会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ― 500年の物語

年末年始の休暇中に読んだ一冊が

#会計の世界史  です。

以前から気になっていたのですが

バフェット・コードさんのこのツイートで本の存在を思い出しました。

社会や経済に、会計やファイナンスがどのように関わってきたか、その歴史が沢山の逸話、エピソードとともに分かりやすく説明されていました。とても読みやすい素晴らしい一冊でした。

第1部が 「簿記と会社の誕生」
第2部が 「財務会計の歴史」
第3部が 「管理会計とファイナンス」

となっており、それぞれの主な舞台がイタリア、イギリス、アメリカです。

第3部には記事の最初で紹介した楽曲を絡めて説明されていて、マイケル・ジャクソン、ビートルズも登場します。ここで解説されているのは「価値」と「価格」です。


あらゆる投資について「コストとリターン」があります。ここでコストは簡単かつ明確に計算できますが、リターンのほうは将来のことでもあり、そう簡単に計算できません。計算できたとしても、その客観性を示すのはきわめて難しいです。だからこそ長い間、会計は「コスト」に注目し、これを記録の対象としてきました。しかし、リターンを無視するのはあきらかに問題があります。この悩ましい状況を打ち破るべく、「リターン」を重視する新たな分野が登場してきました──それが「企業価値」を旗印に掲げるファイナンスです。

田中靖浩. 会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ500年の物語 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.3734-3739). Kindle 版.

第2部では、鉄道に絡めてこんなお話も。

新しい鉄道へ積極的に投資したリバプールと、それをためらった保守的なマンチェスター。

田中靖浩. 会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ500年の物語 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1518-1519). Kindle 版.

プレミアリーグの前からライバルなんですね。

「減価償却」について

それはイタリアでの簿記の誕生に匹敵するかもしれません。なぜなら減価償却の誕生によって、会計上の儲けは収支から離れ、「利益」というかたちで計算されるようになったからです。

田中靖浩. 会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ500年の物語 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1595-1596). Kindle 版.

この本を読んであらためて思ったのが、経済史を学ぶことの大切さです。今の学校はどうなのかよく分かっていないのですが、昭和生まれの僕が学んだ歴史は、そのほぼ99%が政治史でした。近現代となれば、歴代の首相や米国大統領と絡めて、その時期時期の出来事の背景を理解しようとしたものです。実際には産業や社会、経済がどのようになっていたかも非常に重要なのに、それはほとんど学んだ記憶がありません。産業、社会、経済がどうだったか、をもう少し学んでいれば、今風に言えば、劇的に解像度が上がっていたと想像します。

松下幸之助さん、井深大さん、ビル・ゲイツさん、スティーブ・ジョブズさん。思いつくままに名前を挙げましたが、学校で偉大な起業家のことがもっと学ばれるといいのになあ、と思いました。

どんな仕事に就くにせよ、会計は若いうちにぜひ体得しておきたいもので、今は良質な入門書がたくさんあります。その入門の前に、なぜ、どんなニーズからその概念が生まれたのか、この本で確かめてみてください。オススメです。

毎朝の楽しみ、 #カムカムエヴリバディ  でも ルイ・アームストロング をほぼ毎日聞いていているので、なんかタイムリーやん!って感じました。


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