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あんこう鍋の締めの雑炊 潮の香りとミネラルたっぷりのシチリアの島ワイン

あんこう鍋の締めは米を投入して雑炊に。

旬のあんこうの旨味、野菜、きのこ、酒粕、さらに玉子が加わり、鍋から雑炊になり風味がもう一段、発展する。

あんこう鍋から
雑炊に。ゆかりを少々散らして。

八海山の酒粕を入れて正解だった。雑炊に上品なコクと厚みが加わる。

炊いた米をサッとざるで水洗いして粘り気を落とすと雑炊がスルスルと食べやすくなるのでおススメだ。鍋で腹が満たされた後で食べきれず、翌日に持ち越して数種のワイン合わせた。
イタリア シチリア島のカッリカンテ品種、トスカーナ州のヴェルナッチャ品種、カンパーニャ州のフィアーノ品種、フランス プロヴァンスのヴェルメンティーノ品種の計4種。魚介、野菜、味噌・酒粕、玉子と様々な風味が重層的に溢れる雑炊の風味に、特筆すべきはシチリア島のミネラルのニュアンスに富むワインとの相性。

クズマーノ, アルタモーラ, エトナ ビアンコ,カッリカンテ イタリア, 2020, 2,464円
Cusumano, Alta Mora, Etna Bianco DOC, Sicilia, Italy

2000年創業の比較的新しいワイナリーで、その品質とコストパフォーマンスの高さで人気。創業以前はバルクワインを生産していたが元詰めに参入。いきなり創業年のヴィンテージのフラグシップワイン(ノア)でトレビッキエーリ(著名ワイン評論誌ガンベロ・ロッソで満点の三つ星グラス)を獲得し注目される。このワインはヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の北斜面の畑で栽培されたブドウから造られる。
香りには潮のニュアンスをたっぷり。グレープフルーツ、ライム、スウィーティーの果実香。青い果皮の柑橘香がピンポイント海藻、ヨードが支配的、微かにスモーキー。セルフィーユの軽快なハーブ、アカシアの黄色いフラワリーな香りも。
風味にはみずみずしくフレッシュでハリのある活力のある果実味、シャープな酸味、中盤から余韻にかけてほろ苦さがゆるゆると残る。ミネラルのニュアンスに富む魅力的なワイン。
あんこう鍋の雑炊に。ワインのハリのある且つ強すぎない程よい塩梅の果実味と豊かなミネラルや塩味のニュアンスに、料理の風味の方向性とボリュームが心地よく調和。四つ星手前の三つ星。いつの間にか料理とグラスが進んでいく。相性: ★★★☆☆

シャトー・ド・ロムラード, キュヴェ・マリー・クリスティーヌ,プロヴァンス 2021, 1,631円
Château de l’Aumerade, Marie Christine, Cotes de Provence, 2021, 13.5%

シャトーの創設は15世紀に遡る、可愛らしいボトルで堅実な品質、1,000円台とコストパフォーマンスも素晴らしい。
香りにはグレープフルーツの甲高い香り、微かに海藻やヨードのニュアンス、軽やかにハーブの爽やかなニュアンス。
風味の果実味の凝縮感はかなり控えめでみずみずしい、やや明瞭に塩味、中後半にかけてやんわりとほろ苦さが引く。果実味が控えめなので料理とぶつかりにくく幅広く合わせやすい。
あんこう鍋の雑炊にワインを合わせる。複雑で重層的な風味の雑炊の余韻を、ワインの透明感の高い爽やかな果実味が引き締める。料理とワインのシナジーはあまりないが、ケンカせずしっかり馴染む。四つ星手前の三つ星。相性: ★★★☆☆

ファルキーニ, ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ, アブヴィネア・ドーニ, イタリア, トスカーナ, 2019, 13.5%, 2,541円
FALCHINI, Vernaccia di San Gimignano DOCG, ABVINEA DONI

古くからイタリアを代表する白ワイン、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ。ファルキーニ社はその優れた生産者として知られる。「アブヴィネア・ドーニ」とは、ラテン語で 「畑からの贈り物」 という意味。ヴェルナッチャ品種100%で造られる。
香りにはリンゴのコンポート、微かに蜜漬けの花梨、樽の甘やかな香り、微かにシナモンのニュアンス。
風味のファーストアタックにはやや力のある果実味があたるがすぐにすっと軽くなる、ほろ苦さやミネラルのニュアンスに富む。樽などの醸造由来の要素に果実味の要素がやや追いついていない印象あり、もう少し熟成させて統合させるとさらに面白くなりそう。
あんこう鍋の雑炊に。ワインに効いた豊かな樽の香りに玉子のふわりとしたコクが重なると予想したが思ったほどではなく、また果実味がかなり穏やかで雑炊の複雑な風味に押しやられてしまう。相性: ★★★☆☆

マストロベラルディーノ, ラディーチ, フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ DOCG, カンパーニャ, イタリア, 2021, 2,732円
Mastroberardino, Fiano di Avellino, Radici, Campagna, Italy

イタリア南部ティレニア海沿いのカンパーニャ州、標高520-620mの単一畑で栽培される地場のフィアーノ品種。ラディーチは根の意。
香りには青リンゴ、ライチの爽やかでほのかに甘やかさ。潮の香り、白胡椒のスパイス、ヨードのニュアンス、フラワリーな香りも強く、セルフィーユのハーバルな印象も。
風味はみずみずしく果実味は程よく抑制されている分、明瞭に感じる酸味と塩味。余韻にはほのかにフェノリックなタッチとほろ苦さを残す。
あんこう鍋の雑炊に。ワインのせっかくのヨードや塩味のニュアンスが、雑炊の複雑な風味に圧しやられてしまう。ケンカはしないがワインの良さが活かされずもったいない。相性: ★★★☆☆

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