見出し画像

東野圭吾作品①「時生」

東野圭吾さんの小説「時生」を紹介します。
(※①と書いてあるが、読んだ順ではない。)

※本書は2002年7月に「トキオ」として刊行され、
2005年8月に「時生」と改題して収録された新装版です。
⚠️以降、ネタバレ含みます。


【あらすじ】


宮本拓実とその妻・麗子は、難病の息子を病院で看取っていると、拓実は不意に思い出した。「俺は昔、こいつに出会っている」……
どうしようもない若者だった拓実の前に突然現れた謎の青年「トキオ」。その青年は拓実の息子だと名乗る。
突然失踪した恋人・千鶴を彼(トキオ)と共に追いかけて行く内に、千鶴がある陰謀に巻き込まれた。
そして、捨てざるを得なかった母や顔も知らない父・自分の出生の秘密が明らかになっていく。
果たしてその秘密とは??
なぜ、恋人・千鶴は突然居なくなったのか?
そして、謎の青年・トキオは本当に自分の息子なのか、だとしたらなぜ過去へ……?

「時生」より

東野圭吾作品は、どの作品も最後まで真実が分からない。
過去・現在(未来)をタイムスリップする感動作品です。

感想

この主人公・宮本拓実は、裕福な家庭ではなかった。
幼い時に養子に出されてそこで育てられ、社会に出て仕事をしてもすぐ辞めるどうしようもない若者だった。そういう性分なのかもしれない。
こういう養子に出される子供は現在でも少なくはない。
何かしらの事情で面倒見るのが難しくなるから養子に出さざるを得なくなるのかもしれない。
その子供は小さい時は覚えてないかもしれないが、大きくなるにつれてだんだんと分かってくる。
人(子供)によって捉え方は様々。
よく理解した上でちゃんと生きる人も居れば、この主人公・宮本拓実のように両親を恨む人も居ると思う。
恨む人の気持ちも分からなくはない。
自分は捨てられたと思うから二度と顔も見たくないと思うかもしれない。
ただ、この生みの母親は捨てたくて養子に出した訳ではない。(後半にその理由が書かれてます)
まだ拓実はそれを知らないから自暴自棄になって、荒れ狂っている。
真実が分かるとだんだんと拓実は心改め、もう一度やり直そうと。

大切なもの(人)を失ってから初めて気付く。
それでは遅いのだけれども。
今ある現状をしっかりと噛み締め、後悔のないように、今ある生活に感謝しないといけないですね。
どんな事情であれ、親と子は切っても切れない関係。例えどんなに悪い事をしても、最終的には一緒に居る。お互いサポートしながら生きないといけないですね。
過去・現在・未来を跨ぐ親子の感動ストーリー
です。

ここで、私が気になった箇所を紹介。
拓実がトキオと共に元恋人・千鶴を探す時に生みの母親の実家を見つけ、そこにその母親が書いた手紙を見つけた。その一部を抜粋。

(前略)
人間はどんな時でも未来を感じられる。
どんなに短い人生でも、たとえほんの一瞬であっても、生きているという実感さえあれば未来はあるんだよ。明日だけが未来じゃない。それは心の中にある。それさえあれば人は幸せになれる。
(後略)

「時生」P447

これは、拓実が手紙を読んだ後、なんて事ない感想を言った拓実に対して、トキオが叱責した発言の一部です。
拓実の父親は産まれる前に火事で亡くなっている。
「どんなに短い人生」
「ほんの一瞬」
「生きているという実感」
どんな状況でも、まだ生きているという事は「まだ未来がある」という事。
だから最後の最後まで諦めてはいけないという事。
どんな結果になろうとも、未来というのは明日だけでなく、それ(明日)以降もずっと未来。
1秒後も未来。
もっと言えば、人の心の中にあるのも未来。
それがあれば人は幸せになれるという事


生みの親がどんな事情で面倒見れなかったとしても、生みの両親が居なければ自分は生まれて来なかった。だから、感謝しないといけない。
どんな時でも感謝の心は忘れてはいけないですね。
この辺の拓実の心情にも注目して読んで頂けたらと思います。

未来は誰にも分からない。
過去がどうであれ、今後、どう転ぶかも分からないが、未来は誰にも分からないから、一歩一歩、歩んで行くしかないよね。
辛い時もあるかもしれないが、人生は良い事と悪い事が互いに絡まっている。
だから前を向こう。
人生楽しんで行こう。

この物語のキーポイントは過去にタイムスリップした「トキオ」と拓実の両親の真相

興味あれば、是非、読んでください。

今までも東野圭吾作品を読んでますので、順次、投稿していきたいと思います。

因みに、「トキオ  父への伝言」というタイトルで2004年にNHK夜の連続ドラマで放送されてました。
主人公の宮本拓実役はTOKIOの国分太一さん、拓実の現在の妻・麗子役は大河内奈々子さん、その息子役は嵐の櫻井翔さん、当時の恋人だった千鶴役は富田靖子さん、あとは割愛します。
↓下記リンク参考下さい。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,831件