見出し画像

デンマークを知る2ヶ月の冒険 〜その21 フォルケホイスコーレのキッチンという仕事

デンマークの料理と食事にまつわる文化を体験する、という目的で始まった、2ヶ月の冒険。

ご縁あって、友人の親戚がお仕事されているフォルケホイスコーレのキッチンにお手伝いとして入れていただけることになりました。

今回は、スカルス手工芸学校の当時のキッチンと、そこで体験したヒュッゲについてご紹介していきます。

素敵なキッチンスタッフ

私がお世話になったキッチンスタッフは、Karina(カリーナ)とIna(イーナ)。
リーダー役のカリーナはスウェーデン人。外資系企業の役員用食堂で長く働いていたので経験豊富。仕事は6:45〜なのに、6時すぎに来て仕事を始めちゃってる真面目さん。
もう一人はイーナ。前は病院で働いていた、小さいお子さんが2人いる、若いお母さんです。

気さくで頼りになるイーナと

キッチンスタッフは3名体制でした。キッチンリーダーがメニュー決めや食材の管理・発注をされていたのですが、リーダーが突然のご病気で休職、欠員が出て大変なところへお手伝いで入れてもらいました。
とても明るくて気さくな2人。私はいろいろわからないし、デンマーク語もカタコトだし、という状況でしたが、楽しく料理を作ろう!というエネルギーに満ち溢れた2人でした。

短時間勤務のキッチン

キッチンのスタッフは6:45〜13:15頃までが仕事時間。その間に3回の食事と3回のコーヒーブレイク用のケーキやお菓子などを全て用意します。加えて、ジャムやミューズリーなどの常備品、週末に残る生徒のための準備や、受講生が出かける1日ツアーのおやつ用のクッキーなどのお菓子も作っていました。
(夕食と夜のコーヒーブレイクについては、作って冷蔵庫に入れておき、アルバイトの方が夕方にきて、料理をオーブンで温めたりお茶を用意していました)

パン生地を取り出すイーナ

1週間の規定勤務時間が33時間と短いのがフォルケホイスコーレの特徴でした。
イーナは病院の食事作りをしていたそうですが、子供が小さいので勤務時間の短いフォルケホイスコーレにしたそうです。1日の勤務時間を短くしたいニーズは日本でもあると思いますが、日本ではパートや契約という形になりがち。正社員で1日6時間といった雇用形態はイメージがなかったので、新鮮でした。

朝が早く忙しい仕事ですが、早く終わってその後を自分の家族と過ごすことができるんです。2人は近くの都市Viborg(ビボー)に住んでいて、車で30分ほど。時間の短さや職場の近さが大切にされていました。

キッチンのヒュッゲ①:運営のコーヒーブレイク

週に1〜2回、先生方とスタッフみんなでのコーヒーブレイクがありました。
午前中のコーヒーブレイクの時間に、受講生さんたちへ食堂に用意する以外に、パンとチーズ、果物を用意して、教員室のテーブルに用意します。

みんなでランチョンマットを用意して、コーヒーブレイク

その日に出ているスタッフは全員、先生、事務室、キッチンも含めて全員が参加します。校長先生はもちろん、私たちキッチンや設備管理まで一斉に席に着くので、打ち合わせかなと思いきや、これが本当にコーヒーブレイクなのです。
仕事の話はしません。ただコーヒーを飲みながら、ゆっくりと話します。

休暇の予定を聞いたり、家のリノベーションの様子を話したり。
誕生日の人がいたらデンマークの国旗を立ててお祝いしたり。

お互いの顔をみて、一緒にコーヒーを飲む。

ルーティングではありますが、みんながそれを守って集まるんです。
きちんと集まることが大切にされていて。仲間としてやっていこう、という気持ちを感じる、コーヒーブレイクでした。

キッチンのヒュッゲ②:スタッフ部屋のコーヒーブレイク

キッチンは、ランチまでは戦争のような忙しさ。受講生たちがあらかたランチを取り終わると、朝からノンストップで走り続けてきたキッチンも、これでひと段落。キッチンのスタッフはランチをとってスタッフ部屋へ。

スタッフのヒュッゲタイム

ランチはキッチンスタッフと設備関係をみているPeter(ペーター)の4人で食べることが多かったのですが、たまに先生が一人でキッチンスタッフの狭い部屋に参加しておしゃべりしてたり、いろいろでした。でも生徒や受講生はあまり入ってこない部屋で、キッチンのスタッフだけなので、ランチは本当にリラックスできる時間でした。

あるとき、イーナが自分の好きなお店のKugler(クグラー)を買ってきてくれました。その前日Rumkugler(ラムクグラー)を作ったのですが、お店によって色々違いがあるという話から、イーナの家の近所にある、高級なケーキ生地だけで作るクグラーをわざわざ買ってきてくれました。

りんご飴みたいな大きさ、とっても大きいクグラー!

私はデンマーク語がカタコトで、みんなが話していることがほとんどわからない。でも不思議と、スタッフ部屋で一緒に過ごす時間が増えたら、だんだんわかってくるんですよね。聞ける単語が増えたということもありますが、どんな話をしてるかな、というのがだんだんわかる。

一緒に作業して、ごはんを食べて。
いいなと思ってること、あれはちょっとと言う話。
そんなことを共有して、一緒のリラックスを過ごせること。

そんな時間を通じて、安心できる「仲間」になっていくのかな、と思いました。


次回は毎日のケーキについてご紹介します!


デンマークの幸せの秘訣、ヒュッゲな時間をもっと広めるためにサポートいただけたら嬉しいです! いただいたサポートはオープンサンドの試作など、デンマークの食文化研究に使わせていただきます。