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"看板持ち"が"狙われる男"になった日~2022.9.4 『河上隆一&KAZMA SAKAMOTO vs 田村ハヤト&チェック島谷』~

2022.9.4、梅田ステラホールにてGLEATの興行が行われた。


この日の大阪は、日中に大日本プロレス、アイスリボン、道頓堀プロレスなどが被る大興行戦争だったのだが、GLEATは満員御礼。

新型コロナウイルスの影響で欠場者は出たものの、全6試合が大満足の内容であった。


そんなこの日のメインカードで組まれたのが、G-INFINITY王座戦。


今年8月に初代王者チームが決まったばかりの新設タッグ王座。

その初防衛戦は、GLEATのユニット・『バルクオーケストラ』による同門対決となったのである…。


プロローグ

「実力はあるのに、実力相応のポジションで登用されていない(いなかった)。」

これは、私が島谷常寛という選手に対して(失礼ながら)抱いていた印象である。


身長157cmと小柄な体躯ながら、それを感じさせない肉体の分厚さとスピードを活かした攻めを有していたにもかかわらず、DDTプロレスリング在籍時は所謂"弄られキャラ"的なポジションで登用される事が多かった。


その後、DDTの人気ユニットであるDAMNATIONに加入するも、島谷の立場は"看板持ち"で弄られキャラという役回り…。


ただ、そうした中でも、2019年はエル・リンダマンとのシングルマッチや、DDTグループの合同興行・『DDT ULTIMATE PARTY』でのKO-D6人タッグ王座戦で爪痕を残す活躍を見せていた。
(前者に関しては興行全体が低調だった事もあって、この試合の内容に救われた部分は大きかったと記憶している。)


2019年11月にDDTを退団後は、フリーランスとしてDDTを中心に参戦。


2021年9月にDAMNATIONが解散すると、直後の9月29日に行われたGLEAT新宿FACE大会に来場し、河上隆一と田村ハヤトのガチムチ軍に合流。

『ガチムチ軍』は、その後『バルクオーケストラ』に改称し、現在に至る。


GLEAT参戦後は、CIMAから(再試合ながら)1カウントフォールルールで勝利をおさめるなど、以前なら考えられない結果もついてきた。


その後、GLEAT参戦時のみ『チェック島谷』のリングネームで活動。
2022.8.24に行われた後楽園ホール大会において、田村ハヤトと共に、前述した新設のタッグ王座への挑戦を表明。


他団体では、直近で2度(2022年5月、8月)、プロレスリングHEAT-UPが管轄するタッグ王座に挑戦していた島谷だが、GLEATでのタイトル挑戦は初の事だった。


相手は、ユニットの仲間である河上隆一とKAZMA SAKAMOTO。

ヘビー級が集うバルクオーケストラの中で、唯一のジュニアヘビー級である島谷が、体格差をどのように跳ね返していくのか。
試合のカギは、島谷が握っていた…。


『河上隆一&KAZMA SAKAMOTO vs 田村ハヤト&チェック島谷』

迎えたタイトルマッチ当日…。


初防衛戦はユニット同門対決となったが、内容は苛烈そのもの。


「もしも双方の関係性を知らない人が見たら、同門対決と信じて貰えないのではないか」と思うくらい、激しく削り合うバルクオーケストラ。


終盤は、4選手の中で唯一ジュニアヘビー級の島谷が捕まる展開に。

KAZMA SAKAMOTOの容赦ない猛攻を、カウント2で耐え凌ぐ島谷。
誰もが、王者チーム防衛は時間の問題だと感じていた…。


しかし、島谷がKAZMAに何度か試みた丸め込み技でカウント3が入った刹那、会場内がどよめきで爆発した。
観衆の誰もが疑う余地なんてない、見事な3カウント。


かつて、キング・オブ・ダーク選手権(※王者はダークマッチにしか出られないベルト)や、ベストボディジャパンプロレス管轄のタッグ王座などを戴冠した事はあったものの、今回のタッグ王座戴冠は、島谷にとってキャリアハイの結果ではないだろうか?


後からTwitterで知ったのだが、島谷がG-INFINITY王座を戴冠した9.4は、DAMNATION解散から丁度1年が経った日だという。


DAMNATIONの看板持ちだった男は、節目の日に、新進気鋭の団体で王者に君臨したのである。

内容も含め、「大阪でこの試合を観に行った事は間違いなかった」と言える満足度の高さ。
その主役は、まぎれも無く島谷だった。


まとめ

メインイベント終了後、河上のリマッチ要求をキッカケに、ほぼすべての所属・レギュラー参戦選手がリング上に集結する展開に…。


各選手がベルト獲りに向けた主張を展開していく中、その中心地に立っていたのは田村であり、島谷だった。


島谷はもう、看板持ちなんかではない。
CIMA、T-Hawk、入江茂弘、田中稔といった錚々たる面々から首を狙われる王者として、団体の中心地に立ったのだから。


本当に、おめでとうございます!


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