パパの流儀

子育てに関することは基本いつも夫と一緒にやったり共有したり相談したり、ギャップを感じることが極めて少ない我が家でも、気づくと私と夫とで娘とのかかわり方に自然と違いができてくるものだ。家族への愛情の塊みたいな最高の夫でありパパである彼だが、その行動には口あんぐりなんてことも多い。これが男女の性差から来るのか、もともとの性格の違いなのかはわからない。二児の母である我が家のナニーは男親ってそうだよねとよく笑っているけれど、友達夫婦はうちは真逆!とママが大笑いしてパパが呆れていた。(笑)

①泣き声センサーが鈍い

夫に「●●(娘)のことよろしくね」と声をかけてシャワーを浴びにいくと、しばらくして「あああああーーーーーん」と悲痛な娘の泣き声が聞こえてくる。一向に止まないその泣き声に、シャワーを浴びながら思う。「転んで頭でもぶつけたのかなあ、ごはん足りなかったのかなあ、パパどうしたのかな、もしかして仕事の電話とか来ちゃったかな。早く出なきゃ。」
ささっとシャワーを済ませ、髪も濡れたまま、タオルだけ巻いてバタバタと様子を見にいく。そこにはポイっとその辺に放置されてあああああーーーーーんと泣き続ける娘の横に、ソファにデーンと横になった夫が「●●ちゃん、眠いんだって^^」とニコニコ私に言うのである。
すごい鈍感力。
娘は般若のような形相で私に手を伸ばす。そらそんな顔にもなるわなあ。

②危ないセンサーも鈍い(大事に至る直前で稼働)

夫の危ないセンサーはどうも私のそれとは構造が異なる。ベッドで遊ばせるときは必ず端に自分が横になり人間安全柵となる私に対し、夫はベッドから落ちる瞬間の娘の片足をつかんで笑ってたりする。
夫が娘をあやしているなあと思いながらキッチンに立っていると、ふと横目に宙を舞う娘が見えてギョッとする。天井にぶつかるんじゃないかという勢いで高い高いをされて放り投げられている我が娘。やっと1歳、首はもちろん座っているとはいえ、小さい体で夫の手の中に着地する衝撃だけで首がガクンとなっているのが見て取れる。やめてくれー。万が一キャッチし損ねたら娘死ぬぞー。ガシッとつかまれている肋骨もそれ結構痛いんだぞー。しかし娘は「ギャアアハハハハハ」とヨダレを垂らしながら爆笑。夫も我が子を放り投げながらひゃひゃひゃと爆笑。おかしな薬でもやったのかしらと思うようなハイな二人を横目に私はひとり眉間にしわを寄せる。
どうか事故が起きませんように。

③汚いセンサーも鈍い(というかほぼない)

出先でおしっこが少し漏れてしまったときのこと、やば、着替え入れ忘れたかも!と焦る私に夫が満面のドヤ顔で、着替えちゃんと持ってきたよ!と言う。さっすが♡と感動する私に夫が見覚えのある服を手渡してくる。これさ、昨日着てた服だよね。そして夕飯一杯こぼして染みになってたよね。洗おうと思ってその辺においておいた私も悪かったんだけれどもさ、タンスに洗い立ての可愛いお洋服いっぱい入ってるよね(涙)
あと、「お風呂、別に入れなくていいんじゃない?」って言うけど、入れるよ。絶対。ただでさえもう3日入ってないからね!
「やばいやばい、うわっ きったねーーーーーwww」と珍しく夫の汚いセンサーが発動したと思ったら、娘が満面の笑みでぺぱお(愛犬)のうんちをギュッとつかんでこちらを向いている。笑ってないで即お風呂いれよ。即!

④身だしなみへの関心ゼロ

おむつ替えを喜んで引き受けてくれる夫は最高だ。「あ、くさ!うんちしたでしょ」と言えば「うんちー??パパがチェックしてあげる―!」と飛んでくる。そして鼻歌を歌いながら替えてくれる。神。でもその後娘は大概ズボンはまともにはかせてもらえない。カバーオールは足が入ってたら良い方、股下のスナップは全開。「どうせまたオムツ替えるからめんどくさい」のはすごくわかる。でもこの子はレディなのよ、パパ。すこしまだぷ~んとうんちの香りを漂わせながらオムツいっちょでのしのしと動き回る娘を捕まえてお洋服を着せるわたし。私が出張にでも行った日にゃ娘は終始オムツしかはかせてもらえないんだろうな。

⑤出たとこ勝負

仕事をしながら子育てをする中で、先を見据えたスケジュール管理はめちゃくちゃ重要だ。仕事のマルチタスクはできても、経験上私は子供の世話と仕事のマルチタスクはできない。子供に横で泣かれながら契約書なんて絶対読めない。無理。だから私は数週間後の予定まで綿密に立てる。保守的すぎるほどナニーに来てもらい、ナニーの都合がつかず夫に任せなければいけないときは必ず事前に確認して了承を得る。そして自分が仕事に100%集中できる環境を確保する。(結果、仕事こなくてオーバースタッフィングだったりもする。でも読めないものはしかたがない。)
一方夫はというと、ナニーの手配は私におまかせ。「なんかあったら呼んで~必要だったらやるよ~^^」のスタンスでいつも書斎で仕事をしている。ナニーがいたり、私に余裕があって回っているときはぶっ続けで仕事をしていて、私がSOSを出すとハイハイ僕の出番ですねと書斎から出てきて、子供をあやしたり横で泣かせておいたりしながら仕事をしている。
子供の面倒を見ることにコミットできる人を常にひとり確保すべく事前に動く私に対して、彼の出たとこ勝負感はすごい。そんなに忙しいならなぜ先に自分でナニー手配しないんだろう?って思っても無駄。「だいじょうぶだよー必要なら●●ちゃん(娘)と一緒にコール出るよー」なんて言い出す。そして実際、私がSOSを出して嫌な顔したことは一度もない。いつもニコニコ娘を回収していくのだ。その無計画さに呆れ、キャパの広さに感心する。そんな毎日である。


"When daddy takes care of baby"とか"When daddy is left alone with baby"とかのミーム見ると世のダディたちのクリエイティブすぎる赤ちゃんとの戯れ映像が次々に出てくる。我が家でも娘はパパのお気に入りのおもちゃとして大活躍中だ。頼んでもいないのにパクチー食べさせられたりレモンなめさせられたり、しまいにはおならブーとかひっかけられてあまりの臭さにしかめっ面をするのを見て腹抱えて爆笑。爆笑する父を見て娘も何故かつられて爆笑。

夫の子育てはすごく楽しそうだ。手を抜けるところはとことん抜いて、「娘が健康でケガがなければそれでいい」という点が一貫している。娘を可愛がりながらも、自分のことも結構優先。やりたくないことはやらないし、自分も遊んで心から笑う。そんな万年ハッピーそうなパパを見て娘もゲラゲラ笑う。でもたまに「この人身勝手ですー助けてくださーい」とママのところに逃げてくる。(笑)

一緒に暮らしていると、「ちょっとそれやめて!」「それはこうやって!」っていちいち小言を言いたくなっちゃうこともある。ちゃんと涎掛け使って!すぐにお菓子与えないで!立って食べさせないで!とか(笑)
そんなママのこだわりは絶対に無駄じゃないと思うし、こりゃ夫と娘残して死ぬわけにはいかないわ、と謎の生きることへの使命感を感じてみたりするのだけど、でもそれを「ハイハイごめんなさ~い」とのんびり受け流していつもニコニコしているパパがいるって、最高だ。

任せるときは信じて任せきる。娘が宙に放り投げられていようがオムツいっちょだろうがお風呂さぼって少しぷ~んとにおっていようが、それが愛情たっぷりのパパのやり方で、そのうち娘は自分でこうしたいと口にするようになるのだ。そのときに、パパとママという異なる二人の人間をしっかり観察して、上手に使い分けていく賢さを身に着けてくれればと思う。

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