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「らしい」が爆発してる映画"青葉家のテーブル"

遅ればせながら「青葉家のテーブル」の映画を見た。以前ドラマを見た際に、ストーリーも音楽も俳優もインテリアにもはまってしまい、映画を期待していた。
この映画の企画をしている「北欧暮らしの道具店」は北欧の雑貨を中心に取り扱うECサイトであることは大分前から知っていたし、最近はサブスク音楽配信サービスのプレイリストも展開し、メディアを上手く活用してECサイトの域を超越してブランドを確立し、この世界観に共感する人たちを魅力し続けている。

キャスト

1.青葉家とその関係者たちの空気が「らしい」

まず第一に俳優が全て素晴らしい。自分が好きなことに素直で、素朴で、こだわりがあって、でも自分を貫き通せず、誰かと比較したり、言いたいことが言えない弱い部分もある。そんな誰にでも思い当たルーバー経験があり、どっぷり共感できる。瑞々しい青春も描かれていたり、いつかの未来にたどり着いてしまった大人のもどかしさも等身大で、暮らしているかのように演じている。

映画で出てくるインテリア

2.暮らしに纏わるインテリアや食が「らしい」

最近映画やドラマに出てくるインテリアは、コーディネーターによってハイセンスにかつ生活感も醸し出しながら演出されている。一方この映画に出てくるインテリアや食事は、主人公春子が自分の暮らしに必要なものをひとつひとつ選んでできているようなリアリティを感じる。春子の旧友知世のお店でも、長い時間を共有し、どこか共通する価値観で構成されたお皿や小物、色や味が感じられる。青春真っ只中な子どもたちが着てる服や好きな音楽も、彼らの人柄や感覚によって、ごく自然体に身につけている印象を受ける。

3.トクマルシューゴ他の音楽が「らしい」

劇中で春子の息子たちが組んでいるバンドの音楽、昔春子たちが夢中になり、息子たちも憧れるバンドの音楽をトクマルシューゴが手掛ける。彼が得意とする色んな楽器が呼吸をするように奏でられる音楽は、映画に出てくる景色や登場人物の気持ちに溶け込んでいる。

北欧暮らしの道具店を運営するクラシコムの社長は、ECサイトでありながら「まだ買い物をする気がない人」を対象としてコンテンツを展開している。確かに買う気はないけど、見てるうちにジワジワとファンになり、ドラマ内に出てくる青葉家のテーブルにあったイッタラの食器が何だか素敵だったから欲しくなってきた、という現象は十分に考えられる。世界観の醸成によってファンを作りだし、お客さん化していく、これからの新しいカタチが見えた。

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