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「新しい資本主義」のアカウンティング-「利益」に囚われた成熟経済社会のアポリア (著・スズキ トモさん)

こちらのツイートをきっかけに買ってみました。

まだ読んでいる途中です。

ビジネスが「利益」を追求しなければ成立しないという命題は一般に信じられているよりも真ではない。「利益」ではなく、高い「付加価値」を獲得し、適正に分配しつづけることが、今後の持続的な発展のための条件である可能性を示唆している。

第4勝 DS経営・経済モデル「付加価値分配計算書」の活用 151頁

会計上の従来の「利益」を中心にした決算書ではなく、会社が創り出した「付加価値」をどう配分するかを示す(配分=Distribution としているので)「DS計算書」を提言されています。興味深い提言、上場会社でチャレンジしてくれる会社はないものか、と思いました。

青野さん、 #サイボウズ  さんならあり得る?なんてことも。

まだなんだかモヤモヤしているのも確かなんですが、80頁で示されている「ワニの口」「株式市場の逆機能」はそうなんか、そうなのかもしれないな、と感じます。

DS経営の意義の一つとして、効果的・効率的なガバナンスの再生が挙げられています。

投資の対象が、株式に限られず、例えば暗号資産や劣後ローン等の証券化・デジタル化された資産・負債に拡大され、情報技術の発達がそれらを高速かつ低価格で売買することを可能にし、しかも24時間、ボーダーレスで取引される市場で、投資家・株主に中長期的な事業価値を高めるモニタリングやガバナンス機能を期待すことは困難である。

 還元すれば、投資家には「金融資産としての会社」を中長期的にモニタリングしガバナンスを効かせるインセンディブがない(少なくとも逓減していく)。

「高い付加価値」を創出できていないなら、現金を貯め込んでいるなら、掃き出して効率を上げるべきだ、その種の議論はたくさんあります。実際、僕も確かに投資家としてそうした議論に関わっているという自覚があります。では、それで還元された資金をどうするのか、別の「高い付加価値」を創る主体に再投資すべきなんですが、現在のような「利益」一辺倒、PL一辺倒の考え方で支配されていると、そんな新しい主体に出会えるのか、という疑問は以前からぼんやりと持っていました。もちろん、果敢に投資する会社もあります。でも、大きな会社になればなるほど、関係者も多くなるもの。そんな会社が短期の利益、PL度外視、株主還元を減らしたって利益が減ったって未来に先行投資するんや!と腹の底から割り切った会社は珍しい存在ですものね。

「高い付加価値」を創り出そうと日々挑戦している会社なら、短期的な株主還元よりもより長期の目線での投資(もちろん、それは精緻な分析等をもとにした洞察がベースにあるべきですが)を優先してもらいたい、と僕は考えています。

モヤモヤがまだまだ残っています。分配(Distribution) というより 配分(Allocation)のようにも思えたり。配ることそのものは大切だけど、本当に重要なのは何にいくら、どれくらいを決めることが大事なのでは、とか。

一つ言えるのは #新しい資本主義  ってどういうことを意図しているのか、は理解が深まりました。未来、長期思考での価値創造を目指した概念だと感じました。

#お金のむこうに人がいる  にもつながっている。そんなことも。


この本の内容そのものに、どこかモヤモヤというか整理がつかないというかがあるのですが、そこから派生してよりモヤモヤが強くなっていることもあります。

それは、つみたてNISAやiDeCo の税制優遇を増やしたらどうか!という議論です。結構なことだ、実現してほしいな、なんて思ったりもするわけですが。

今のつみたてNISAで人気らしい投資対象を考えるとモヤモヤが強まるのです。

つみたてNISA、iDeCo 拡充に対するモヤモヤ

これらの制度で、目下、たくさんの支持を集めている投資対象は、

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