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洋服記録81_守護神ドルマン

今年の冬は、ほぼ1種類のコートで乗り切った気がする。

カフェラテ2024で触れた通り、
昨年末、3枚のコートを処分した。
代わりに購入したショート丈のダウンは、
カジュアルにバサッと羽織るのに最適で、ころんとしたフォルムも愛らしい。

何より気に入っているポイントは、
ドルマンスリーブであること。

分厚いニットやオーバーサイズのトップスにも、
一切のもたつき無く合わせることができる。
袖周りのキツさも、生地がくしゃっとなることも無い。

ドルマンスリーブのアウターは、本当に優秀だ。

ドルマンスリーブ。

私は一時期、
この形のトップスばかりを着ていたように思う。

身幅、肩幅に悩む女学生にとって、
アウトラインをぼやかしてくれるドルマンスリーブは正義の味方。
ただその当時はニットやカーディガンのみで、
アウターをドルマンにするという発想は無かった。
故に、トップスのだるんとした部分をアウターの袖にねじ込むことになり、
キツい袖周りとくしゃっとなる生地に頭を抱える羽目になっていた。

そして何より不快だったのは、
アウターの袖口にドルマンが引っ張られ、
中に着たトップスがどんどん上にあがってくること。

外見からはわからないが、
実はコートの下で腹が丸出しになる。
自分だけが苦しむ地味な拷問。

ある冬、学生時代の友人と3人で遊園地に行った。

ドルマンスリーブのニットにウールのコートで出かけた私は、
当時新しくできたばかりのアトラクションに乗ることになったのだが、
定員の都合で2名と1名に分乗する必要があった。

怖いと話題のアトラクション。
じゃんけんで負けた私は、1名で挑むことになってしまった。

出発前に怖さを分かち合ったり、共に思いっきり奇声を上げる相手がいないと、
恐怖心は途端に増大する。

だんだん無口になる私に気を遣った友人たちは、
アトラクション後半にある写真撮影ゾーンで思いっきり楽しい顔とポーズで撮ろう、と提案。

その企画を心の励みになんとか恐怖心に打ち勝った私は、
なんとか一人でアトラクションの山場を超えた。

その安心感も手伝って、
フラッシュが光る写真撮影ゾーンで思いっきり破顔してみた。一人で。
同時に、思いっきり四肢を伸ばしてピースしてみた。一人で。

これはなかなかいい写真が撮れただろう、と思い見てみると、
思い切った破顔も四肢もどうでもよくなるぐらい、

思いっ切り、腹が出ていた。

両腕を上に伸ばしたせいで、
コート、ニットは引き上がる。
両足を下に伸ばしたせいで、
パンツは下に引き下がる。
寒さ対策で着けた腹巻も露わになる。

コート、ニット、腹、腹巻、パンツが等間隔に構成する、
5段構えのグラデーション。
真の恐怖はここにあった。

アラフォーになった今、
ドルマンスリーブのアウターに身を包む。

どんなに四肢を広げても、冷えることも露わになることもない腹。

あゝ、これぞ真の正義の味方。
守護神ドルマン、ここにあり。

ドルマンアウターのコーディネート備忘録

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