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Visual Thinking Strategies 013

この絵を見て最初の10秒で何を感じたか

助けて、助けて、助けて。
絶体絶命。
僅かな希望。

  ---以降はじっくり絵を観ながら---

描かれている事実は?(客観的事実:Objective fact)

絵の中に描かれているのが「客観的な」事実なのかどう判断すればいいのか、迷います。僕の好きな映画で「ライフ・オブ・パイ」というのがあるけれど、その物語で登場するトラやオランウータンは「象徴」として描かれている側面があります。そう思うと、これは事実として描かれているのか、事実として見せておいて実は何かを象徴しているのか、とても迷ってしまうのが正直なところ。ガリバー旅行記は冒険の物語と思われているけれど、当時の政治の腐敗を風刺した物語でした。下手すれば処刑されてしまうから、巧妙にメタファーを仕込み、物語として成立させたようです。

前置きはこれくらいにして、僕なりの客観的事実を並べるならば、こうなります。

・荒波
・人々(旗のようなものを掴んでふっている人、それを見る人、死んでいる人)
・壊れかけの舟

絵の中で何が起こっているか、物語をつくるならば

何かを求めて、舟に乗り込む人がいる。
ふとり、ふたり、いや、もっと大勢。
何から逃げる人、何かを求める人、何かに飢えている人。
そんなそれぞれの事情を抱えた人たちが一つの舟に乗り込む。
穏やかな気候の中、舟を進める。
すると黒い雲が。
雲行きが怪しくなり、波が荒れ始める。
荒波に耐えられず、舟は壊れ始まる。
食料が尽き、何人かは死に絶える。
そんな絶望的な状況の中、遠くに何かが見える。
もしかしたら助かるかもしれない。
僅かな希望をいだいて布を振り回す。
しかし、希望は届かない。
波はどんどん高くなる。
やがて舟は沈み始める。

上記からこの後に何が起こると予測できるか?

本当に勝手な予測ですが、赤い布のこちらを向いているおじさん、この人だけが生き残り、他は全員死ぬというのが僕の予想です。この人だけが、諦めているように見えます。遠くに舟みたいなのが見える、助けてもらえるかもと期待して、こちらを見つけてくれなかったときの精神的疲労。見つけてほしいがために必死に身体を動かす身体的疲労。このおじさん以外の人たちには両方の疲労がたまっていくように見えますが、このおじさんは無駄な動きが一切ない。期待もしないし、動きもしない。下手すれば、抱えている死体を食べてしまいそうな、そんな風にもみえます。こういう図太い人(といったら失礼かもしれません)が生き残るのではないかと推測します。

**どのような感情、感覚(あれば教訓)が浮かんだか? **

とにかくあの赤い布を頭にのせたおじさんの存在感がとても大きく感じます。なんだろう、この余裕さは。諦めなのか、一番生きることに貪欲なのか、この人からは何か放っておけないオーラを感じます。

観察眼を鍛えるアート鑑賞法:VTS

今回はミルキクさんのお題でVTSをやってみました。
これ、皆でやると「え、そんな見方あったの??」という新しい発見がたくさんあるので、本当に面白いです。コメント見てるだけでも十分面白いですが、やってみるともっと面白いので、興味ある方は是非ミルキクさんのnoteでコメントをしてみては。


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