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洋服記録79_愛とパンツの裾ほつれ

華麗なる寝返りっぷりを表すように、
パンツに関する投稿が続く。

最近パンツを多用するようになって、
新たに気付いたことがあった。

左足の裾がほつれる。

そう、内側に折り込まれた裾のまつり縫いが、
どういうことか左足側だけほつれるのである。

歩いていて自分から細い糸が出ていることに気付き、
糸くずかと思って引っ張ると面白いほどスルスルと延びていく。
それが自分の左足に起因すると分かったころには、
半分以上のまつり縫いを自らほどいてしまった後。まさに後のまつり。

どうして左足ばかり・・・と自分の行動を検証してみると、
私にはパンツを右足から履く習慣があるとわかった。

片足立ちの不安定な状態で履く右足は、ゆっくりと足が差し込まれる。
だが片方足が通って安定した状態で履く左足は、思いっきり差し込んでいる。
 
シュッと差し込んだ左足先が、
裾のまつり縫いを決壊させる要因であったのだ。
 
そんな自らの行動を反省しつつ、
ほつれて生地がベロンと垂れ下がったパンツを玉留めで応急処置していた時、
高校時代のことを思い出した。
 
私の学校の制服は黒いジャンパースカートで、
デフォルトだとふくらはぎの半ばくらまであった丈を、
母親に頼み込んで裾上げしてもらった。
 
当然プロではないので、
切った裾をアイロンテープで接着するという簡易的な手段であった。

アイロンテープというものは実に優秀なアイテムであるが、
雑に着脱したり、時間が経過してくるとだんだん粘着が弱くなる。
油断するとうっかり後ろ側の裾がベロンと垂れ下がり、
思春期の乙女としては最高に格好悪い状況に陥るのである。
 
ある日、まさにその格好悪い状況に陥った時があった。
運悪く、その日は彼氏とのデートの日であった。
 
予備校通いの日々の、束の間の休息。
 
その日私は、常に彼の半歩後ろを歩くようにしていた。
もちろん奥ゆかしさ故ではない。
自身の背後に垂れ下がる黒い幕に気付かせないためであった。
 
だが、彼の男前行動が悲劇を起こす。

歩道橋を上がるときに発揮された、レディーファースト。
断るわけにもいかず、しぶしぶ先に階段を上る。
 
なんとか気を紛らわせようと、常に大声でしゃべる女。
向かい側から降りてくる人も振り返るほどの大声でしゃべり続ける女。
 
そして登り切った歩道橋の上で、彼氏が一言。
 
「ねえ、〇〇(私)って俺のことちゃんと好きなの?」
 
え、やだ、なに突然~♡
などとはならない。
 
うわ、バレた!
これである。
 
自分でも気付いていなかったのだが、
なんとこの日、スカートの裾ベロンの他に、
ハイソックスの踵に丸い穴も開いていたそうな。
 
デートの日にこんな油断した格好をしてくるとは、
こいつ本当に俺のこと好きなのか?という発想。

わからなくもないが、
その発想のかわいさと自分のズボラさに、
思わず歩道橋の上で爆笑してしまった。

アラフォーとなった今では、
パンツの裾ベロンで冷める恋もなかろう。

だがきちんとした大人の嗜みとして、
ほつれた裾はすぐに直すこと、
そして、右も左も、足はゆっくり差し入れることを誓った。

パンツのコーディネート備忘録

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