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東野圭吾作品⑥「夢幻花」

東野圭吾作品「夢幻花」を紹介します。

夢幻花

⚠以降ネタバレ含みます。


あらすじ

花を愛でながら余生を送っていた秋山周治が殺された。第一発見者は孫娘である秋山梨乃。
花が大好きであった周治は色んな花を育てていた。
周治の生前、梨乃が周治の家を訪れた時、黄色い花の鉢植えが気になり周治に聞いてみたら、謎に包まれた花と言われ、周治が亡くなった後、黄色い花が気になり「名前の知らない花」というタイトルでブログにアップした。
この事件の犯人も突き止めるために。
この花が縁で蒲生蒼太と会い、蒼太も別の事件(蒲生家の謎)を追い一緒に真相を究明する事に。
蒲生家はどういう謎を持っているのか。
犯人はいったい誰なのか。
黄色い花=夢幻花とは何なのか。
それぞれ「宿命」を背負った者たちの人間ドラマが展開していく。

夢幻花

感想

「夢幻花」
夢まぼろしの花…
この物語は黄色い花アサガオの花をめぐっての話。
基本的に黄色のアサガオは咲かないです。
黄色のアサガオかな!?と思っても、それは似たような花。
しかし、文献には江戸時代に黄色のアサガオの花が咲いていたらしいです。
その頃の人たちは、薬の意味で種を食べたりするという風習があり、黄色のアサガオの種を食べるのが流行ってたそう。
しかし、その種には強い幻覚作用があるので、当時種を食べた人は急に暴れたり自殺したりと色々と厄介な事になったそうです。
この物語でもそのような事が書かれています。
実際に、アサガオの種も下剤や幻覚作用を引き起こす毒があるので注意が必要です。

黄色のアサガオは存在しないですが、ある大学で「幻のアサガオ」の再現に成功したという研究があります。


さて、本題に戻します。
この物語は、黄色のアサガオ(夢幻花)をめぐって色々な事件が起きますが、
本編に入る前に2つのプロローグがあります。
それが本編のどこで繋がるのか。
一見関係無さそうな事が重要なカギを握ってます。
1962年に起こった残虐な事件(本編ではMM事件)をきっかけに、この黄色のアサガオの花そして種をずっと見守って行かなければならないという「宿命」を背負わされた「蒲生家」と「伊庭家」。
1962年に起こした事件の犯人がどういうルートで黄色のアサガオの種を入手したのか不明だが、二度とこのような事が起きてはならないと、周りにバレないように監視しつづけなければならない。
言わば「負の遺産」ですね。
誰かがやらないと再びどこかで起こってしまう。
だから、蒲生家の限られた人だけ言って、蒲生蒼太だけは巻き込みたくないという想いからずっと内緒にしてきた。
当然、蒼太自身は内緒にされてるから不満に思うのだけど、こういう真相があったとは思いもよらないですね。
結果、縁で知り合った秋山梨乃と一緒に自分たちで真相を突き止める事に。
昔からの伝統的な行事も後世に引き継いで行かなければならないし、昔起こった戦争だって後世に語り継がなければならない。
ただ、この物語のようなものは嫌な役目なんだけど、それでも自分たちがやらなければ誰もやらない、いや他の人には出来ないから、もうやるしかないんですね。つまり「宿命」です。
蒲生蒼太も秋山梨乃も、この真相を突き止めてから自分たちの考えが変わってます。
蒼太は大学で原発関連の研究をしてたが…
梨乃は水泳でオリンピックをめざしてたが…
あとは割愛します。本編を読んで下さい。
亡くなった秋山周治は花が好きでいつも花のお世話をしてたけど、この人は正義感が強いですね。
人がやらないような事、言わないような事をやるから…
なかなかそういう人は居ないと思います。
自分が言わないと(やらないと)困る人が出てくると思っての事なんでしょうね。
勇気ある言動です。
黄色のアサガオの花(夢幻花)によってどういう展開になるのか読んでみて下さい。

因みに、「夢幻花」は未だ映像化されてないと思います。(2024年8月時点)
どういう風に映像化されるのか気になりますね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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