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イワシとマアジのフライ カヴァとヴィーニョ・ヴェルデ

自宅でイワシとマアジをフライにした。
といっても衣まで付いた冷凍品を揚げただけだが、このひと手間でスーパーで出来上がったものを買うのに比べて断然おいしい。揚げ物は素材を揚げるというシンプルな料理だけに、美味しさの半分以上は”出来立て”というコンディションが構成しているのではなかろうか。素人による多少の揚げ具合いのしくじりは揚げたて感がカバーする。
暑さが残る時期は苦行のキッチンでの油との対峙、調理後もしばし部屋に残る油の臭いをもってしても、時々無性に出来立てのフライを食べたくなる。
さて、半身が浸るほどの油をフライパンに敷きイワシから揚げていく。少々揚げ過ぎてしまい見た目がかりんとうのようになってしまった笑

こちらはマアジのフライ。こちらもやや揚げすぎたがまずまずの出来かと。

イベリア半島のスペイン、ポルトガルの2カ国のワインを合わせる。

スペインのカヴァ。
ヴィニェードス バルモラル, エドネ キュヴェ ド マリア, スペイン, 1,419円
Vinedos Balmoral, Edone, Cuvee De Maria, , Spain, 12.5%

非常に力強い琥珀がかった色調、きめ細やかな細やかな泡が力強く絶え間なく立ち上がる。
香りにはアプリコット、黄桃の力強い果実香に、明瞭にブリオッシュ、ほんの微かにシェリー酒、ホシワラ系のニュアンスがスパイシーな要素となり非常に複雑。香りのボリュームは非常に大きく充実。
ジューシーで豊かな果実感、こぎみよい酸味、中盤以降にヨードや磯のニュアンス、ゆったりと続くほのかにビターでドライな余韻。程よい熟成感も感じられて1,500円以内とは思えない驚愕のコストパフォーマンス。

ポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデ。
ドン・ディオゴ, アリント ヴィーニョ・ヴェルデ , 2021 キンタ・ダ・ハーザ ジョゼ・ディオゴ テイシェイラ コエリョ家, ポルトガル、1,496円
Dom Diogo, Arinto, Vinho Verde D.O.C., Portugal, 2021, 12%

グリーンがかった淡い色調。
青リンゴ、洋梨、白桃の微かに甘やかさを感じる香りが軽快に、ほのかにライム、さらに白い花も、万人受けの親しみやすい芳香。
軽快な凝縮感で親しみやすい果実味、酸味はやや穏やかながらも的確に存在しワインを心地よく引き締める、鼻腔をほのかにナッティなニュアンスが抜ける、フレッシュ、フルーティ、シンプルな余韻が楽しいワイン。

まずはイワシのフライに2つのワインを合わせる。

カリカリの衣のこうばしさに瓶内二次発酵によるイースト香が寄り添う。衣の奥の熱々のイワシの白身、磯の香りとやんわりとした苦みがふわりと香る中、カヴァの程よい熟成感がイワシの風味の要素を幅広くカバー。驚くことに微かな苦味も含めてカバーする。カヴァの懐の広さを再認識。
相性: ★★★★☆

ヴィーニョ・ヴェルデの明るいリンゴ系の果実味がイワシのほのかなに苦味に反発するかと思いきや不思議に同調する。現地ではイワシもよく食べられるということでこういう組み合わせも楽しまれているのかもしれない。
相性: ★★★☆☆

続いてマアジのフライに。
マアジの淡白で上質な脂、カリカリの衣のこうばしさにカヴァの果実味と心地よい複雑さが絶妙に調和。
相性: ★★★★☆

ヴィーニョ・ヴェルデの明るいリンゴ系の果実味はフライにしたマアジにも同調。ただ、組み合わせることによる高め合いもあまりないか。
相性:  ★★★☆☆

結論、カヴァの懐の広さは素晴らしい。魚のほのかな苦味に合わせるワインは非常に限定されるが、カヴァは異次元の包容力をみせる。料理と合わせることで真価を発揮する。そしてコストパフォーマンスも非常に高い。
ヴィーニョ・ヴェルデの明るい果実味に魚の磯の香りや苦味が全く反発しなかったのは、現地で魚と合わせることも自然と念頭に置かれたワインづくりがなされているのだろう。

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