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~不安にとらわれないために~第5章 自滅は避ける

質問です。
「あなたは他人に厳しいタイプですか、それとも甘いタイプですか?」
「そして、他人に対するように自分にも厳しいですか、それとも甘いですか?」

他人に厳しく、自分にも厳しいタイプ。ストイックな感じがします。
他人に甘く、自分にも甘い。癒し系でしょうか。
他人に厳しく、自分に甘い。上司にいたら辛そうです。
他人に甘く、自分に厳しい。嫌われたくないのか。それとも他人に興味がないのか。

なんにせよ、他人に対する態度と比較すれば、自分は自分に対して厳しいのか甘いのか判別できるのではないでしょうか。

自分自身に対してダメ出しをする、叱咤激励する。もしくは少しの成果でも褒めてあげる、自画自賛する。またはサボっていても放置する、言い訳を鵜呑みにする。
どれがいいとか悪いとかではないですが、自分への態度というのは、その人が生きていく上での方針なりこだわりが根っこにあると考えられます。

さて、前の章(第4章『メタ認知』)からの続きですが、自分を追い込んでしまう人は自分に厳しいタイプでしょう。減点方式のタイプとも言えます。
しかし、トコトンまで自分を追い込むと自滅する怖れがあるため、ある時期だけは自分への態度を変えたほうがよさそうです。
ある時期とは『心が弱っているとき』。心的エネルギー水準が低いとき限定です。
実際にやることは、『心の水位が下がっているときは、自分を追い込まない』。別の言い方をすると、『心が弱っているときは、自分に甘く』。

このことは、自分に甘い態度の人には難しくないと思います。通常通りでしょうか。
しかし、自分に厳しい態度の人は受け入れがたいかもしれません。「そんなことでいいのか」「もっと頑張れよ」とダメ出ししそうです。もともとの方針がスパルタ系でしょうから。
そして、完璧主義の人もこちらのカテゴリーでしょう。自分に求める水準が高く、また妥協することをよしとしないタイプですし。

ここで、心的エネルギー水準の図を体力で考えたことを思い出してください。

心的エネルギー水準の図_横1

風邪をひいて水位が下がった状態が図2でした。身体を安静にしていれば自然治癒力で水位が上昇し図1の状態に戻れると説明しました。しかし、安静にしていないで動き回っていたらどうなるでしょう。図2より体力がもっと低下(水位が下がる)し、風邪をこじらせて肺炎になってしまうかもしれません。自業自得ともいえるかもしれませんが、自己管理ができていません。

そして、心的エネルギー水準が下がっている時に、「そんなことでいいのか」「もっと頑張れ」と他人から言われると、心のエネルギーを振り絞って頑張ってしまい、水位がもっと下がる事態もあるでしょう。風邪が肺炎に悪化したように、精神的な病気に陥る恐れもあります。
他人の言動はコントロールできませんから、仕方ないこともあります。しかし自分の言動はコントロールできます。心が弱っているときは、少なくとも自分で自分を追いつめるようなことは止めましょう。

「そんなに甘やかすだけで成長するのか」と疑問に感じる方もいると思います。もちろん、成長するためには努力が必要です。しかし、自滅は避けなければなりません。
アスリートを例にとってみます。一流のアスリートはケガをしにくいといいます。なぜでしょうか?それは一流のアスリートは己の身体へのセンサーが抜群なので、自分の体力の限界ラインを知り抜いています。そのため、トレーニングでも限界まで自分を追い込むことをするが、その限界ラインを越えることは絶対にしません。そのラインを越えれば身体を壊すことを知っているからです。どんなに優れたアスリートであっても体力に限界はあります。そして、それを越えれば自滅します。
一方、二流以下のアスリートで自分の体力の限界ラインが曖昧な人の場合です。頑張ってトレーニングします。がむしゃらに頑張ります。自分の限界を越えても頑張ります。そして、ケガをしてしまいます。自滅です。
では、ケガ防止のためにはどうすればいいのか。
それは、「自分の体力の限界までは追い込むが、限界ラインを越えてまではしない」こと。

心の場合も同じことです。
それは、「自分の心の限界までは追い込んでもいいが、限界ラインを越えてまではしない」こと。
つまり、「心の水位が限界まで下がっているときは、自分に甘く」となります。

そのためには、自分の心の限界ラインを正確に感知できなければなりません。自分の心の状態を感知するセンサーがしっかり機能しているかどうかが重要です(心の水位センサーは、第4章『メタ認知』でお話ししました)。
そして、叱咤激励して追い込むことは、本人が生きていく上での方針なりこだわりなのでしょうが、心が弱っているときは控えましょう。

さて、自滅を避けるために自分に対する態度を考えてきました。心の水位が下がっている時に自分を追い込まない、つまりは意識のフォーカスを自分から外すことです。
これは、不安に対する態度も同じでしたね。心の水位が下がっている時に不安を追及しない、不安からフォーカスを外し見て見ぬふりすることです。
そして、次の章では不安を見て見ぬふりするための方法として、『気休め』の話をしてしきます。

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