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使われる建築"角川武蔵野ミュージアム"

少し前に行った隈研吾氏設計の角川武蔵野ミュージアム。数多くのプロジェクトを抱えるこちらの設計事務所の建築はよく話題に登り、建築雑誌で見ない日はない。美しい建物もよいが、人々に使われる建物はより嬉しい。作り手目線も入るけど。何度か仕事でこの設計事務所とご一緒したが、使われるシーンを想像し設計に反映する姿勢が素晴らしい。

1.本、建築、音楽、アートが境目なく体験できる
紅白で見たから、家族連れが公園で遊ぶついでに、などミュージアムを訪れる理由は様々だと思うが、訪れるとサブカルもプロジェクションマッピングも諸々体験できてしまう。本のキュレーションも絶妙。情報収集が容易になり境目はなくなりつつある。そんな現代を象徴するミュージアムと言える。

2.クライアントやユーザーに寄り添いつつ、ちゃんとWOW!がある
おそらくミュージアムに馳せるクライアント側の思いは尋常ではないと予想するが、設計者が理解し、建築がそのニーズに応えている。空間で思い思いに過ごす人々の様子を見るとよくわかる。さらに吹き抜けの本棚劇場はWOW!が感じられる点においてクライアントやユーザーの期待値を超えているだろう。

3.武蔵野の地に馴染む建築
隆起したような建物形状だからか、表層の石の表情がとても柔らかい。武蔵野はトトロの森のイメージが強いが内部に使われる木や外部の水景など周辺の自然環境を解釈し表現されている。

TVやSNSでよく取り上げられ、何か面白そうだから週末行ってみようか、という感覚で人々は訪れ、見て、読んで、体験する。そうして多くの人に使われる建築は、本望だろう。

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