鰯の竜田揚げ スペイン リアス・バイシャスの海のワイン
スーパーでお惣菜を探していると、鰯の竜田揚げと目があった。
鶏肉の竜田揚げ、鯖の竜田揚げはよく聞くが、鰯は聞いたことがない。
こじんまりとした鰯20匹ほどが衣を纏いきれいに並んでパックに収まっている姿がなんとも可愛らしい。
さて、竜田揚げと唐揚げの違いが気になったので調べてみた。
竜田揚げは醤油で下味、片栗粉で揚げる、唐揚げの下味に縛りはなく、小麦粉で揚げる、ということだ。
今では、小麦粉に片栗粉を混ぜるなど、レシピが柔軟に運用されているようなので境界線は曖昧になっているようだ。
竜田揚げ、なんとも物々しい名前も気になる。
竜田揚げ発祥に関する有力な説の一つが、奈良県の竜田川にちなむというもの。小倉百人一首の在原業平の和歌「千早ぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」に由来。奈良県の竜田川は、古くから紅葉の名所として知られていたが、竜田揚げの揚げた後の色が赤褐色をしており、紅葉のように見えることから命名されたとする説。
小学生の頃、なぜだか学校で百人一首を覚えることとなっていたが、意味も分からず暗唱した千早ぶる・・・、を久しぶりに聞き懐かしくなる。
さて、そんな鰯の竜田揚げに合わせようとセラーから取り出したのはスペイン西沿岸、ポルトガルの北側に位置するリアス・バイシャスのワイン。通称海のワイン。
アルバリーニョという固有品種で造られる。
アデガス バルミニョール M-100 アルバリーニョ
Adegas Valminor, O Rosal, M-100, Rias Baixas, Spain, 13.5%, 3,630円
ゴールドがかった明るくはっきりした色調。
よく熟したリンゴ、蜂蜜漬けの花梨が豊かに広がる、果実香とともに黄色い花のフラワリーな香りも明瞭に、まったりとしたバニラ香、微かに白胡椒のスパイス。
厚みのある果実味のアタックながらみずみずしさも兼ね備えていて滑らか、穏やかな酸味、余韻にヨード系のニュアンスを思わせるビターなタッチが微かに、果実味の余韻は中程度だがその後も鼻腔を抜ける樽香もありゆったりとワインの余韻を楽しめる。
鰯の竜田揚げにもレモンを強く絞ってワインと合わせてみる。
レモン汁を吸い込んだ衣が接着点となりワインとそれなりに繋がったが、鰯に残った肝か、ほんのりとした苦味がワインと合わさることで顕著となり、少々反発してしまった。
ここ数日、魚介の苦味に合わせるワインの難しさが勉強になっているが、ワインが繊細すぎたり、複雑過ぎたり、或いは逆に果実香が派手過ぎるとどうしても苦味には反発する。
無難に合わせにいくには吟醸香を伴うような甲州品種のワインだが、いろいろ失敗もしつつ冒険を楽しみたい。
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