見出し画像

デンマークを知る2ヶ月の冒険 〜その20 毎日のパン

デンマークの料理と食事にまつわる文化を体験する、という目的で始まった、2ヶ月の冒険。

ご縁あって、友人の親戚がお仕事されているフォルケホイスコーレのキッチンにお手伝いとして入れていただけることになりました。

今回は、スカルス手工芸学校で作っていた毎日のパンとケーキについてご紹介していきます。

毎日のパン作り

スカルス手工芸学校では、毎日の食事のために、パンを仕込んでいました。
私が朝一番にやっていたこと、それはパン生地の仕込みです。

朝一番にミキサーに水とイーストを入れて、ゆっくりとミキサーのスイッチをオン。イーストが溶けたら、塩、オリーブオイルと砂糖をちょっと。そして粉をざばっと入れて、ミキサーをさらに回していきます。

ミキサーで失敗して、自分もフロアも粉だらけにしたこともあります 涙

私はデンマークのライ麦パン、ルブロが好きでパンを焼いていました。なのでもちろん、スカルス手工芸学校のキッチンに入ったら、パンを焼きたい!と思っていました。
でも、初日にいきなり、「じゃあ好きにパン焼いていいよ!」と言われて、ビックリしちゃいました。デンマークのパン焼いてみたくて来たんだけど、私はまだ知らないし、元からいろんなパンを焼いてました!とかいうことではないし。どんなパンを焼いていいか、食べものの感じもわからないのに…??と一気に不安に。

できます!と言えたらかっこよかったのかもですが、やったことがなかった私は、基本のやり方を教えてもらって、それから毎日、焼いてました。

スタッフのイーナがパン生地をミキサーから取り出すところ

スカルスで焼いていたパン

どんなパンを焼いていたかというと、基本的には小麦粉のパンです。お昼ごはんに焼き立てを食べられるように、というのが一番です。それ以外にも、ケーキの代わりにコーヒーブレイクに出す、菓子パンのようなパンも焼いていました。

ちなみに、デンマークのライ麦パン、ルブロは発酵などに手間がかかるので、当時のスカルス手工芸学校では冷凍を購入していました(オーブンでリベイクして出していました)。

プチパン

一番多く焼いたのは、プチパンです。一人1-2個をさっと取れる大きさのプチパン。45人がたっぷり食べれる量のプチパンを丸めるのは、パン作りのいい練習になりました。

香ばしく焼けたプチパン

塩を乗せたリュスティック

リュスティック

大きなローフ

スライスして出すように、大きく焼くこともあります。丸く大きく作ると、ぷっくりと焼けて、なんて美味しそう!なでたくなってしまいます。

大きなパン

スープに合わせるドライトマトのパン

豆のスープの日に合わせて焼いていたのは、味付きのパン。リュスティックの形ですが、塩をちょっと効かせて、ドライトマトとハーブをオリーブオイルにつけておいたものを載せて。

ドライトマトのパン

チョコチップのパン

おやつの時間に向けたパンでは、チョコチップやレーズンの入ったパンがありますね。バターや牛乳の入った、いわゆるロールパンという生地はデンマークでは食事ではなく、おやつとして食べるんです。

チョコチップのパン

パンって自由なもの

そして始まった毎日のパン焼き。

焼き立てのパンがラックに並びます

何人分用意するかで多少違いがありましたが、大体毎日、5kg分くらいの粉でパンを焼いていました。なんで毎日5kgくらい、という感じなのか、というと、、、

この基本というのが、ものすごく自由!

レシピって、分量が決まってるもの。そう思ってました。
だけど教えてもらった基本は、水1リットルに対して、イーストの量と、塩、砂糖とオリーブオイルを少し。
あとはその時の気分で小麦粉やスペルト全粒粉、ライ麦粉をブレンドするだけ。

何が自由って、、、

「あ、ヨーグルトが賞味期限だから使っちゃおう」
「昨日の夜は、お茶がたくさん残ったんだな。香りがいいからパンに入れよう」

朝のキッチンのつぶやき

てな具合で、冷蔵庫とか見ながら、なんでも放りこんでしまいます 笑 あとは生地の捏ね具合を見ながら、ベタベタしてたら粉を足して、固そうなら水を足すというだけ。
パンに残り物を放り込んだりするという感覚がなかったので、ビックリしました。

本当に自由なので、味も色も毎日違います。でも、少しずつ味が違って、それは毎日の楽しみにもなる。

一度、すっかりオリーブオイルを入れるのを忘れて、たぶん砂糖も入れ忘れました。小麦粉と塩と水だけの、いわゆるリーンなハードブレッドになったんですが、その日のパンはすごく美味しい出来になりました。

プチパンに丸めたパン

この日は自分でやってみたくて、たーっくさんのパン生地をみんな小さいプチパンに丸めたので、自分としては作るのに時間かかって大変だったんです。

今日のパン美味しかったよー!

なんて言われて、偶然だったりもするけど、すごく嬉しい。
今日はこんな感じで美味しくなったんじゃないかなー!って期待したら、それほどじゃない時もありますけどね。


残った材料もうまく活かしながら、毎日のパンを楽しく作る。

少しベタつくとか、弾力がいい生地とか、生地の具合はいろいろになります。でも、毎日作っていると、これくらいの生地になれば大丈夫だな、という感覚がわかってきます。

今回は丸く作りたいから、ちょっとしっかり目に仕込もうかな。
ちょっとベタつくから、切りっぱなしでもいいかな。
今日のメニューはスライスを合わせたら美味しいから、大きく焼こうかな、とか。

今日も楽しく焼きたてのパンがある!というのは幸せなこと。
パン作りって、自由に毎日楽しんでいいんだな。

そう実感した、毎日のパン作りでした。


次回はキッチンでの体験についてご紹介します!

デンマークの幸せの秘訣、ヒュッゲな時間をもっと広めるためにサポートいただけたら嬉しいです! いただいたサポートはオープンサンドの試作など、デンマークの食文化研究に使わせていただきます。