黒い歴史書

"検閲済み" 世界の事件・事故・怪人・奇人・変人・過激派等。 完全…

黒い歴史書

"検閲済み" 世界の事件・事故・怪人・奇人・変人・過激派等。 完全なる趣味です。 誤記等有ればご指摘頂けると幸いです。 ※記事には少々の脚色があります※

記事一覧

台北無頼伝〜男たちの万華〜

仁義なき台湾マフィア梁國愷と「芳明館幇」内部抗争の全貌 序:台北ディープ史跡観光 東京駅から成田空港へ向かい、台湾行きの飛行機に乗る。目的地は首都・台北市内にあ…

黒い歴史書
2か月前
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What a ''Mondoful ''World

悪魔というものが存在せず、ただ人間が創ったものだとすれば。 ─1961年9月18日 スウェーデン航空DC6B機、コンゴ動乱に揺れる北ローデシア(現在のザンビア)・ウンドラ空…

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実録詳伝・ピストル楊

台湾・伝説のアウトローを追う 1980年代中頃の台湾では、上のような文句から始まる粗い印刷のおかしな小冊子を手に入れる事が出来た。 題目は「東瀛大煞星楊雙五」、訳す…

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世紀の屍体展Ⅰ

時を駆ける死体〜明治・大正・昭和〜 インターネットによって高度に発達した情報網が世界を包む前、人々が他国の出来事を知る手段として、絵葉書や紙焼き写真は欠かせない…

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死に顔を愛した男

韓国・「死を演出した写真家」事件の顛末 ヘミングウェイはその著「キリマンジャロの雪」の中で、有名な1匹の豹の話を書いている。 天を突くアフリカの巨峰キリマンジャ…

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能代事件始末記〜北海哀歌〜

序章:月も射さない男達 或る夜、日本海の白波を縫って一隻のゴムボートが静かに列島へと迫っていた。櫂を漕ぐ船上の3人は、いずれも見事な体躯を寒さに縮こませ、星の意匠…

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ニュルンベルグの吸血鬼事件

クーノ・ホフマンは物静かな男だった。というより元々口がきけなかった。耳も同じく不自由だった。幼少期、酒狂いの父親からしこたま殴られた為である。暗い過去を引きずっ…

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台北無頼伝〜男たちの万華〜

仁義なき台湾マフィア梁國愷と「芳明館幇」内部抗争の全貌 序:台北ディープ史跡観光 東京駅から成田空港へ向かい、台湾行きの飛行機に乗る。目的地は首都・台北市内にあるから、着陸する空港は市街地に近い松山空港を選ぶと良い。4時間ほどの空の旅。松山空港からはメトロが出ていて、5分に1本のペースで日々800万人近い人々を台北の隅々に運んでいる。 地下鉄「松山空港」駅から文湖線に3駅ほど揺られ、「忠孝復興」駅で板南線に乗り換える。台湾の地下鉄は喫煙、飲食からガムに至るまで、不快なゴ

What a ''Mondoful ''World

悪魔というものが存在せず、ただ人間が創ったものだとすれば。 ─1961年9月18日 スウェーデン航空DC6B機、コンゴ動乱に揺れる北ローデシア(現在のザンビア)・ウンドラ空港到着寸前に謎の墜落。当地で紛争の調停に臨む予定だった国連職員16人全員が死亡。犠牲者の中に国連事務総長ダグ・ハマーショルドの名があった事で、国際世論は動揺した。 ─1980年代前半 ラリー・C・フォードとジェームズ・パトリック・ライリー、バイオテクノロジー企業「バイオフェム」社を立ち上げる。 ─19

実録詳伝・ピストル楊

台湾・伝説のアウトローを追う 1980年代中頃の台湾では、上のような文句から始まる粗い印刷のおかしな小冊子を手に入れる事が出来た。 題目は「東瀛大煞星楊雙五」、訳すと「日本の脅威、楊雙五」と言ったところか。どうやら「楊雙五」なる人物への中傷を目的として書かれたらしい。文中では「楊雙伍」の悪行が時系列に沿って列挙され、どこから引っ張って来たのか顔写真も載っており、発行人の並々ならぬ執念が窺える。日本でも台湾でも、この手の冊子が出回る事は別に珍しい事ではない。ばら撒く側も政敵

世紀の屍体展Ⅰ

時を駆ける死体〜明治・大正・昭和〜 インターネットによって高度に発達した情報網が世界を包む前、人々が他国の出来事を知る手段として、絵葉書や紙焼き写真は欠かせないツールだった。 それらには各地の風俗や祭事、名産品や人物などの紹介に加え、現代では考えられない事だが、災害や戦争、事件・事故の生々しい現場写真までもが焼き付けられて市場へと流されたのである。 死体がメディアに溢れた時代。時の流れと共に媒体を変えながら、死体は地下への潜航を余儀なくされる。 絵葉書や土産物写真、そ

死に顔を愛した男

韓国・「死を演出した写真家」事件の顛末 ヘミングウェイはその著「キリマンジャロの雪」の中で、有名な1匹の豹の話を書いている。 天を突くアフリカの巨峰キリマンジャロの、常に雪を抱く西側山頂を現地民は「神の家」(ヌガイェ・ヌガイ)と呼ぶ。豹の死体は冷気に乾き切り木乃伊と化して其処にあった。何がその豹を住み慣れたサバナから此処まで突き動かしたのか、解を得た者はついぞ現れなかった... そんな「キリマンジャロの雪」と奇妙に符合する、同じ様な謎を孕んだ女の死体がソウル市の山に現れ

能代事件始末記〜北海哀歌〜

序章:月も射さない男達 或る夜、日本海の白波を縫って一隻のゴムボートが静かに列島へと迫っていた。櫂を漕ぐ船上の3人は、いずれも見事な体躯を寒さに縮こませ、星の意匠鮮やかなトカレフが腰に光る。 彼等の心中穏やかで無いのは、何もその身を切る様な寒さのせいだけでは無かった。沖合の母船を出発し、隙あらばボートを一飲みにせんとする海原を何とかいなしながら、海岸線に沿って行く。 雲夜の空に月の光はない。暫く故郷の土を踏む事は無いだろう。不味い煙草に火をつけると、吹き荒ぶ風が紫煙を水平線

ニュルンベルグの吸血鬼事件

クーノ・ホフマンは物静かな男だった。というより元々口がきけなかった。耳も同じく不自由だった。幼少期、酒狂いの父親からしこたま殴られた為である。暗い過去を引きずって成長したホフマンは立派な社会不適合者となり、現実に背を向けオカルトの世界に耽溺した。サタニズムや黒魔術に関する本を読み漁り、屍姦と吸血行為を伴う「儀式」によって自己を改善しようとした。 「そうすれば背丈も伸び、逞しい男になれると思ったんだ。逞しい男になれば結婚も出来るし、可愛い子供も産まれるとね」とは彼の言葉である。