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★読書感想vol.3 (2020/06/01)★

3.「執権」(講談社学術文庫)
  著 者: 細川重男 ※敬称略
  出版社: 講談社
  発行年: 2019年10月10日
  価 格: 1000円(税別)
  リンク先: 講談社BOOK倶楽部

※一部、本書の本旨に触れている部分もあるかと思われます。ご容赦ください。
※本書の原本は、「北条氏と鎌倉幕府」(講談社選書メチエ/2011年3月刊行)です。

<概要> ※下記概要内のリンク先はすべて「Wikipedia」です。
 鎌倉幕府の執権「北条氏」に関し考察している内容となっています。
 タイトルである「執権」という政治的地位が北条氏(その嫡流とされた「得宗」)という血統と結びつけられた結果、「武家の棟梁としての征夷大将軍」というロジックとは異なる、独自の権力正当性の構築に論点を置いているかと思われます。
 2023年の大河ドラマは、北条義時を主人公とした作品「鎌倉殿の13人」となっておりますが、本書では、とくに、鎌倉幕府執権の代表格として、北条義時と北条時宗の二人の、権力確立と独裁的体制構築へのプロセスとその特徴に焦点を絞っております。
日本の神話的な天皇制と重ねた思想統制と、「執権/北条氏の一強化/得宗」という3つの要素が結合したことにより、歴史上初の幕府である「鎌倉幕府」の政治制度化がなされたということになるのでしょうか。初の幕府として試行錯誤の中、北条氏は他の御家人どころか、同じ北条氏の中で、さらに親子・兄弟間においても血みどろの闘争の末に権力を掌握し確立し独裁化していった過程が記述されています。
 最終的には、本書冒頭にあるように「北条氏はなぜ将軍にならなかったのか?」という、おそらく日本史を学んだ人が皆、疑問に思ったことへの答えとなっているのではないでしょうか。

<雑感>
 「北条氏はなぜ将軍にならなかったのか?」について、学生時代には「平氏出身だから」程度にしか考えておりませんでしたが、それだけでは他の御家人が黙って従うわけもなく、北条氏得宗が独裁体制を構築できた正当性の源泉が理解できたように思われます。
 購入して良かったと思いました。


※内容は「2019年10月30日第一刷」に基づいております。
※恐縮ですが、書名からサブタイトルは割愛させていただきました。

<関連書籍> ※敬称略 / 以下、リンク先は出版社のWebサイトです。
「源頼朝 武家政治の創始者」 著:元木泰雄 中央公論新社 
「承久の乱 日本史のターニングポイント」 著:本郷和人 文藝春秋社
「日本の中世国家」 著:佐藤進一 岩波書店

以上

#読書・書評



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