見出し画像

破壊的イノベーションについてまとめてみよう!

世の中イノベーション、イノベーションと叫ばれているけど、それって本当にイノベーション?ということが多いですよね?

破壊的イノベーションについても誤解されがちということもまた一つの事実としてあります。

例えば、「5G」そのものはトレンドであって、破壊的イノベーションとはないです。

それでは、破壊的イノベーションとは何者かということについて考えていきましょう。

本の論文はこちら↓

破壊的イノベーションとは

イノベーションのジレンマの元となった論文によれば、破壊的イノベーションに関しては論文の最後に少し触れられていた程度で、論文の趣旨としては、既存技術と破壊的技術に分けられています。

「イノベーションジレンマ」の論文が出たのは1995年なのですが、その5年後に出された2000年の「イノベーションのジレンマ」への挑戦にて、「破壊的イノベーション」という表現が用いられています。

そこから引用すると、

破壊的イノベーションは頻繁に起こるものではないため、どのような企業にもこれに対処する決まったプロセスはない。また、破壊的商品は販売個数あたりの利益率は必ずと言っていいほど低く、優良顧客には魅力的な商品ではないため、大企業の価値基準とは合致しない。

なお、「イノベーションのジレンマ」での破壊的技術に関してはこのように述べられています。

破壊的技術は、これまで主要顧客が価値を認めてきた特性とは全く異なる特性を示しており、これらの顧客が性能面でとりわけ重視している部分が劣っていることが少なくない。主要顧客はたいてい、自分たちが熟知している用途に破壊的製品を使ったりしない。そのため、破壊的技術は当初、新しい市場や用途だけに利用され、やがてその価値が認められる。事実、破壊的技術はそれまでにない市場を登場させる。

また、別の表現でも語られており、

破壊的技術は、新しい市場や顧客セグメントの登場を予告していることが多い。そのため、このような市場に関する情報を想像してみる必要がある。顧客はだれか、どのような顧客がどのような製品性能を重視するのか、どの価格帯が適切なのか等々ーー。製品と市場の両方において、迅速かつ双方向の、そしてあまりコストのかからない実験を実施することで、この種の情報は生まれてくる。

概ね、同義もしくは「破壊的イノベーション」は「破壊的技術」を含むという解釈でいいかと思います。

破壊的技術にしろ破壊的イノベーションにしろ、今まで相手にしてきた顧客とは異なる顧客、異なる市場での革新的な成長であることと言えるのではないでしょうか。

持続的イノベーションは時代遅れなだけでなく、有害でしかない?

「イノベーションのジレンマ」では「持続的イノベーション」という文言は用いられておらず、代わりに「既存製品」、「既存市場」、「既存技術」という文言で述べられています。

既存技術に関して述べられているところを一部引用します。

目の前にある技術イノベーションを評価するに当たっては、その企業の収益構造とコスト構造が大きく影響する。一般的に優良企業にとって、破壊的技術は経済的魅力に乏しい。その時点で認識される市場から推測される売上げは小さく、その破壊的技術の市場が将来どれくらい発展するのかを予測することは難しいからである。そのため、その新技術は企業成長には貢献しないと決めつけがちで、わざわざ経営資源を傾けて開発するには値しないという結論を下す。しかも、既存企業の場合、破壊的技術に求められる以上のコストで既存技術を開発している。したがって、破壊的技術を追求するかどうかを判断するに当たっては、二つの選択肢がある。一つは、まず破壊的技術によって下位市場に参入し、初めのうちは新市場の低い利益率に甘んじるという権利がある。もう一つは、既存技術によって上位市場に移行し、すでに利益率の高い市場セグメントに参入するというものだ。

破壊的技術について、既存技術と比較してあまり評価されないという内容のようです。
ちなみに「イノベーションのジレンマ」への挑戦ではこのように書かれています。

持続的イノベーションは、メイン事業の顧客がすでに価値を認めている技術を活用して、商品やサービスの機能・性能を向上させる持続的技術が原動力になっている。

また最近、出された論文で持続的イノベーション関して警鐘を鳴らすものがありましたので、そちらも引用いたします。

Based on the life cycle, competitive strategy and continuous innovation theory, we empirically examine how life cycle and competitive strategy affect firms’ continuous innovation in China. The results show that declining firms tend to engage in less continuous innovation compared with growing or mature firms, which are more inclined to engage in continuous innovations. Results have also indicated that firms with offensive strategy engage in more continuous innovation compared with those following defensive strategy. 

(自動翻訳)ライフサイクル、競争戦略、継続的イノベーションの理論に基づき、中国における企業の継続的イノベーションにライフサイクルと競争戦略がどのように影響するかを実証的に検証した。その結果、衰退企業は、成長企業や成熟企業に比べて、継続的イノベーションに従事する傾向が低いことが示された。また、攻撃的な戦略を持つ企業は、防衛的な戦略に従う企業に比べて、より継続的なイノベーションに従事していることも示されている。

ここで訳されている継続的なイノベーションというのは、持続的イノベーションの一部で、漸次的イノベーションとも言われているようです。詳しくはこちらをご覧ください。

しこしこ製品をよくしていても業績がプラスになるどころか、重大な悪影響を及ぼしますよという内容ですね。

そんな方のために、政府はオープンイノベーション促進税制などの法整備をしておりますので、ぜひ活用しましょう。


この記事が参加している募集

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?