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詩「面影」

学歴や長所・短所を埋める。頭のおかしい子どもが空を真っ赤に塗りつぶすように。死んだハムスターを両手で優しく包み込むように。私が私を殺すみたいに!
過去を肯定するかのように、否定する日々にいっそ狂えてしまえたら! って。マジで思うよ。思うだけ。そう願うだけの私は所詮凡人だから、結局のところ、なにをやっても正気でいるし、手首は見ての通り真っ白なままだし、死にたいって口で言うのは簡単だから、透明な鋭いもので体に刻む。痛みで自分にわからせる。弱さと脆さ、どうしようもなさを。一切合切immoralに成り果ててやりたい。本当は、生きてるだけで褒められたい。immoral educationを施した猿たちとねんね。ああ、もう!
はっきり言って、なに言っているのか全然分かんない! でも書かないとやっていけない。気が滅入る前に白紙に死を刻みつける。この世は! 嘘つきばかりが仕事をもらえる。ここでは誰もが仮病の患者。ああ、ああ!!!!! もう!!!!!!!
趣味の欄にセックス💕って書きたい!!!! 趣味の欄にセックス💕って書くから、特技の欄には何て書いてほしい? あなたは何をしてほしい? 言ってごらんよ、正直に。真面目な話は嫌いじゃないだろ、キモ。
アンチテーゼの逆を行け。逆巻く波が脳を揺すり起こし過去を呼び込む。澱、固まった思考に剥き出しの躁が暴れまわる! 夜! あああああ、なんでまた、陽炎の奥から声が聞こえる。透明香炉の幻聴に耳を澄ませば、蘇る。あの鋭く尖った八重歯の白さが、鼻の奥を刺激する。目頭がまた熱を持つ。気化した夏が揺れて漂う、67℃の照り返しから、ほっそりとした影が手招く。光の中で眩しいあなたに触れる、面影に指を伸ばす。逆光で白くなる身体ごと、焼け落ちて、そこには初めから誰もいなかったみたいに。アルバムの写真のあなたの隣には不必要に広い景色が、ひたすらに、ただひたすらに夏だった

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー詩    元澤一樹(@sawa_sawa64)
イラスト ひづみ (@1_3_1_1_)

去年の夏は暑かった記憶がない。コロナが流行り出して数ヶ月、就活もあって巣篭もりばかりしていたいたからだろう。
各地区の夏祭りは延期になり、フェスも取りやめになった。エアコンの効いた室内は快適で、窓から覗く青い空と緑の葉、そしてかすかに聞こえる蝉の音だけがほんの僅かな夏だった。
記憶の中の夏はいつだって干からびそうなくらいの日差しと、汗と三ツ矢サイダーの香り。
今年は夏を堪能してやる。
そう心に決めている

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