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Dissertation Week3: Sustainabilityとお金の話~私たちの"お金"の行方を考えてみる。

タイトル書いて思いましたが、私のコースってSustainable Finance and Accountingなのに、このテーマでしっかり書いたことがなかったです。Supervisorの先生の助言を受けて、Dissertationのトピックは、"Does Sustainable Finance really accelerate green innovation?  ~How does sustainable finance make individuals contribute to sustainability?(持続可能性のための金融は本当にグリーンイノベーションにつながるのか?個人がサステナビリティに貢献する方法)"としたいと思っているので、あらためて、Sustainable Financeってなんだ?というのを振り返りたいと思います。

そんなわけで、今日の写真はClimate Financeという春学期の必須科目のテキストです。厚さを測ったら3.5センチありました。
この本の復習として、サステナブルファイナンスって何?ってことを書きたいと思います。

1. お金は「私」と「世界」をつなげる「接着剤」

留学を決心した当初から、心の中にくすぶっていたのは、”SDGs”や”サステナビリティ”や”ESG"って、「バズワード」のようになっているのではないか、ということ。
一方で、毎年、明らかに暑くなっていく夏、増える猛烈な台風、山火事、干ばつ、など気候変動を実感している人は少なくないはず。
「私」に何ができるのか、と多くの人が考えたときに、誰もが身近に触れるもので、小さなさざなみを起こして、重なる波になるようなものって何か、というのを留学を通じて考えたいなぁと思っていました。

そんな中で、「お金」は誰もが身近に触れるものだという再発見がありました。
何を買うか、だけでなく、今すぐには使わないお金を銀行に預けたり、NISAなどを通じて投資してみたり、あるいはお給料から天引きで税金を払ったりしています。一方で、企業は預けられたお金で新しい設備を購入したり、人を雇ったり教育したりしますし、政府は道路などのインフラを整えたりするわけです。
つまり、私たちの「お金」は、「世界」と私たちをつなげてくれる「接着剤」の役割を持っていて、私たちが、銀行に預けたりNISAを通じて投資したり、企業型年金を通じて積み立ている「お金」が、「本当に持続可能性につながる取り組みに使われているのか」に目を向けることで、世の中変わるんじゃないか、と考えたわけです。

2. Sustainable Financeは"お金"をSustainableな方向に導くための仕組み

一方で、Sustainabilityの実現のためには、いろんな仕組みを変えイノベーションを起こしていく必要があります。例えば、石炭や石油による火力発電を減らし、再生可能エネルギーにしていくためには、それだけの設備投資が必要です。
いろんな試算があるのですが、年5~7兆円の投資が必要ともいわれています(the World Bank)。
重要なことは、この5~7兆円のお金を集めて、「持続可能性につながるものに使うように導く」こと、そして、「見せかけの取り組みにお金が流れないような金融の仕組みを創ること」、なのです。

3. Sustainable、Greenな取り組みって何だ?

そうすると、次に疑問に思うのは、「Sustainable」ってなんだ?「Green」ってなんだ?これは「Greenwashing」(見せかけ)じゃないのか?、ということ。
こうしたGreen度合いを定義する仕組みというのは、今、EUがリードしていて、「EU Taxonomy」といった分類の定義があります。

一人の個人として理解しておく必要があるのは、こうした分類の定義は、「常に変化する(すべきである)」ということ。
例えば、EU Taxonomyでは、「原子力」「天然ガス」をGreenなエネルギーに含めるのかという議論があり、すったもんだの末、今のところ含まれています(CO2は出ない/他の化石燃料に比べると少ないので)(JETRO)。
でも、もっと再生可能エネルギーが増えたり、省エネが進んだり、ウルトラCのすごい技術が開発されたら、不要になるかもしれない。時代の変化や地域の特性によって、何を「持続可能」と考えるかは、社会の意思であり、それは、ひも解いていくと、一人ひとりがどう感じて、考えるか、が集積されたものなのかなと思います。

4. その企業はどのくらいGreen?透明性が大事な理由。

学校のテストと同じように、教科書に書いてある定義をきちんと理解して、答えがあっているかって、自分が理解した内容を採点されてみないとわからない。つまり、「透明性をもった開示」、が大事だというのが、Sustainable Financeの肝になります。
なので、EUでは、EU Taxonomyの定義を用いてどのくらい自社のビジネスがSustainabilityに適合しているのかを報告せよ、という「企業サステナビリティ報告指令(CSRD:Corporate Sustainability Reporting Directive)」といった制度ができた、というのが私の理解です(まだ勉強中なのでゆくゆくUpdateします)。

個人投資家や、個人のお金を集めて変わりに投資を行う金融機関が、「ここならGreen」という投資判断をするためには、透明性、信頼性のある開示、が企業側に求められる、ということになります。

5. いろいろあるのは分かったけど、「私(個人)」には難しすぎる!

私と世界をつなげる「接着剤」であるお金を、どう意思をもってSustainableな方向に流していくのか?
そのための銀行をはじめとする金融機関の役割、これらを規制する政策の在り方、いや、そもそも、ほんとにこの「Sustainable Finance」で流していったお金はちゃんと正しく使われているのか?どう私たちの生活がGreenに変わったのか?

こうした実感がないと、まだまだ、「遠い世界の話」感がある気がしています。ということで、「本当にSustainable FinanceはGreen Innovationにつながっているのか」というテーマで修論を書いていきたいと思います。

それでは、今日はこの辺で。
みなさま、ごきげんよう。


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