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理科室まがった【毎週ショートショートnote】

僕にはみんなに自慢できる幼馴染がいる。
見た目は世間がよく言う可愛い顔立ち。誰にでも優しく面白い性格。おまけに頭も良い。
生まれた時から僕たちは一緒にいた。
臭い言葉を言うならば、彼女が向日葵で、僕は向日葵を見守る太陽。それほど僕たちの関係は、当たり前のように存在していたが微笑ましかった。

僕たちは中学生になった。
彼女の周りにはたくさんの人が群がった。一方、僕は少ないながらも、心を許せる友人が何人かできた。
この頃になると思春期だからなのか、自然と男女が分断される。
僕たちもそうなった。

ある日、彼女とすれ違った。相変わらず彼女の周りには何人もの友人がいる。

「あ!」

彼女が僕に気づき、何かを伝えようとした。

「リ…!あ……こ………理科室…まがった………!!」

周りの群衆でうまく聞き取れない。
僕は、最近場所を覚えたばかりの理科室を、頭に浮かばせた。

理科室の先は行き止まりである。

気づいた時にはもう、彼女は遠くに行ってしまっていた。

(409字)


こんばんは。れんこんです。

こちらのたらはかに様の企画に参加させていただきました。

最後までご覧くださりありがとうございました!

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