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甘辛のキンメダイの煮つけ 標高400mのブドウと水深800mの魚の調和

甘辛の味付けのキンメダイの煮つけに黒ブドウの風味豊かなスパークリングワインを合わせようと、週末に台所に立つ。
キンメダイと呼ばれるゆえんである金色の目は、目の奥に反射板があるためだ。未成魚は水深100-250m、成魚は沖合の水深200-800mの岩礁域に住み、暗い深い海の少ない光をこの反射板で集めて獲物を見つけている。国産のものは高価で、スーパーにはニュージーランドなどから冷凍輸入したものが流通している。私がスーパーで見つけた400円少々の冷凍の切り身2枚もニュージーランド産だった。醤油、酒、砂糖、みりん、そして自分好みに生姜を加えて煮付ける。
キッチンから生姜を伴う甘辛の醤油の香りが広がると、なんだかたいそうな料理をした気分になる笑

さて、イタリアのスプマンテから合わせてみる。

ヴァンジーニ, ピノ・ネロ, スプマンテ, エクストラ・ドライ、2,109円
Vanzini, Pinot Nero, Spumante Extra Dry

ピノ・ネロ、つまり黒ブドウのピノ・ノワール100%で造られるブラン・ド・ノワールスタイルのワイン。ブラン・ド・ノワールはフランス語で黒の白という意味で、黒ブドウから白色のワインといったところだ。黒ブドウから造られるが果汁を取り出してすぐに果皮を離すので見た目は白ワインのような色調となる。ロンバルディア州の南、オルトレポ・パヴェーゼの標高約300~400mの畑で栽培されたブドウを使用。
香りにはリンゴのコンポートをほのかに軽快に、干し藁のようなスパイシーなヒントは温度が上がるにつれ強まる、黄色い花、控えめなボリューム。
風味には黒ブドウらしい密度のある質感と充実の飲みごたえ、シャープな酸味、中盤からじわじわとほろ苦いタッチ、余韻にはまったり、クリーミーな厚みも。
キンメダイの煮つけに合わせる。キンメダイの豊かな脂により口内に甘みが広がり醤油ベースの甘辛のソースに絡み合う。そこに黒ブドウの厚みのある風味のワインが心地よく調和。さらに甘辛ソースと脂でまったりとした口内をスパークリングワインの泡の刺激がさっぱりと引き締めてくれる。次のひと口、次の一杯が進む素晴らしい相性。相性: ★★★★☆

続いて、イタリアのサルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種、ラツィオ州のフラスカーティにも合わせてみる。

ジュゼッペ・ガッバス, マンザニーレ, 2019, ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャ , イタリア, 2,464円
GIUSEPPE GABBAS, Manzanile

「マンザニーレ」のネーミングは、サルデーニア語のマンザヌ=朝を迎える、にちなむ。昔、朝に白ワインを飲む地元の習慣があったことに由来。
香りにはグレープフルーツ、ライムの青いニュアンスも微かに、果実香はやや控えめ、グラスを回すと潮の香りがふわりと広がる。
風味にはみずみずしい口あたり、中庸ながらワインを引き締める酸味でワインには緩さはない、グリップとほのかな渋みとビターネス、余韻にヨードが明瞭で岩塩を舐めた後のよう。
キンメダイの煮つけに。ワインの潮の香りを起点にふわりと寄り添うが、キンメダイのリッチな脂と甘辛ソースにはワインのハリのある柑橘香はいま一つ重なり合わないか。相性: ★★★☆☆

ポッジョ レ ヴォルピ, エポス, フラスカーティー・スーペリオーレ セッコ, 2,079円
Poggio Le Volpi, "Epos" Frascati Superior, Secco DOCG

西にティレニア海を臨むラツィオ州で造られるワイン。マルヴァジア・ディ・カンディア、マルヴァジア・ディ・ラツィオ、トレッビアーノの3種のブドウをブレンド。
香りには干しわらの香り強くドライハーブのタッチ、グレープフルーツ、蜜漬けカリン、白い花、ボリュームは中か中のやや強、全体的にややヴェジェタル、潮の香りも。
風味にはみずみずしい果実味、トップからドライでビターネス強めでやや気難しさあり。酸化的なニュアンスを含み酸味はややはっきり、塩味が心地よいアクセント。
キンメダイの煮つけに。ワインの潮の香りや塩味にまずまずの相性を見せるが、干しワラやヴェジェタルなニュアンスが料理には重なり合わない。相性: ★★★☆☆

キンメダイや赤魚など脂が豊かな魚の煮つけに、ブラン・ド・ノワールスタイルのスパークリングワインのリッチな黒ブドウの旨味と泡の刺激がぴったりだ。先日に合わせたブリ大根よりもキンメダイの煮つけにぴったりのワインだ。

イタリアの標高400mの山あいで栽培されたブドウで造られたワインと、ニュージーランドの水深800mを泳ぐキンメダイ。標高差1,000m超の素晴らしいコンビネーションを楽しんだ。

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