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ブリ大根 スペイン赤ワイン(メンシア品種)の意外な調和

ブリの煮汁を吸わせた大根をつまみながらワインだ、と思い立ちスーパーにブリの切り身を買いに自転車をこぐ。山形産のちょうど良さそうな切り身を見つけた。
自宅に戻り大根はいちょう切りにしてレンジでしっかり加熱し時短。水、醤油、酒、みりん、砂糖を煮立たせ、レンチンした大根を投入、しばらくしてからブリも。生姜を多めに入れ、落し蓋をしてほどよい頃合いを待つだけ。多すぎた煮汁を蒸発させようとして火を通しすぎてしまい、ブリの身が少々固くなってしまった。次回は煮汁の量に注意だ。途中で捨てようかと思ったが、ブリのエキスが溶け込んだ煮汁を捨てることをつい、ためらってしまった。

ブリを煮ながら、汁物を作る。のどぐろ入り天ぷらを適当な大きさに切り、ニンジンと一緒にカツオだしパックを入れて茹でていく。具が寂しいなと思い、昨日の刺身に入っていた多量の大根のつまを入れてみた。ちょっとした歯ごたえのある麺のようで面白い汁物になった。仕上げに塩昆布で味を調えて昆布汁に。

もう一品は残っていた小田原産かまぼこを刻んで前菜代わりにわさび醤油で。

料理にイタリア ロンバルディア州のピノ・ノワール品種のスパークリングワイン、イタリア サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種、日本の甲州品種、スペインのメンシア品種に合わせていく。

ヴァンジーニ, ピノ・ネロ, スプマンテ, エクストラ・ドライ、2,109円
Vanzini, Pinot Nero, Spumante Extra Dry

ロンバルディア州の南、オルトレポ・パヴェーゼの標高約300~400mの畑で栽培されたブドウを使用。
香りにはリンゴのコンポートをほのかに軽快に、干し藁のようなスパイシーなヒントは温度が上がるにつれ強まる、黄色い花、控えめなボリューム。
風味には黒ブドウらしい密度のある質感と充実の飲みごたえ、シャープな酸味、中盤からじわじわとほろ苦いタッチ、余韻にはまったり、クリーミーな厚みも。
かまぼこのわさび醤油に。かまぼこのソフトな味わいとふわりと広がる魚の磯の香り、それを引き締めるわさびの爽やかな刺激。ワインの泡の刺激と白ワインの色合いながら黒ブドウのみで造られた肉厚な果実味が心地よく重なる。相性: ★★★☆☆
のどぐろの天ぷら入り昆布汁に。天ぷらにはのどぐろの他にイトヨリダイ、スケトウダラが練りこまれていて、のどぐろの風味を見つけるのがなかなか困難だが、かまぼこと同様に穏やかに立ち上がる磯の香りに、ワインの泡の刺激が心地よく調和。相性: ★★★☆☆
ブリ大根に。煮出したブリにもしっかりと風味が残っている、さすがブリ。ブリの少々強めの脂や旨み、それをしっかり吸い込んだ大根に、泡の刺激と黒ブドウの充実の果実味がバランス。相性: ★★★★☆

ジュゼッペ・ガッバス, マンザニーレ, 2019, ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャ , イタリア, 2,464円
Giuseppe Gabbas, Manzanile, 13.5%

サルデーニア語のマンザヌ=朝を迎える、にちなんだワインの名前。昔、朝に白ワインを飲む地元の習慣があったことに由来。羨ましい朝の習慣だ笑 
香りにはグレープフルーツ、ライムの青いニュアンスも微かに、果実香はやや控えめ、グラスを回すと潮の香りがふわりと広がる。
風味にはみずみずしい口あたり、中庸ながらしっかりとワインを引き締める酸味でワインには緩さはない、グリップとほのかな渋みとビターネス、余韻にヨードが明瞭で岩塩を舐めた後のよう。
のどぐろの天ぷら入り昆布汁に。天ぷらの穏やかな磯の香りに、サルディーニャの島ワインの潮の香りが調和。相性: ★★★☆☆
ブリ大根に。ブリの個性的でやや強めの脂と旨味、それを吸い込んだ大根を大らかに受け止めるサルディーニャの島ワインの潮風の香り。料理に効かせた生姜にワインが磁石のように吸着し相性を盛り上げる。相性: ★★★★☆

ドメーヌ・デ・テンゲイジ, 甲州, argenté アルジョンテ 2019, 3,443円

香りには大ぶりの和梨のおおらかでみずみずしく柔らかい香り、青いトマト、パパイヤのアクセント、ワインヴィネガーのようなやや酸化的なニュアンスもほのかに。
風味にはみずみずしい軽やかな凝縮感、前半からほろ苦さが走る。若干の酸化のニュアンスと軽快な果実味のためか酸味を強く感じる。パパイヤなどの香りに日照時間の恵みが垣間見られるが、どちらかというと酸味がやや強く風味の統制、バランスを重視したスタイル。
ブリ大根に。甲州品種特有のほろ苦さが穏やかな果実味が料理に調和しつつも、ワインのやや酸化的なニュアンスや酸味が強く、あと一歩といったところ。相性: ★★★☆☆

ラガール・デ・ロブラ メンシア プロダクション リミターダ ビノス・デ・アルガンサ, 2018, 2,178円
Lagar de Robla, Vinos de Arganza, Spain

プラムジャム、カシスリキュールなどの濃厚な果実香ながらボルドーワインのようなメントール、針葉樹の爽やかな香り、カカオにチョコレート、よく馴染んだ樽香、香りは上質なボルドー。芳香成分が多くかつ強く、潮風を嗅いだように鼻が乾くような感覚を覚える。
密度の高い充実の果実味、舌が乾くようなタンニン、強い塩味と酸味、非常に長い余韻、
多少の緊張感のあるフィネスのしっかりしたワイン。今年飲んだスペインワインのトップ5に入る。驚異的なコストパフォーマンス。
ブリ大根に。以前は鮭の塩焼きに合わせて素晴らしい相性を見せたスペインのメンシア品種。酒屋の店主が薦めてくれたが土壌のミネラルが魚とよく繋がると。

ピノ・ノワールやマスカットベーリーAとマグロといった組み合わせを除き、赤ワインと魚との組み合わせには神経を使うが、ブリ大根とこのワインも心配無用だった。ワインがいささかパワフルではあるがブリの風味への反発は一切なく調和、醤油・みりん・生姜の甘辛の味付けもこのワインには程よく、口内はシームレスにブリ大根から赤ワインへと風味が移り変わる。相性: ★★★★☆

ブリ大根は以前にブルゴーニュの1988年熟成酒との相性も楽しんだが、スペイン メンシア品種とも素晴らしい相性だ。


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