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年齢は、ただの数字である~2022.8.11『杉浦貴vs小島聡』~

はじめに

2022.8.11より開幕した、プロレスリング・ノアのシングルリーグ戦『N-1 VICTORY』。


約1ヶ月間にわたり、列島各地で激闘が展開されるリーグ戦の開幕戦で、個人的に興味深いカードが組まれた。
そのカードとは、セミファイナルで行われた『杉浦貴vs小島聡』。


2015年以来、7年振りに実現した一騎打ちであるが、1970年生まれの2人は今年で52歳。

シビアな言い方かもしれないが、この手のシングルリーグでは、ベテラン選手ほど出場機会が減っていく傾向にある。
それだけに、50歳を過ぎた2人がリーグ戦にエントリーされているのは、本当に凄い事だと私は思う。
(今回のリーグ戦では、藤田和之、船木誠勝、望月成晃も50歳を超えている)

実際、杉浦は今年6月まで世界ヘビー級王座(プロレスリングZERO1)を保持していたし、小島も今年6月にGHCヘビー級王座戴冠を果たすなど、今も衰え知らずな姿を見せている。


私はそんな2人の試合を見て、ある曲の事が頭に思い浮かんた…。


年齢は数字だと気付かせてくれた、『杉浦貴vs小島聡』

ORIGINAL LOVEの楽曲に、『ゼロセット』という曲がある。


2019年にリリースされた同曲の紹介文は、こんな内容が記されている。

この曲は、90年代前半にリリースされたシングル「朝日のあたる道 (1994年)」やアルバム『風の歌を聴け(1994年)』から連なり、今作の全体を貫く“いつの日よりも今”を肯定する “人生讃歌”というテーマと、疾走感溢れ煌めく黄金のオリジナル・ラブ・サウンドが融合。


奇しくも、同曲をリリースした2019年2月時点で、田島貴男の年齢は52歳。

当時の田島貴男は、今の杉浦や小島と殆ど変わらない年齢で、「ビギナーやベテランが同じラインに並んでいる」事や、「ヴィンテージでも未知なる可能性を持っている」事に曲中で触れ、同世代を鼓舞している。


今回の『杉浦vs小島』を見終えて、私が同曲の存在を頭に思い浮かべた理由は、試合そのものに【いつの日よりも、今を肯定する人生賛歌】の趣を感じたからである。


杉浦も小島も過去に幾多の功を成してきたはずなのに、そうした名声や想い出に頼ることなく、今持っている力量の凄さをストレートにぶつけ合う事で、素晴らしい試合を見せていたのだ。


今のプロレスリング・ノアには、所属や他団体参戦を含め、年齢を感じさせないベテラン選手が多い。
世代交代の面で考えてしまうと、この点は賛否分かれる所なのかもしれないけれど、年齢を感じさせないベテランの活躍は、「年齢がただの数字である」事を如実に証明している。


そんなベテラン2人が織り成した熱闘は、小島にフロントネックロックを極めた杉浦が勝利。
セミファイナルという試合順でも、両者が年齢に負けない存在感を示す内容となった。


まとめ

「潮崎(豪)から(ベルトを)取った時に『まさか』って思ったし、まだまだ諦める年齢ではないっていうか、いい目標になった」


試合後に、杉浦がこのようなコメントを残している。


開幕前日の記者会見では、「今年の『N-1』で優勝できなければ、来年以降のリーグ戦に出場しない」という覚悟を示した杉浦。

いずれ、誰しもが引退だったり、自らの立ち位置を引いたりしていく中で、今の杉浦の試合を、リーグ戦でのシングルを、生で見られる事は決して当たり前ではない。
私は杉浦のコメントを聞いて、この事に対する有難みを改めて感じた。


一方の小島も、試合後にTwitterで、同学年である杉浦を意識したツイートを残している。


「もしかしたら、この試合を経た事で、杉浦貴と小島聡によるライバルストーリーが芽生えたりもするのだろうか?」
私はふと、そのような事を考えずにはいられなかった。

プロレスでは、点がいつ線として作用するかなんて、誰にも分からないのだから…。
この点が線として結びつく瞬間を、私は今から待ち遠しく感じている。



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