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"声援"という名のラストピース~2022.10.9『中島翔子vs坂崎ユカ』~

はじめに

私は、「声援無しでもプロレスは面白いし、楽しい」と思っているタイプだ。


私自身、元々積極的に声出ししながら試合を見る人では無かったので、2022年頃より各団体で声出し応援が再開され始めた辺りから出てきた、「声援が無いと面白くない」という価値観を強調してくる風潮に対し、どこか違和感を拭えずにいた。
きっと、そうした風潮への反発に似た気持ちも、上述した理由に含まれているのかもしれない。


そんな私が、素直に「声援があったからこそ、素晴らしい試合になった」と感じられた試合がある。

2022.10.9・東京女子プロレスTDCホール大会で組まれた、『中島翔子vs坂崎ユカ』によるプリンセス・オブ・プリンセス王座戦だ。


約4カ月前の2022年6月に、サイバーファイトフェスティバル2022でも、王者・挑戦者が全く同じシチュエーションで王座戦が実現したものの、私自身、当時の試合に関する印象は薄い。
【東女が出せる最上級の黄金カード】という戦前の高い期待感に対して、どこか2人が突き抜けきれずにいた部分を感じてしまったからだ。


あれから約4ヶ月、坂崎は『東京プリンセスカップ』優勝を果たし、再び中島の持つ王座への挑戦権を勝ち取った。

このリマッチで、私は声援の持つ力を体感することになったのである。


『中島翔子vs坂崎ユカ』

迎えた、東女ビッグマッチのメインイベント。


今大会では、マスク着用での声援が可能に。
各試合、客席から選手に向けて声援が飛んでいたが、中でもメインイベントは「なかじま!」、「ユカっち!」という声援が試合前から飛び交い、既に熱い空間が形成されていた。


関節技や締め技で捕獲された際、エスケープしようとする選手に注がれた声援。


声援の相乗効果もあってか、試合は徐々に盛り上がりを増していく。


声援が最高潮に達したのは、試合中盤~終盤。
坂崎が雪崩式マジカルメリーゴーランドを決めた直後、会場に巻き起こったのは、大音量の中島コールだった。


この直後、劣勢を巻き返す中島を見て、私は確信した。
『中島vs坂崎』に必要なラストピースは"声援"だったのだと。

それは、冒頭で述べた『サイバーファイトフェス2022』に無くて、今回のTDCホールに有った要素でもある。


「声援が盛り上がりの全てを決めるものではない」と考えていた私も、会場に渦巻く声援と熱気を前に、その考えを改めざるを得なかった。


ビッグマッチのメインに相応しい熱闘は、坂崎のマジカルメリーゴーランド→魔法少女にわとり野郎が決まって勝負あり。


どこか突き抜けきれない様子もあった、『サイバーファイトフェス2022』の大一番から約4ヶ月…。

その間、東女では声援解禁の大会が実施され(7.9大田区総合体育館)、今回のビッグマッチでも解禁された声援。


この"声援"というピースを以て、『中島vs坂崎』は一種の完成形を迎えたのだと私は思う。
その光景は、とても喜ばしく、美しいものであった。


まとめ

"声援"という存在の強さと力を実感した、2022.10.9の『中島vs坂崎』。


この日は、会場に程近い後楽園ホールでは天龍プロジェクト(昼)にGLEAT(夜)、2AWは千葉城で無料プロレス、小平では夕方から商店会プロレスと、関東各地でプロレス興行が立て込む興行大戦争だったが、そんな中でも東女は前売段階で全席完売。

興行戦争の中、フォロワー様の後押しもあり、直前で観戦を決めた私でしたが、Twitterに書ききれない感想を自然とnoteに書きたくなるような試合に出会えて、本当に幸せでした。


前述の通り、私は「声援がないと面白くない」という価値観を、他者に求める風潮に対して違和感を覚えるタチである。
(決して、声援そのものを否定する訳ではない)


「声援無しでもプロレスは面白いし、楽しい」と考えていた私だけれども、その考えは、今回の『中島vs坂崎』を通じて少なからず変化した。

「声援という要素があるからこそ、完成される試合もあるのだ」と…。

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