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イタリアフランス旅行記

2022.12.21-27

自分がどうしても行きたかった2カ国、イタリアとフランスにクリスマス休暇で友達と行くことになった。練習や大学の授業が立て込んで、旅行の宿が決まったのも2日前と特に計画性のない旅になった。まずフライトの値段を見て驚いた。普段なら5000円そこらで行けるという。
クリスマスという高騰した時期でも、周遊ですら2万円を切った。
恋人とクリスマスを過ごさない個人的な恒例行事は5年目を更新した。

特にイタリアは楽しみで仕方がなかった。本物のパスタとピザ、世界で1番好きなスイーツであるティラミスを心置きなく食べられる。人生において優先度の高いものがスペインからであれば気軽に手に入るという環境が、さらに自分を高揚させた。
「建築物は正直見慣れているから、今回は北海道にグルメを楽しみに行くようなもの」と友達がしきりに言っていた。完全にその通りであったのだが、実際に観光してみると想像をいい意味で裏切られることになった。
コロッセオ、パンテオン、トレビの泉、サンタマリア宮殿とイタリアといえば簡単に思い浮かぶ建築に、しきりに圧倒される。圧倒されるのは大きさだけではない。それらの歴史や大切にされてきた文化の醸成に対して、そしてその荘厳さや精巧さに驚かされる。スペインよりもそれらの数自体が圧倒的に多いような気がした。装飾された柱に、原型がわからないくらいに欠けた石像、無秩序にも見える建物の間を横切るはっきりとした通路、深い緑色に生える短い草や木が遺跡を装飾していた。何千年前もの状態を勝手にイメージしては、自分で復元していく作業が楽しかった。それらの想像元であるゲーム「ゼルダの伝説」の話を、友達は気だるそうに聞いてくれた。
グルメに関しては、文句のつけどころがなかった。3日間で6種類のパスタを食し、スイーツには必ずティラミスをつけた。1ヶ月かけたってパスタとティラミスをこんな頻度で食べないし、高いクオリティで食べられることもなかった。
カルボナーラの発祥の地である「La carbonara」で食べた濃厚なカルボナーラは、美味しさゆえに食べた瞬間にWindowsのメンテナンス画面さながらにフリーズした。コロッセオ付近のレストランで食べたボンゴレも、最終日に食べたペペロンチーノも、生きててよかったと思えるくらいに美味しかった。
ティラミスの専門店である「Mr. 100 Tiramisu」では文字通り100種類のティラミスがあり、今まで食べてきたティラミスの中で1番美味しかった。
サイドメニューのラザニアや、チーズにハチミツをつけていただくクアトロフォルマッジ、まろやかで飲みやすい赤ワインに、苦さが心地いいドラフトビールとあげだしたらキリがない。こんな楽園のような場所が飛行機で2時間乗っただけの場所に存在していた。
またイタリアにはダンディな紳士服店が並ぶ。ふらっと入ったドッペルゲンガーというブランド店。陽気で紳士な店員さんに乗せられ、かっちりとしたイタリアンスタイル一式をコーディネートされた。買うか迷っていたら「背が高いからよく似合っている。パーフェクトスタイルだ」と、こちらが気持ちよくなることを間髪なく言ってくる。店を出る時、私はハンチング帽、コート、オレンジのタートルネックといった上半身一式を買い占めていた。私の負けである。それでも本当にカッコよかったので満足だ。
2日目にはヴェネツィアへ向かった。イタリアの地理感覚が全くわからなかった自分はローマからヴェネツィアに行くのに4時間近くかかることを知らなかった。日帰りだったので移動時間の方が多くなった。朝イチで駅に着くが、新幹線が1時間半の遅延をぶちかます。誰も謝らないし、誰も怒っていない。幸運にも、その日の前にNetflixシリーズである「今際の国のアリス」のシーズン2が出たので退屈せずに済んだ。
水の都と呼ばれるヴェネツィアは駅を出た瞬間に視覚で納得することになる。目の前に広い幅の川が広がり、絶えず船が行き来している。様々な色や高さの建物が川に面していて、自家用商業用と分けられた船が波に押されてぷかぷかと揺れていた。船にはバスやタクシーの役割もあって、Googleで行きたい場所を調べると電車やバスのようなノリで「船」に乗ってくださいと出てくる。アイコンも船になっているのは生まれて初めて見た。街の中をどんだけ歩いても必ず川がそばに流れていて、船がないと玄関にたどり着けない家も多かった。島の端っこに立てば海が広がっていて、本当に水にちょこんと浮かんでいる「都」であった。冬のイタリアの日没はスペインと比べ早く5時くらいにほぼ真っ暗になってしまうのだが、暗くなってからもヴェネツィアは違った表情を見せて訪れた者を魅了していた。食べ物も当然素晴らしかった。とても滞在した5時間では足りなかった。また違うヴェネツィアを見るために戻ってくると思う。

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フランスでは予期していなかったことが起きた。クリスマス当日に何もやっていなかったのだ。街から人が消えていた。同時に宿の質もあまり高くなかった。店がやっていないので初日は寿司をデリバリーした。フランスで食べる偽物の寿司は期待していたより美味しかったのが少しおかしかった。フランスといったら美術館と思われがちだが、自分も友達も美術に興味が薄かったので外から写真を撮るに留めて、ほとんどの時間を洋服屋とカフェ・ベーカリー巡りに費やした。聞いていた通りというべきか、クロワッサンが美味しすぎて、意味もなくパンの断面を二度見した。素人でも明らかに違いがわかった。おやつにはクロワッサンフランボワーズという赤いクロワッサンを頂いたが、中に酸味のあるジャムが入っていてこれもまた絶品だった。
フランス1、2を争うベーカリーに入ったとき、エクレアも本場の国であることを思いだし追加で注文した。日本のようなふわふわした生地ではなく若干硬めのしっかりした生地で、中はチョコレートクリームがぎっしり詰まっていた。カプチーノと合わせて頂いた時に、パリ生活の何気ない1日の朝という気分になれてとても気持ちよかった。カフェ文化ということは聞いていたのだが、街を歩いていると本当におしゃれなカフェが多い。服屋もそこら中にあって、客を食いあわないものだろうかと思ったがそのあたりは謎である。さすがはファッションの街だ。
有名な建築物は、エッフェル塔、凱旋門、ルーブル美術館などを夜に見に行った。2人で「デカいな」「綺麗だな」以外の感想を言っていたかどうか思い出せないが、巡るべきところは行けたので満足した。
フランスで食べたかったのは鴨のコンフィとエスカルゴとスイーツだった。また自分が日本で最も買っていていつの間にか見なくなった飲み物であるオランジーナが普通に売られていて、無心で3本ほど買い占めた。相変わらず甘すぎない微炭酸オレンジジュースで、あの時と変わらない美味しさだった。

欧州では普通のことだが、例えばさまぁ〜ずのロケみたいな感じで良さそうだからふらっと入るみたいなことはできない。同国ではふらっと入るにはあまりにも高すぎるお店が多かった。いわゆる大衆ビストロを調べて列に並び、やっと食べたいものにありつけるのだ。
イタリアでも同様だったがこの辺りのご飯は本当にワインがよく合う。特にエスカルゴに赤ワインを合わせた時は軽く昇天した。最終日のディナーはレストランのスペシャリテであるビーフシチューを頂いた。スペシャリテなんて響きはフランスならではだろうか。店員さんが陽気な人でこちらがカタコトのフランス語を使った時は非常に喜んでくれた。高校でフランス語をやっていて初めて役に立ったので感動して、クラスメイトに通じた様子をLINEで共有した。ローテンションの返答しかこなかった。
もっと飲みたかったが、非現実的な値段に尻込みしてそれ以上は頼めなかった。アップルパイもマカロンも甘すぎずに思わず食べ過ぎてしまう美味しさだった。十分に楽しかったが、パリ旅行はもっと前もって計画したほうが楽しめたということもここに書いておきたい。

イタリアもフランスも、2時間飛行機に乗っただけでパスポートコントロールもなく、スムーズに旅が出来てとても充実した旅になった。ちょっと遠出をするだけで、言葉も文化も違う場所に気軽に行けるとは何と貴重なことだろうか。今この生活に疲れたら、日本に帰るお金が無かったら、またヨーロッパを旅しよう。

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