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【怒りん坊と逆さん坊】

オスロの土地勘が何となくわかってきた最近です。家から自転車で10分くらいのところに、有名なヴィーゲラン公園があります(観光雑誌に必ず載ってる公園)。

この公園の特徴といえば何と言ってもグスタフ・ヴィーゲランの人間彫刻作品。公園中に彼の作品が点々と並べられていて、一つ一つの謎の表情に思いを馳せるのが見所だと思ってます。

その中でも、とりわけ有名なのが(むしろこれしか知られていない)、「怒りん坊(angry boy)」です。他の人の様子を観察してみても、この像だけ人集りができて写真スポットになっています。

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有名なのはわかっているのですが、なぜこんなに有名なのかとやっぱり考えますよね。

僕なりに考えてみたのですが、こんな理由ではないでしょうか(どうでもいいことをむちゃくちゃ真面目に考えるのが得意です)。


①表情がわかりやすい

怒りん坊が安置されているのは橋の上なのですが、この橋の両側に怒りん坊含め58体のブロンズ像があります。

なので、怒りん坊単体で見るよりも、他の57体と比べて怒りん坊は何を持っているのか、を考えた方が良さそうです。

今日その一つ一つをカメラに収めていたのですが、結構謎の彫刻が多いんです。行かれた方はわかると思うのですが、背負い投げしてる人だったり、明後日の方向を見てる2人組、仁王立ちしてる青年、などなど。

どうやらヴィーゲランは作品一つ一つの説明をしなかったようで、その解釈はそれぞれに委ねるスタンスだったそう。

となると、つまりは、人によって解釈が異なりそうなものには集まりにくそうな感じがします。何をしているのかぱっと見でわかっても、それにどんなメッセージが付加されているのかまでわからないと共通認識(バズ)は生まれないのかなぁと思いました。

一方で、怒りん坊はぱっと見何をしているかわかる上、身体全体で怒っている様子を表しています。「怒りん坊」という愛称が付くくらいなので、そりゃ広がるわというわけです。

子どもだからその可愛らしさで拡散したんじゃないの?と思われるかもしれませんが、58体の中に、子どもだけの彫刻は怒りん坊をいれて、3.4体ありました。怒りん坊以外の子供の表情、動作は中途半端でよくわかりません。拡散されるはずがありません。

となると怒りん坊が浮いて見えてくるのも納得できます。

これに沿って考えると、大学などにある(創設者の)銅像は動きを工夫すればバズって観光スポットになるということですね。

ちなみに、母校早稲田大学の本キャンには坪内逍遥の銅像があります。彼は本を左手にして、右手は握手のポーズを取っています。

受験生のプチ観光スポットになっていて、握手すれば早稲田に受かるという迷信がまことしやかに囁かれているそう(僕は受験生の時知らなかったけど)。


②シェアされて認知広がる

①の説明が長くなったのですが、①に尽きると思います。加えていうならば、58体の中でも浮いて見える怒りん坊はシェアされることで自動的に拡散される。

雑誌に載ってしまうくらいなので、マストの観光スポットに成り上がったんじゃないかというわけです。

きっとヴィーゲランはさぞ優秀なマーケターだったのですね(彼はムンクと同世代のアーティストだったらしい)。この公園はフログネル公園というのが正式名称で、別称がヴィーゲラン公園です。この敷地には彼の作品しかないとのことなので、彼の世界観だけが漂っています。

オスロに来たときは言わなくても行くと思いますが、結構面白い(どんなメッセージがあるんだろうと考えることが)ので、ぜひ行ってみてください。

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タイトルの回収をし忘れそうになったのですが、怒りん坊が安置されている橋とまた別の場所に子供たちの像が置かれている場所があります。

ここに行ってみると、怒りん坊ならぬ「逆さん坊」が待ち受けています。これに関しては本当に謎で、なぜ逆さで瞑想しているのか。。んーきっとヘッドスピンの練習をしているんだと思います。

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そしてそして、逆さん坊のその先には、あの怒りん坊が見えるのです。怒りん坊から逆さん坊は少し見にくいですが、逆さん坊から怒りん坊だと見やすいです。

個人的には怒りん坊より逆さん坊の方が好きです。


北欧(ストックホルムのアイロンボーイとか)だけでなく、ヨーロッパ(小便小僧とか)その他国地域には不思議な像があると思います。なぜそれが有名なのかを考えてみるのも楽しいかもしれませんね。

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