溶解して凝固せよ #1
静かな夜だ。こんな日は、左眼が右眼の存在に気が付く前に眠ってしまいたい。
世の中、比較対象がある「御意見」のほとんどには「そのどちらが正しいとか正しくないとかは別として」という言葉が注釈で挿入されるだろう。そうでないとはなから世界のパワーバランスなどというものは存在しなかっただろうし、宗教なんてものはとっくの昔に世界でたった一つになるまで滅ぼされていたに違いない。民族という単語すら残っていたかどうかわからない。単一の社会、たったひとつの地平線でわたしたちの魂はどこを漂っていただろう。
わたしたちはギリギリの大きさのひとつの点の上に立っている。歴史の上の塵芥。一瞬の偶然。ひとときの必然。そういったものの産物。完全な円だと信じてやまない多角体。
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