デンマークのおつまみパン、クネッケブロ

おうちベーキング、第４弾はクネッケブロ（Knækbrød）です。

クネッケブロは、クラッカーのように平たく、ゴマやカボチャのタネなどを混ぜ込んだ香ばしいパンです。ワインのおつまみに、小腹が空いた時のコーヒーのお供など、いろいろなシーンに合うパンです。

クネッケブロはスウェーデンに多くみられるパンです。IKEAでも売られていますね。英語ではフラットブレッド、クリスプブレッドなどと呼ばれます。
北欧はライ麦を栽培している緯度の一帯、ライ麦ベルトに属していますが、デンマークとスウェーデンとのパンの文化はかなり違います。デンマークのパンの代表は、ライ麦が発酵したサワードウを用いたライ麦パンですが、スウェーデンのパンの代表は、フラットブレッドと呼ばれるパン。真ん中に穴の開いた、ドーナツ型のかなり大きいものです。

File:Knaeckebroed.jpg - Wikimedia Commons

スウェーデンの寒く厳しい土地だからなのか、燃料をセーブするため、パンをまとめて焼いて、乾いた状態にして保存していたそうです。大きなドーナツ状の穴は、竿にかけて保存するためのものだったとのこと。乾燥させておくことはパンを保存する上で大切だったんですね。

グルテンがほとんどないライ麦粉で作られているので、大きく膨らむことはありません。グルテンがないのでクラッカー寄りの堅めのパンです。

美味しくてヘルシーなクネッケブロ

そんなスウェーデンのクネッケブロ、今ではデンマークでもすっかりおなじみの味になっています。その理由は３つ。

①健康的で美味しい
クネッケブロは香ばしさや歯ざわりが魅力です。柔らかく膨らむ必要がないので、様々な粉やたくさんのシード類を使うことができます。伝統的なライ麦はもちろん、香りが良く成分が健康に良いとされる古代小麦（スペルト小麦やエマー小麦）を使えますし、たくさんのシードや穀類を入れることで、歯ざわりが楽しく、そして栄養価が高くなります。

②おつまみにも、おやつにも
ざくざく、カリカリとした食感の良さがあるクネッケブロ。朝食にも、おやつにも、はたまたおつまみにも。いろんな時に美味しく食べられます。デンマークに滞在していた時にはチーズとともに、ワインのお供に出ることも多くありました。朝ごはんにバターを塗ってハムやジャムと食べたり。
私の好みは、ドライブや旅行などの小腹が空いた時のおやつとして。油は（クラッカーやクッキーに比べて）ほとんどないので軽く、歯ごたえで食べ応えも得られるので最適です。

③お手軽で便利
クネッケブロは発酵させるプロセスが必要ないので、短時間で手軽に焼くことができます（スウェーデンの伝統的なクネックブロはイーストを使うようですが、今は手軽にベーキングパウダーで焼くことが多い）。この手軽さは本当に魅力！あっという間にできちゃいます。

また、パンより長く保存できます。焼きあがったら、タッパーや缶に入れて湿気ないようにしておけば、2〜3週間ほど保存可能。サワードウのライ麦パンでも4〜5日くらいが限界ですが、クネッケブロはずっと美味しい！なんとも便利です。
以前にお手伝いしたフォルケホイスコーレのキッチンでは、時間が空いたときにクネッケブロをたっぷり焼いて、大きな茶筒のような缶に保存していました。

いろいろな味を楽しもう

クネッケブロには本当に様々なレシピがあります。油を多くすればパイ生地のようなサクッと軽い歯ざわりになりますし、強力粉を多くすればあっさりとした味わいでいろいろなトッピングに合いやすくなります。

デンマークではヘルシー志向を反映して、古代小麦を使うことが多いです。混ぜるシード類も、亜麻仁やひまわりの種がパンに混ぜる材料として一般的で、スーパーで普通に買えるのですが、日本では難しいですね。

日本で手に入りやすい材料でと思い、いろいろ試作しました。

↑ここでは油の分量や粉の種類や配合を変えています（シード類は固定）

小麦の香ばしさが強く感じられて、歯ざわりがザクザクとしているのが私の好み。全粒粉多め、油少なめのレシピに落ち着きました。

シード類は、ゴマとチア、かぼちゃの種を入れています。
ゴマだけで、白胡麻と黒胡麻を半々でもいいですね（今回はチアが黒いので白胡麻にしました）。かぼちゃの種はスーパーでは難しい場合もあるかと思いますが、歯ごたえが美味しいです。代わりにアーモンドを刻んで入れるのも、歯ごたえがあって美味しいと思います（少し油は強くなります）。

今回はおつまみバージョンとして、クネッケブロとディップをご紹介します。これにチーズやフムスを添えたりしたら、冷えた白ワインと最高の組み合わせです！
夏の夕暮れ、ヒュッゲなひとときに、楽しんでいただけたらと思います。

材料（2〜3名）