洋服記録39_ベージュ色の約束
歳を取ってから“似合う“ようになるカラーがある。
理想のキャメルで触れた「ブラウン」の他に、
「ベージュ」も該当するカラーであろう。
若い頃は、ベージュと言えばTHE・無難。
顔はぼやけるしなんか安っぽくなるし(実際に安い服であった)、
自ら進んで選ぶ色では決して無かった。
だがアラフォーを迎える現在、
肌馴染みは良いしナチュラルテイストには欠かせないし、何よりとにかく落ち着く。
ベージュこそ、大人に似合うカラーだと改めて気が付いたのである。
とは言ったものの、
若い頃の私がベージュを避けていたわけでは決して無い。
明確な理由は自分でもわからないのだが、
唯一バッグだけは、なぜかベージュを選びがちであった。
スラダンに憧れて始めたミニバス時代のコンバースのドラムバッグに、
中学生の頃の大きな部活リュック(ベージュとブラウンのバイカラーで今思うとセンス良かったはず)。
同年代女子が赤やらピンクやらかわいらしい色を選ぶのに、
なぜか地味なベージュばかりを選ぶ私を心配した母が一言。
「あんた、ことごとく渋い色ばっかり選ぶわね・・・」。
これも一種の親心だったのであろう。
そして高校生の頃。
友人のN子と互いの誕生日にプレゼント交換をすることになったのだが、
先にやって来たN子のリクエストは、ローリーズファームの黄色いサンダルと、ジーナシスのキャスケットであった。
このリクエスト、
私服の暗黒時代真っ只中にいた私にとってまさに驚愕であった。
普段制服を着ていて気付かなかったが、みんなこんなお洒落な格好をしているのか。
こんな洒落たもの、一体どう着こなせばよいのか、そしてどこに売っているのか。
その日の帰りにnon-noを買いに走ったのは言うまでもない。
そして訪れた私のターン。
とてもじゃないが私服アイテムには怖くて手が出せないので、
制服にも合うということで当時人気が出ていたmono comme caのエナメルバッグをリクエストした。
そしてN子と一緒に店舗へ訪き、
実物を見てはたと迷った。
当時人気があったのはレッド。
真っ赤なエナメル素材に白抜き文字でブランド名が入っている、とてもかわいらしいもの。
そしてその横に、
ベージュのエナメル素材にブラウン文字でブランド名が入っている、落ち着いたトーンのもの。
この二択、
女子高生としてはレッドを選ぶべきということはなんとなく理解していた。
実際、訪れる前はレッドを買うと宣言していた。
でも私は、ベージュの方に魅力を感じ、思わず手に取った。
するとその様子を見たN子が一言。
「まさかのベージュ?大人~~~」
この一言で、私は心を決めた。
赤はたしかにかわいい。
でも私は、地味でも渋くても老けていても、自分が心を惹かれたベージュを選びたい。
それがわたしの生きる道。By PUFFY
そしてアラフォーを迎えた先日、
ご褒美バッグとして買ってもらった憧れのマルジェラも、ベージュを選んだ。
そして潔く、ベージュのワントーンコーデを組んでみた。
やはり、落ち着く。
目指すナチュラルテイストも実現でき、年齢にも“似合って“いる。
幼少期から渋いと言われ続けたセンスが、今や自身の定番コーデとなった。
あれから数十年、
どうやら私は、ようやくベージュに追い付いたようだ。
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