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山陰沖あんこう鍋に八海山酒粕 ブルゴーニュ熟成シャルドネとのシンフォニー

先日はあん肝にブルゴーニュ熟成酒シャルドネとの相性を楽しんだが、待ち焦がれていたあんこう本体を鍋にしてワインに合わせる。

あんこうは春に産卵期を迎えるため、その前に栄養を蓄える11~3月が旬とされる。スーパーに並ぶあんこう鍋セットは冬場の風物詩だ。今回はOKストアで山陰沖あんこう浜田加工の鍋のセットを購入。あんこうの漁獲高は山口県下関港が全国1位、それに続くのが今回のあんこうのふるさと、島根県浜田港。

250グラムで 798円のセットにあん肝は含まれていなかったので、深みを出すため酒粕を投入することに。贅沢に新潟の銘酒 八海山のものを。といっても一般品とあまり値段変わらず300円ほど(300グラム)。

味噌、酒、みりん、生姜で味を鍋の下味を調える。具材は白菜、大根、焼き豆腐、シイタケ、餅巾着。最後は雑炊で締めよう。

あんこうと酒粕、そして野菜とキノコで複雑で奥行きのある味わいの鍋に、瓶内二次発酵による複雑なフレーバーを醸し出すイタリア ロンバルディア州のフランチャコルタと、20年超の熟成による風味の複雑さを呈するブルゴーニュのシャルドネ(1997年産)を合わせる。熟成シャルドネは、先日、あん肝との相性も抜群だったが、あんこう鍋とも感動的なシンフォニーを完成させてくれた。

以下、それぞれのワインの味わいとその相性について。

ルモワスネ ブルゴーニュ・ブラン キュヴェ・スペシャル, フランス, 1997, 4,266円
Remoissenet, Bourgogne, Cuvée Spéciale, France, 1997, 13%

1877年設立のメゾン。ドメーヌから買い付けたワインをじっくり熟成して飲み頃に出荷するため、貴重な古酒をふんだんにストックしている。自社でも現在は約15haの自社畑を保有しビオロジック農法でブドウを栽培。
色調の艶やかなゴールドは年月の経過を感じさせる。
香りにはアプリコットジャム、開栓日はバニラやカスタードなどもあったが翌々日にはかなり穏やかに(数日後にまた力強く復活)、林檎酒やリンゴリキュールのリンゴの力強いフレーバー。
風味は26年の熟成によりカドが取れ穏やかでややまったりとした果実味、酸味はかなり削ぎ落とされているが奥にキラリと残る。果実味は蜜のような風味に発展、中盤から余韻にかけてほろ苦さやヨード、ミネラルを感じ鼻腔をドライアプリコットが抜けていく。
あんこう鍋に。酒粕と味噌、野菜とキノコの出汁をたっぷりと吸ったあんこうの複雑で重層的な旨味を、ワインの熟成による深みが受け止める。あんこうのエキスを吸った野菜や出汁との相性も特筆。相性: ★★★★☆
仕上げに玉子とさっと炊いたお米を水で洗って粘り気を落として鍋に。あんこう雑炊だ。旬のあんこうの旨味、野菜、きのこの風味に玉子が加わりさらに風味は厚みを増したところに、ブルゴーニュ熟成酒の複雑な深みが実力を遺憾なく発揮し、口内は感動的なシンフォニーが完成。相性: ★★★★☆

レ・マルケジーネ, フランチャコルタ, ブリュット, ニテンス, イタリア, NV, 2,970円
Le Marchesine, Nittens Brut, Franciacorta, Italy, 12.5%

イタリア・ロンバルディア州でネゴシアンを家業としていたピアッタ家が1985年に設立したワイナリー。ステンレスタンクで発酵させたワインを24ヶ月超、瓶内二次発酵(熟成)。ブドウはシャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネロを使用。
香りにはフレッシュなグレープフルーツ、レモンなど快活な柑橘香、柑橘果皮のビターなフレーバー、ほんの微かに酵母の香り、ほしわらや海藻などのヨードのニュアンスも。
風味のなかの果実味の主張は控えめでほろ苦さ、切れ味のあるシャープな酸味、ミネラルのニュアンスに富む。果実味豊かなタイプとは一線を画し一貫してドライ。
あんこう鍋にワインを合わせる。ワインは予想以上にドライでさっぱりしたスタイルで、期待した複雑な奥行きにはやや欠けている。そのため、あんこう鍋の醸し出す複雑な風味との重なり合いやシナジーにも欠けた。酒粕が溶け込みコクのある鍋の風味を、泡の刺激と酸味でさっぱりとさせてくれた。相性: ★★★☆☆

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