「無力感」は人を強くするのかもしれない
一流に会いにいく
何かを極めている、という人に憧れる。
まだ発揮されていない、見え隠れする才能に出会う時も人生で一番ワクワクする瞬間の一つだ。
ずっと会いたいと思っていた人に会いに行った。
杉田陽平さん
日本初の「バチェロレッテ シーズン1」。
放送されたのは確か2020年頃のこと。その作品を「杉ちゃんの成長物語」と言わしめるほど、多くの感動を呼んでいたのか彼だ。
本業は画家であり、現代美術家。
描いた絵には、数百万の値がつく売れっ子だ。
当時、杉ちゃんの選ぶ言葉の美しさ、そして彼の心のあり方が、シリーズファンの中で大きな話題を読んだ。
バチェロレッテの萌子さんがその感性を絶賛し、リスペクトし、最後まで旅を歩んだのが杉ちゃんだ。私も全作品を通して、一番好きなキャラクターだ。
今、杉ちゃんにあったら、きっと何か感じるものがあるだろう。
その道の、一流の人だ。
当日はグループ展。一番奥に彼の作品があった。
あ、ご本人いた!本物だ、、、動いている。
杉ちゃんに似顔絵をかいてもらう
たくさんの人が何かを待っているのが見えた。
杉ちゃんの画集を買うと、特典で似顔絵を描いてもらえるとのこと。
行列に並ぶことはあんまり好きじゃない。
でもこれはきっと、何かのご縁だ。
絶対に描いてもらおう。
杉ちゃんは日中からずっと似顔絵を描いているようで、きっと随分とお疲れだろう。
それでも「ゆっくり観ていってくださいね」と、お客さんたちに声をかけている。柔らかく、繊細な人柄が伝わってくる。
閉館間際の時間に、やっと順番が回ってきた。
杉ちゃんが私をみて選んでくれたのは、ピンク色だった。ピンクは今、一番好きな色だ。その色を選んでもらえたことが嬉しい。
描いてもらいながら少しだけ話をする。
「こんな風にね、足を運んでもらって本当に感謝ですよ」
「いつも終わった後にね、足がガクガクしちゃうんですよ。気を張ってるってことなのかなあ」
ものすごく売れっ子なはずなのに。
最初から最後まで、感謝の言葉を口にするし、弱さも隠さない。
でも、描いている時の目線は、強烈なこだわりを持って生きてきた人の、鋭さを感じる。
すごいな、目は人を表す。
ものすごく非効率なのに
ひたすらに絵を描き続ける杉ちゃん。
初日だけでも、150枚くらい描いたようだ。
その間にたくさん会話もしなければならない。はっきり言って非効率だ。
なんでこんなことをするのかな?と帰り際にふと思う。
1枚で何十万、何百万で、絵が飛ぶように売れる人なのに。
ふと、バチェロレッテの中での萌子さんとの会話を思い出した。
画家として売り出し始めた頃、恋人の誕生日に絵をプレゼントしたことがあると言っていた。
でも当時の恋人は「ブランドもののバックが良かった」といわれてしまったそう。
無力感を感じたと言っていた。
でも杉ちゃんはその経験を、決して「辛い過去」にしていない。
自分の作り出したものが、愛する人に届かなかった「無力感」。
その苦い想いは、きっと忘れていないんだろう。
でもそれを、感謝にかえている。
だからこそ、今もこうやって足を運んでくれた人たちに、絵を描いて、感謝を伝えるのだろう。
1番、感謝が伝わる方法だから。
これは私の想像だけどね。
「無力感」は、人を強くするのかもしれない
杉ちゃんは、きっととてつもなく繊細な人だ。
一流の人だって、普通の人間。
数々の傷や、無力感みたいなものを、人一倍受けているじゃなかろうか。
だからこそ、深みや魅力が増す。
そう思うと、傷つくことは怖くない。
この言葉も、杉ちゃんに教えてもらった。
しなやかに柔らかく、情熱を帯びた人。
そんな人に会えたお守りとしてずっと大切にしよう。
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