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~不安にとらわれないために~第2章 不安の性質

ここでは不安の性質について考えていきます。

【はじめに】で最初に二つの性質を書きました。
①不安は消すことができない
②不安はコントロールできない

ここで、もう一つ加えます。
③不安について考えると膨張していく

「不安が頭から離れなくなる」「不安がずっとループして止まらない」というような経験をした方もいると思います。そのようなときは、不安について考えると膨張していくという悪循環に陥っているわけです。
「心配事が頭から離れなくなって寝つけなかった」
というように睡眠に問題がでることも。

これらのことを『思想の矛盾』として提唱していたのが、日本の精神科医、森田正馬です。
彼は日本独自の精神療法である「森田療法」を開発しました。
そして、『思想の矛盾』とは、「不安など自己にとって不快、不利益な感情を知的にやりくりする結果、一層それを増強させてしまうパラドックス」です。

ここで、不安との関わりをヤバイ人と道で遭遇しそうな場面として例えてみます(ヤバイ人というのは、人によってイメージは異なると思いますので、各自の想像上の関わると厄介なことになりそうな人で結構です)。
まず、選択肢としては『逃げる』が思いつきます。しかし、逃げると追いかけられるという反応が起こりそうです。
次が、こちらから『接近する』、または『凝視する』こともできます。しかし、「飛んで火にいる夏の虫」ではないでしょうが、厄介事に巻き込まれそうです。厄介な相手ですから、こちら意図するように制御することはできないでしょう。
となると、『見て見ぬふり』をして通り過ぎるのが無難ではないでしょうか。気づいてはいるけれど、意識を完全には向けない態度です。

子供などはヤバイ人が物珍しくてジロジロ見たりしそうです。近くにいたお母さんが慌てて子供に近づいていって「あんまりジロジロ見るんじゃありません」と小声で言うかもしれません。
一方、老人のほうが厄介事を避けるのが上手な気がしませんか?『見て見ぬふり』だけではなく、上手にとぼけるワザも持ち合わせていそう。正面から厄介事を受け止めない老獪さを長年の経験から身につけたと考えられます。

これらの例から考えると、不安が頭から離れなくなることが多い人というのは、素直な人と言えるし、未熟な人とも言えそうです。厄介事である不安をジロジロ見続けてしまうのですから。
逆に、不安を見て見ぬふりできる人というのは、不安を考え過ぎることは悪循環になるということを知っているからこそ、実際に見て見ぬふりが出来るのでしょう。

このように、不安という厄介事に巻き込まれないためには、不安について考えなければいいことになります。しかし、考えないというのは、実際には難しいのです。
『シロクマ』の実験と言うものがあります。
これから課題を出しますので、読者の方も実際に行ってみてください。

「これから1分間、シロクマについて絶対に考えないで下さい。よーい、スタート」

どうでしたか。シロクマが頭から離れなくなりませんでしたか。ほどんどの方は『考えないで』 と言われると『考えて』しまいます。
なぜなら、人間の潜在意識は否定形を理解できないからです。否定形が存在しないともいえます。
このシロクマの課題でいうと、顕在意識では『シロクマについて考えるな』ですが、潜在意識では否定形が存在しないので『シロクマについて考えろ』になり、顕在意識よりも潜在意識のほうがパワーは強いので、シロクマが頭から離れなくなるのです。
この課題を攻略する方法はあります。「シロクマについて考えないで下さい」と言われたら、自分で課題を別なものに変換します。例えば、「猫について考えなさい」に変換してみましょう。猫のイメージが頭に広がりませんか?猫のことに没頭できれば、結果シロクマのことは頭に浮かんでこなかったはず。課題クリアです。
このように、『考えない』『意識を向けない』ことをしたければ、『別なことを考える』『別な方向に意識を向ける』ことが実際的であると理解できるでしょう。

つまり、「不安について考えない」ためには、不安以外に意識を向けることが出来ればいいことになります。カメラで写真を撮るときに、撮りたいものに焦点を合わせることをフォーカスといいますが、何にフォーカスすればいいのでしょうか?
そのために、心的エネルギー水準のこと知っておいてください。次の章は心的エネルギー水準です。






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