私は子どもが欲しくない

いわゆる「適齢期」と呼ばれる年齢になった。

SNSで友人たちの結婚、出産の報告を見ることは珍しくなくなった。まだ学生時代の記憶がありありと思い出せる年月しか経っていないのに、その頃とほとんど変わらぬ笑顔で我が子を抱く友人。その姿に、自分も年を取ったと思うと同時に、子を育てていてもおかしくはない年齢であることにとても不思議な心地がする。彼らはとても幸せそうだ。愛する人と結婚し、その人との子を産み、育てている。外からは見えない苦労もあるのかもしれないけれど、自分でその道を選び、一生懸命に生きているように見える。でも、それを見る度に私は「やはり子どもは欲しくない」と思う。この気持ちは、一人の時から将来を考えるパートナーのいる現在まで変わることなく、むしろ日を追うごとに強くなっている。

それはなぜなのか。自分の中を整理するために、文章にしてみることにした。念のために断ると、ここに書くことはあくまで私が私自身に対して考えていることであり、子どもを持つ人・持ちたいと思う人を否定する気持ちは全くない。また、ほかの子どもを望まない人の考えを代表するものでもない。この世のどこかに、こんなことを考える人間がいるのだな、くらいの気持ちでお読みいただけたらと思う。


子どもを欲しない理由は、いくつか挙げることができる。①出産が怖い②経済的に不安がある③親になる自信がない④自由な時間を減らしたくない⑤子育てに興味がない(優先順位が低い)⑥周りに子どもを持たず仲良く暮らす夫婦が多い…だいたいこんなところだ。ただ、それぞれの理由への思い入れには濃淡があり、自分で後付けっぽいと感じるものもある。

例えば①。これは、もし心から子どもを望むなら養子という方法で解決することができる。 私は血の繋がりというものに拘りがなく、子どもを持つ=自分で出産することだけだとは思っていない(そもそも子を授かれる体なのか調べたことがないから分からない)。血を繋がなければならない家柄でもないので、養子も子どもを持つ方法の一つと思っている。つまり、①は子が欲しくない理由としては私にとっては「弱い」のだ。次に、②と③。これはどちらも本当に思っていることだけれど、どこか後付け感がある。例えばこれらが今すぐに解決できるとして(そんなことは不可能だが)、じゃあ子どもが欲しくなるかというと答えはNO。だから、私の中で中心的な理由は④から⑥になる。
昔から子供が欲しくないわけではなく、子どもが嫌いなわけでもない。反対に、昔は欲しいと思っていた。10代の頃は友達と、何歳で結婚して子どもは何人欲しいとかどんな名前を付けたいとかの妄想話はよくしたし、漠然といつか自分も母親になるのだろうと思っていた。

考えが変わり始めたのは、社会に出る前後あたり。結婚や出産が年齢的に現実味を帯び、実際に周りで起き始める頃。最初は、恋人もいないしちょうどやりたいこともあるし、「まだ」良いやと思っていた。それが「欲しくない」になったのは、時間が経つうちにその「やりたいこと」は当分なくならないことに気付いたからだ。やりたいことは別に大それたことではなく趣味や旅行で、人によっては「そんなことか」と思うだろう。でも、どうしても、それらを押しのけてまで子どもを欲しいとは今のところ思えない。私には子どもを持つこと・育てることより、他のやりたいことの方がはるかに魅力的に見える。

更に、⑥の理由がこの気持ちに拍車をかけた。周りでは(自分の両親を含め)子どもがいる家庭よりも子どものいない家庭のほうが夫婦仲がうまくいっているケースが多かった。そのため、子どもを持つことにあまり良い印象がない。極端なことを言うと、子どもを持つと夫婦仲がうまくいかなくなると思っている節がある。夫婦仲が悪くなる原因は子どもではなくその夫婦個人同士の問題で、家族仲良く暮らしている家庭も知っている。 周りの子どもを持たない夫婦に子がいない個々の理由は知らないし、私が美化してしまっている部分もきっとある。しかし、それを差し引いても、私にとり子どもを持つことは「夫婦仲が悪くなるかもしれない」という不安と隣り合わせだ。もちろん子どもがいなくても、夫婦はうまくいかない時はうまくいかないだろう。ならば尚更、子どもがいたら私はうまくやっていける自信がない。

この気持ちはパートナーができた現在、ますます強くなっている。前に人に「好きな人ができたらその人の子どもが欲しくなるよ」と言われたが、むしろ相手への情が深まれば深まるほどこのまま二人の人生が良いと感じる。この関係を大切にして生きていく、それができるならなんて幸せなことだろう。やりたいことをやり、愛する人と生きられることが私にとって最大の幸せであり、子どもという存在はそこでは想定されていないのだ。

これからもずっとこの考えかはわからない。今もときどき揺れ動いているから、心変わりの可能性は否定しない。
パートナーは、いつか子どもが欲しいという。最終的な結論はまだ出さないことにしたが、お互いの考えがついに一致しなかった場合どうなってしまうのか。考えると少し怖い。

一つわかるのは、子どもを持っても持たなくても、選択しなかった方の人生を想像するだろうということ。そして、私の人生は他の誰でもない私が決めて良いということだ。時間は有限で、無駄にしていい暇はない。どのような選択をしても、今は人生を終える時の後悔が少しでも減るように、生きていこうと思う。

ーーーーーーーーーー
2022/07/18追記
時間が経ち、改めて考えを整理したもの↓
「続・私は子どもが欲しくない」
https://note.com/reispica9312/n/n975474d9c08e

ーーーーーーーーーー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?