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トラックレコード? ロジック? ヒト? アバントさんのCreative Dialog からの「学び」「発見」

こちらのツイートが出会いのきっかけです。

#アバント さんのこちらの3つのダイアローグがとても素晴らしい内容でした。

最初のダイアローグが #昭和電工  の高橋さん。

昭和電工・高橋さん

6年前の時点では、 キャッシュはまずまず生み出せていたのですが明確な成長事業の柱が無いために有望な投資先がありませんでした。本来こうした場合は企業価値という観点では株主還元にキャッシュを充てるべきなのですが、当時は多くの事業で、生んだキャッシュは成長性にかかわらずその事業部内で再投資されていました。そのなかでまず第一手として黒鉛電極事業で大手のドイツ企業を買収した後に、市況に応じて業績が急回復し全社のバランスシートを改善できたことで、成長事業への本格的な投資準備が整いました。

https://www.avantcorp.com/ir/ir_library/integratedreport/2021/creative_dailog/creative_dailog1.html

当時は多くの事業で、生んだキャッシュは成長性にかかわらずその事業部内で再投資されていました。」 資本配分をどうするか、どうしていたか、ですね。

昭和電工さんの業績推移です。

売上高(右)、売上総利益・営業利益・当期純利益(左)

「市況の回復」というのは2017年12月期、2018年12月期と推測されます。

バランスシートは2020年12月期末で規模がドーンと大きくなっています。

日立化成の買収のチャンスが巡ってきたのはちょうどこのタイミングだったのです。この2020年の買収によって成長ドライバーを得て、従来の事業で得たキャッシュを、半導体材料をはじめとした日立化成の成長性と競争力の高い事業に投資していく全体最適のポートフォリオをつくることができました。企業価値を高めるためには、獲得したキャッシュを何に使うかが最も大切であり、それを株主目線で考えられるのが企業価値を真剣に考えている経営者だと私は思います。

「企業価値を高めるためには、獲得したキャッシュを何に使うかが最も大切であり、それを株主目線で考えられるのが企業価値を真剣に考えている経営者だと私は思います。」

収益性がどうなっていくのか、注目されます。

決算説明資料からです。

https://www.sdk.co.jp/assets/files/ir/library/pdf_presentation/setsumei2021-4q.pdf

事業から創出されるキャッシュをどのように配分するか、が示されています。そうした配分により、下記のような状態を実現させると目標を説明されています。

良い会社、あるいは世界で戦える一流の会社というのは社会に貢献しなければいけないし、サステナビリティも追求しなければいけません。ところがそういったクオリティは、儲かっていてこそ生み出されるものなのだと思います。社会貢献もサステナビリティもお金がかかるので、今や儲からない企業は良い企業になれないのです。

当社は日立化成の買収の後、バランスシートを健全化させるために6つの事業売却に加えて公募増資も行ったのですが、その際に海外の投資家とも直接対話しました。彼らの思考はすごく真っ当で、市場が求めていることを再認識することができました。経営チームの信頼、言ったことを守って実行しているかというSay Doレシオ、そして数字のトラックレコード、この3つを資本市場に示していかないと、本当に優良な投資家には買っていただけないんだなとつくづく感じました。

とても読み応えのあるダイアローグでした。

昭和電工さんの市場の評価です。

https://finance.yahoo.co.jp/quote/4004.T

ダイアローグのお二人目は楠木建さん。

楠木さん

長い間考えてきた末に私が出した結論は、企業の経営者は長期利益だけを考えれば良いということです。ずっと儲かるためにはどうすればいいのかを真剣に突き詰めれば、結果的にほかも全部ついてくるんです。

https://www.avantcorp.com/ir/ir_library/integratedreport/2021/creative_dailog/creative_dailog2.html

今、渋沢栄一が改めて注目されています。資本主義の暴走を抑止するために論語のような道徳が大切だと捉えられたりもしていますが、実際は違います。彼が『論語と算盤』で言っていることは「道徳的であればあるほど儲かる」ということなんです。原動力は私欲でも、時間軸を長期でとれば、全てのコンフリクトが解けてトレードオンになる。要するに時間軸の取り方に帰結するわけです。

要するに時間軸の取り方に帰結するわけです。

リスクを取ることは経営者ならではの仕事です。これにしても長期視点に立たなければできないことです。人間にとってはリスク回避が自然です。組織がリスクを取るには正当性が必要になります。この正当性の獲得に経営者の力量が現れます。私がお会いしてきたなかでも優れた経営者は、周りから見れば驚くようなリスクを取っています。ただ本人にしてみれば、長期的には、社会に必ず必要とされて成功するという論理的な確信があるので平気なんです。

優れた経営者は、社会全般が将来どうなるのかというより、自分自身が将来達成したいことやなりたい姿という内発的な意志からバックキャストしている印象があります。

自分自身が将来達成したいことやなりたい姿という内発的な意志

個人投資家も「自分の家計」を会社と見立てれば経営者でしょう。こうありたいという「内発的な意志」は実は大事な要素だと感じました。

ダイアローグのトリは #みさき投資  の中神さん。

みさき投資・中神さん

実はこれはあくまでも経営が登るべき階段の一、二段目に過ぎず、そのさらに一段上の『創造』が大事。でもそこに経営者が上ろうとすると、大抵の投資家はその不確実性を嫌って大反対する。

https://www.avantcorp.com/ir/ir_library/integratedreport/2021/creative_dailog/creative_dailog3.html

『創造』のフェーズで本当に経営者と一緒にリスクテイクができているのかと自問すれば、未だ良い仕事ができているとは言えない、というのが正直な答えなんです。

大多数の投資家は『創造』のフェーズには付いてきません。しかし、ごく少数ではありますが、むしろそこを重視する投資家も一定数存在します。

投資家としての構え、考えさせられます。
そこで中神さんがご説明されたのが、アセットオーナーの3つのレイヤー。

基本的に投資候補ファンドのトラックレコードを頼りに投資します。過去の運用成績を根拠に、今後も良い運用パフォーマンスを出すだろうと考えるわけです。特徴としては、資金を入れてくれやすい一方で、上手くいかないと判断すればすぐに引き揚げていきます。そして投資金額も比較的少額です。

トラックレコードを見ている投資家。運用成績・パフォーマンス重視で判断する人たち。個別の会社に置き換えると、業績やそれに付けられた市場の評価(株価)を見ている、ってことになりましょうか。

ロジック、あるいは「投資戦略」を見極めて投資します。ファンド経営者のロジックが合理的で、外部環境のなかできちんとワークしそうかという観点を重視します。このレイヤーのアセットオーナーは納得してくれるまでなかなか投資してくれませんが、納得すればじっくりと中長期で投資してくれます。金額も、最初のレイヤーと比べてかなり大きくなります。

ロジックを見ている投資家。投資基準やプロセス重視で判断する人たち。個別の会社に置き換えると、ビジネスモデルや参入障壁の強さ、ユニークさを見ている、ってことになりましょうか。

要するに、私自身の人生とか内的動機の強さに関する質問が大半を占めるんです。結構しどろもどろになるんですよね。そういう経験を何度かして、自分はこのような人たちの投資を受けるに相応しい人間なのかをすごく考えさせられました。そしてこれがまた興味深いことに、このレイヤーに過去最も高いパフォーマンスを上げたアセットオーナーが存在するのですね。過去実績よりもロジック、ロジックよりもヒトに賭けるアセットオーナーの方が長期で見ればパフォーマンスが高いのか、と。

ヒトを見ている投資家。資本を託す人、チームがどんな人たちなのか、を重視して判断する人たち。個別の会社に置き換えると、なぜその会社が存在する意義があるのか、今風に言えばパーパスでしょうか、そして、危機でどんな風に処してきたかその歴史を見ている、ってことになりましょうか。

超零細な個人投資家ですけれど、僕も「ヒト」の点は重視しているつもりです。結果どうこうよりも、自分で納得できるか、を大切にしているんだと思います。
このチームにお願いしたい、託したい、このファンドがスキなんだ。ってことを。

中神さんは みさき投資 の最新のNewsletterでもこの3つのレイヤーのお話をされていました。

私が投資業界に足を踏み入れて感じたのは、実はアセットオーナーには3つのタイプがあるということです。  

一つ目は、ファンドマネージャーの“実績”に賭ける方々、これが最も数が多いです。過去のパフォーマンスが良いところに投資する方々ですね。  
二つ目は、運用戦略の“ロジック”に賭ける方々、この二つ目の時点で数は相当少なくなります。  
そして三つ目は、”人に賭ける”方。こういう方はなかなかいらっしゃらないのですが、「お前は、なぜこのような運用・投資をしたいと思っているのか?」、と内的動機を根掘り葉掘り問うてくるアセットオーナーです。  

このような方にお会いすると、例えば逆境の時にへこたれないか、順境の時に傲慢にならないか、という人間の強さみたいなものを問われているような気がして恐ろしいんですよ。

ダイアローグに戻ります。

投資先企業に向き合うなかで感じるのが、日本の会社は管理会計が弱いということです。変わる前に、「見えて」いない。だから改革ができないんです。製品ポートフォリオ一つとってみても、何がどれくらい儲かっているか、さらには顧客別・地域別の事業ポートフォリオがどうなっているかなど、把握できていない企業は多いです。

「見えて」いない。だから改革ができない

なるほど、と頷きました。

3つのダイアローグ、たくさんの「学び」「発見」を得ることが出来ました!

こんな素晴らしい機会を提供してくださった、 #アバント  さん。

こちらもちょこっと眺めてみました。

アバントさんをちょこっと眺めてみました

業績推移です。

売上高(右)、営業利益・当期純利益(左)


成長性、収益性ともにイイですね。

バランスシートもガッチリしている印象です。

自分自身が上場企業の経営者となり、株価を起点に企業価値を考え、投資家との対話を重ねるなかで、対話によって企業の未来をつくれることを肌で感じました。そして熟考を重ねた結果、ボード(取締役会)に対するソリューションが必要だという結論に至ったんです。
当社でいうところの『創造』の最優先課題は経営者であるべきです。つまり、ボードの巻き込み無しでは『創造』はつくれない。経営者は現場からのボトムアップに頼るべきではないと思っています。だからソフトウエアの提供を通じてボードメンバーの『創造』に掛ける時間の総量を上げ、彼らの時間の使い方や対話する人を変えていくことがお客様の企業価値向上につながると思っています。

森川さんのコメント、印象的ですね。「創造」に割り当てられる資源が多くなれば、よりたくさんの価値が実現するでしょう。

企業価値の向上に役立つソフトウエア会社になる

アバントさんに注目です。

https://finance.yahoo.co.jp/quote/3836.T

アバントさんといえば、ろくすけさんですね。

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