見出し画像

幸せの国 デンマークのミニ成人式 その①

デンマークの大切な友人家族の双子たちが、大切な行事、コンフィアマション(Konfirmation)を迎えました。
光栄なことに招待いただき、参列してきました!
当日の様子を含めて、デンマークの文化の一つとしてご紹介したいと思います。

人生の節目を祝う、ミニ成人式

コンフィアマションとは、キリスト教の堅信礼のことです。
キリスト教の家庭では、赤ちゃんが生まれたときに洗礼を受けます(幼児洗礼)。幼児洗礼は親の選択なので、成長して自分で信仰を決められる歳になって、改めてキリスト教徒としての信仰を宣言するものです。

デンマークでは、キリスト教の堅信礼から発展し、自分の道を決めることができる年齢になったことを祝う、成人式のような意味合いがあります。家族や親戚、友人たちを招いて大きなパーティを開きます。デンマークの友人たちは、コンフィアマションはミニ結婚式なんだよ!と笑って言います。

会場の装花や席札も自分たちで手作りです

私の友人のところは双子なので、主役が2人。ゲストは約50名。祖父母、おじおば、従兄弟たち、学校の友達、幼馴染みなど、さまざまな人が招待されていました。14歳の子を中心に、さまざまな繋がりの人を一同に集めてパーティを開く。それはまさにミニ結婚式!
7年生の春と決まっているので、何年も前から会場を予約したり、家族の一大イベントです。

自分の道を決める権利

昔のデンマークでは、7年生は義務教育が終了する年齢。学校を卒業し、基本的には親元を離れて、自分の仕事を見つけるタイミングだったとのこと。自分はどんな仕事をするか、自分で考えて決める必要がありました。
現代のデンマークでは多くは高校・大学と進学してから社会に出ます。18歳になったら親元を離れるという考えになった今でも、自分の道を自分で決められるようになる、子供から大人の仲間入りをするという意味で、人生の節目を祝うのです。

自分の言葉で思いを語るディトレウ

また、現在のデンマークでは、キリスト教ではない民族の人も多くいますし、幼児洗礼を受けているけれどもキリスト教徒としての信仰を選択しない人もいます。コンフィアマションはキリスト教徒としての堅信礼を意味するため、ノンーフィアマション(Non-firmation、堅信しないという意味)という造語も生まれました。
自分の道を選択できることを祝う、という意味合いが重要なことから、キリスト教を選択しない人も含めてお祝いする機会になっています。

そして、これはただのお祝いの形だけではないのです。

キリスト教徒として堅信礼を受けるためには、その準備として4ヶ月の間、学校の授業時間の一部を使って(合計48時間以上)教会に通います。キリスト教会の神父のもとで、キリスト教や歴史について学ぶのです。7年生になると、クラスごとに教会に通うスケジュールが決められて、クラス単位で通います(堅信礼もクラス合同)。
ノンーフィアマションを選択する(キリスト教徒ではないコンフィアマションを行なう)場合は、人権センターなどが開催する講座に通うことが多いとのこと。どのような人生を送りたいのか、内省の時間などを持ち、人間主義に基づいて人生観などを考えます。そして当日は、どんな人生にしていきたいか、なぜノンーフィアマションを選択したのかなど、自分の考えを発表するのだそう。

人生の選択を自分で決められる。
それが「大人である」ことなのです。

友人の子たちは、1人は教会での堅信を選択、1人はノンーフィアマションを選択しました。

両親への感謝やこれからへの思いを話すメアレ

デンマークの文化は、個人の選択や異なる意見をを尊重する個人主義。そして誰もが幸せな人生を送る権利があるという考えの福祉社会です。社会の一員として自分の選択を意識させ、またそれが全ての人に可能な選択肢としているところは、デンマーク社会の文化をよく反映していると思います。





デンマークの幸せの秘訣、ヒュッゲな時間をもっと広めるためにサポートいただけたら嬉しいです! いただいたサポートはオープンサンドの試作など、デンマークの食文化研究に使わせていただきます。