を待っている」という雰囲気があったので。やっぱりそれは、選手たちの肌感覚を尊重したいと思っています。その中で、選手が「これは(前掛かりになるのが)難しい」と判断したのであれば、それを尊重したい。

とコメントしています。では、どういうところから選手たちは前から行けないと感じたのか。それは山形のGKが絡むビルドアップとSB裏への警戒だと思います。
 山形のビルドアップは後ろが3枚になるパターンのとGKがDFラインと近いところで繋ぎに関わる2パターンがありました。

 後方3枚のビルドアップに対しては右サイドのプレスの連動性が良く、相手の配置が変わっても対応することができていました。

 前半途中からの山形はGK+CB+DMの5人で組み立てる時間が多くなりました。これに対してジェフは小森田中の2トップで見る形になったため、前線からプレスをかけにくくなりました。CBにプレスをかけてもGKに戻され、やり直されてしまう。これが前から追わなくなった要因の一つです。
 また、日高の背後にシンプルにロングボールを送られることが多く、これを警戒したことも前から追わなくなった要因だと思います。

 山形は上の図のように日高の背後にロングボールを送ってくることが多く、このボールに対してイサカに加えて後藤も絡んできて起点を作られることが前半から何度か見られました。特に日高とメンデスの間を突いて流れてくる後藤の動きへの対応は難しくかったように思います。また、日高はイサカにピン止めされる状態になることが多く、なかなか前に出れなかった。こうしたシンプルなロングボールへの警戒とイサカにピン止めされたことで日高が前へジャンプすべきところでできなかったのが44分のプレスを剥がされて、前進されたシーンです。
 このシーンは本来なら相手のSBまで日高はプレスをかけていたはず(サイドチェンジされる前に逆サイドの髙橋がジャンプしている状態なので状況的に厳しかったかもしれないが…)。結果的に横山がSBへとプレスをかけて中盤はスカスカになり、そのスペースを後藤に使われて前進されてしまいました。イサカにピン止めされているため日高は前に出れず。DFラインがロングボールを警戒したことで後藤を潰せず。こうした状況もあってなかなか前からプレスをかけることができず、結果的にミドルゾーンで構えることが多くなりました。
 ただ、このミドルゾーンで構えてCBに持たせるという判断は状況を考えると良い判断だったと思いますし、これによって前半は山形にチャンスを作らせなかった。前半は守備に関しては良かった印象です。

②SB裏をより狙われた後半

 後半は前半に比べて日高の背後にロングボールを送られることが増え、サイドで起点を作られることが多くなってしまいました。上で述べた後藤のサイドに流れる動きに手を焼き、チャンスを多く作られてしまいました。また、相手のロングボールを回収してもその後の繋ぎですぐに取られたり、はっくりとクリアできず、押し込まれる時間が続いてしまいました。
 今後も同じようにDFラインの背後を狙われることは多くなるでしょうし、対策していかなければいけません。この2CBのコンビだと背後にボールを送られて走力勝負となるとなかなか厳しいようにも思います…。また、ロングボールを回収した後のプレーも無理して繋がず、スペースがないならもっとはっきりとクリアすべきです。

・奪った後の姿勢と繋ぎの問題点

 守備に関しては前半良く対応できていたと思いますが、攻撃に関しては物足りないデキでした。小林監督がコメントしていましたが、奪った後の姿勢は良くなく、奪ってカウンターに行くシーンを増やしたかった。かといっていけない状況で前に急ぐのも良くない。この判断の質を上げていかなければいけません。ビルドアップに関しても良かったとは言えず。田口がマークにつかれた状態で受けることが多く、かなりしんどそうでした。ただ、CBが運んで相手を引き付けるシーンが増えたのは良いところ。メンデスは結構良かったと思います。

①足りなかった前への意識

ブロックを組んで守る時間があった中で、それほど大きな破綻もなかった状況で、やっぱり、ボールを引っ掛けたら前に出るということはもっと徹底的にやらなきゃいけなかったと。でも、ボールを奪って、少し難しい体勢だったらセンターバックにバックパス、さらにGKへというパスが多かった。今日の試合のGKへのバックパスの多さを考えると、そこは絶対に改善しなければならないと。僕たちはそもそもそんなサッカーをやろうとしていないので、その部分は大いに反省しなければならないと思っています。

 小林監督のコメントの通り、確かに奪った後に前に出て行くというシーンは少なかった印象で、バックパスを選択することが多かった。かといって、遅攻で前進できたかというとそういうわけでもなく、背後を狙うも繋がらないシーンが多かった。
 私は「前に急ぎすぎてオープンな展開を作り出してしまっている」とよく書いてきましたが、行ける時は行くべきだと考えています。奪った後、前にスペースがある状態でトランジション速く、勢いを持って前に出ていけることがジェフの強みであり、行けないのにその判断を間違えた時が前に急ぎ過ぎるというジェフの弱みだと思います。要するにジェフの前への勢いというのは強みにもなるし、判断を間違えれば弱みにもなるということです。
 この試合ではジェフの強みの部分での前への勢いという点に関してはあまり出すことができず、逆に前にスペースがないのに急いでしまったことで2失点目に繋がってしまいました。奪ったところでもっと前線が駆け引きしてボールを引き出さなければいけなかったと思いますし、失点シーンのようにならないためにももっと判断の質を上げていかなければいけません。

②後方での繋ぎ

 後方での繋ぎも上手くいっていたとは言えず、山形のプレスに苦戦していた印象です。

 山形は守備時4-4-1-1の形になり、FWがサイドを切りながら寄せて、田口に対してはトップ下に入った後藤がマークについて田口へのパスコースを消しにきました。SBに入ったところに対しても山形のSHがしっかりとプレスをかけにきていて、ジェフは後方から繋いで前進できず。

 田口が後藤に捕まり中盤のパスコースがない状態だったため、もっと横山が低い位置を取ってCBのサポートができれば、相手のプレスを交わすことができたと思います。横山に対して相手のボランチがマークについていましたが、低い位置を取る横山に対してついていってしまうと中盤が空き、小森がそのスペースを使えるようになるため、マークにつきにくい。そのため、低い位置を取れば横山は容易に受けることができ、相手のプレスを交わして展開することができたはず。

複雑な図ですみません(笑)

 もしイサカが低い位置の横山に対してマークについたら、メンデスや日高が空いて、GKなどを経由して逆サイドに展開すれば、一気に前進することができます。
 柏戦に比べて横山が低い位置でビルドアップに関わることが増えましたが、CBからのパスコースを確保するためにも、低い位置を取ってもっとサポートする必要があります。

 メンデスが持った時も同様で、低い位置でサポートしてパスコースを作らなければいけません。この時にボールホルダーに対峙する相手の斜め後ろに立つことでパスコースを2つ以上作ることができます。こうしたサポートを中盤の選手が増やしていくことで現状よりもビルドアップは改善されるのかなと思います。
 また、CBの相手を釣り出す動きは以前よりも増えているように感じました。

 何回も書いていますが、CBが運んで相手を釣り出すことで受け手に時間とスペースを与えることができます。この試合では運び出すシーンが多かった印象です。特にメンデスに関しては運んで相手を釣り出し、コースを読まれにくいようなパスを出していて良かったです。大輔も運ぶシーンはありましたが、対峙する相手と正対できていないことが多く、ここはこれからも課題になるでしょう。

・もったいない2失点目

 2失点目は大輔が繋ごうとするも相手に奪われクロスから失点。この失点はとても勿体なく、繋ぐかクリアかの判断ミスさえしなければ起こらなかったものでした。

 大輔がクロスをカットして、前のドゥドゥへと繋ごうとしますが、この判断が良くなかった。ドゥドゥにマークが2人ついている状態で、キープするにはかなり厳しい状況。また、配置が整っていないため仮にドゥドゥが競り勝てたとしてもセカンドボールを回収できる選手がいません。攻撃をするために前に早くボールを送ったことでロストしてしまいました。ここではシンプルに大きくクリアをしてプレーを切るのがベストな選択だったと思います。この状況で繋ぐという判断自体が良くなかったです。

 また、後藤に対して日高が食いついてしまったのも良い守備とは言えず。
後藤に対しては田口が寄せるべきで、サイドの選手を捨ててまで日高が行く必要はなかったと思います。

 結果的にサイドのイサカに繋がれ、日高が食いついてしまったことでイサカに時間とスペースをプレゼント。質の高いクロスボールを送られてしまいました。

 日高は55分にも自分の守るべきエリアを捨てて中央の選手に食いついてしまっており、これが山形の決定機に繋がってしまっています。こうした守備対応は減らしていかなければいけません。
 2失点目は守備対応も悪かったですが、繋がずに大きくクリアしてプレーを切っていればば起こらなかったものです。受け手にスペースがない・配置が整っていない状況であるのにも関わらず、攻撃へと転じるために前に早くボールを送った結果、ボールロストをしてしまいこれが失点に繋がってしまいました。
 このシーン自体はクリアしてプレーを切るのが正解ですが、ジェフはこうした配置が整っていないもしくは受け手にスペースがない状態で前へ早くボールを送ってしまうことが多く、これがオープンな展開を生み出してしまっています。前への勢いはジェフの強みでもありますが、前に急ぐべきか落ちつかせるべきかの判断の質を上げていかないと勝てる試合も落としてしまいます。非常に難しい判断ですが、この判断を安定して間違えずに行うことができれば、チームの目標である優勝に大きく近づくはずです。

・最後に

 前半は山形にチャンスをほとんど作らせない良い内容だっただけに勿体ない試合でした。攻撃に関してはカウンターのシーンがあまり見られずもっと前に出て行く動きが欲しいところ。かといって落ち着かせるべきところで前に急ぐのも良くない。この判断の質を上げていくことが優勝に向けた重要なポイントになってきそうですね。
 次は藤枝戦です。優勝のためにも連敗は絶対に避けなければいけません。勝って鹿児島へと向かいましょう!

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