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私たちには、タイマッサージがある

noteを始めたときから決めていた。いつか必ず「タイマッサージ」の凄さについて綴ること。このnoteの下書きの日付が2019年だったことがその証だ。

デスクワークのために生まれたわけではないダイニングテーブルで朝からパソコンに向き合っていたかと思えば、帰宅した子どもたちをかわるがわる抱っこする。荷物が多いので出かけるときはリュックだし、移動中のスマホで猫背だし、慌ただしく入るお風呂では湯船にゆっくり浸かって… なんて夢の話。ようやく入ったベッドでは自由すぎる子供の寝相に追いやられ、ろくに身体を伸ばすスペースもない。ときに夜泣きする子供のケアで部屋を行ったりきたりする、安眠とは程遠い生活。朝起きてぐぐっと身体を伸ばす。しかしなんだか思うように伸び切らない。”なにか” がそこに詰まって凝り固まっている感じ。肩が重い。背中が硬い。

つまり私たちは、今とっても疲れている…!

そんな私たちの救世主が、タイマッサージだ。
タイのお姉さんが「コップンカァ」と柔らかな声で出迎えてくれるそのイメージどおりなんとなくタイ観光のお楽しみみたいな雰囲気があるけれど、日本国内にもその専門店は沢山あって、最近はおしゃれなプライベートサロンなんてものも増えている。 

先に断っておくが、このnoteを読んで「タイマッサージ受けてみたい」と思った方はぜひ専門店に足を運んで欲しい。一般的なマッサージ店のオプション的にタイ古式もやってます、というような所ではなくて、本気のところ。タイマッサージは「タイパンツ」と呼ばれる、腰回りが広い不思議な形のズボンに着替えるところから始まっているのだから。

タイパンツに着替えたら、足湯からスタート。じんわりと両脚を温めながらお湯の中で脚をもみほぐしてもらう。その時点ですでにHPは10%ぐらい回復。腕や脚など全身を使って施術するタイマッサージは基本的に床の上のマットで行う。高く細長い施術台に横たわるのでは感じられないあの安心感は、布団文化だからだろうか。包まれるようにごろんと横になってタオルで優しく目隠しをしたら、いざ施術スタート。疲れ&緊張で固まった身体をじわりじわりとほぐしていくわけだけど、タイマッサージの凄いところは、お姉さんが今一体どんな動きをしているのか、自分の背中の上で何が起こっているのか、全く予想もつかないところだ。

一般的な指圧と違って、手の平、ヒジ、ヒザ、脚、腿と、とにかく身体のあらゆるパーツを駆使して施術してくれるので、「えっ… そことそこ同時に押せる?」「いま何かに挟まれているんだけど、これ、どことどこで挟んでる?」「もしかして今二人いた?」みたいなことが度々起きる。目隠しをしながらお姉さんのアクロバティックな動きを想像して笑ってしまいそうになるんだけど、全身をめいっぱい使った限界に挑戦するような施術と技術にいつも感動させられる。相手の本気度がダイレクトに伝わるのだ。

言わずもがな、私たちの根深く凝り固まった身体は、指でちょちょいと押すぐらいではどうにもならない。そこにタイマッサージのお楽しみ、足踏みの出番。指圧では到底感じられない、全身の体重をかけた圧が身体の奥、深い深いところまでじわりと行き届き、ああようやくその扉の呪いを解いてくれたか… みたいな気持ちになる。

店によっては、タイガーバーム的な清涼感のあるクリームを首や背中に塗りながらやってくれるところもあるんだけど、この香りもまたたまらない…。

そして最後には、タイ古式マッサージのクライマックスでもあるお姉さんとの共同作業が待っている。整体とストレッチをミックスさせたようなアクロバティックなやつ。お姉さんを信頼して腕をしっかり掴み、息を吸って〜 吐いて〜 の声で、呼吸のリズムにあわせて滑らかに身体がにゅい〜〜〜んと伸ばされる。まるで猫になったような気持ち。最初に店にやって来たときの凝り固まったなにか、はもうそこにはない。

こうして、めくるめく90分コースが終了。ゆっくり目隠しを取り、身体がとろけたような、解体されたような、軽くてゆるくてふわふわした夢見心地に包まれる。マッサージ店を出ればもうそこは現実なんだけど、肩からほんのり香るバームが、まるで夢の続きを見せてくれているよう…。

これから体験される方もぜひ、迷わず90分コースを選んでほしい。やっぱり最初の30分くらいは身体も緊張してなかなか身体をセラピストさんにリラックスして預けられないと思うのだけど、90分あれば、その身体がとろけた向こう側の気持ちよさをたっぷり味わえるから。

「そこじゃないんだよなあ」と思うポイントをしつこくピンポイントで指圧されるわけでもなく、骨の仕組みとか小難しいことを説明されることもなく、日頃の不摂生を怒られることもなく(これ大事)、ただただ柔らかい笑顔で迎えてくれて、じわぁと広がる気持ちよさの連続のタイマッサージは一度知ってしまうとやめられない中毒性がある。一度体験してみると、普通のマッサージでは満足いかない身体に…。

それと同時に、どれだけ不摂生しても、無理して疲れが溜まっても、「大丈夫、タイマッサージがあるから」と思えるようになってくる。「寝ずにやれば間に合うから大丈夫」という思考に似ているけれど、まあそれよりは健全だろう。

疲れた身体を引きずる年度末。
さあさ、みんなで、タイマッサージに行こう!

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