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これまで来た道、これから行く先

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旅がどこまでも続くように。1000字エッセイ。
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2019年4月の記事一覧

ちぎれた破片は胸の中に

ちぎれた破片は胸の中に

答案がビリビリに破かれていくのを、ただ無感情に、しかし涙を流しながら眺めていた。中学一年の夏のことである。

一学期の期末考査。数学の試験範囲は文字式の計算であった。授業中に特に難しさを感じるようなものではなかった。

返ってきた点数は96点だった。失点の原因はケアレスミスである。問題用紙に計算していたときは「b」と書いていたものが、解答用紙には「6」と書かれている。マイナスとプラスを書き間違えて

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