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14)妊婦さんの悪阻って個人差があるけれど、家族が非協力的だと妊婦さんはどうなる?!

「レイナさんが自然妊娠する可能性は99.9%無いです」

「…………!!!」

先生の話によると、旦那には、精子が殆どなく、いたとしても奇形だったり、運動率が悪く、受精能力が著しく低いとの事だった。

てっきり、不妊の原因は私にだけあると思っていたレイナは、少し安堵した。

ーーこれで私が義両親から責められることは無くなる!

一方の旦那は…というと、旦那は旦那なりに、安堵していたようで…、レイナが、自分の両親の心無い言葉により、傷付いているのを知っていたのか、自分も不妊症だった事を知った事で、レイナ同様、義両親の矛先がレイナに向かなくなる!と思った様だった。

こうして、レイナ夫婦は、壮絶な不妊治療をスタートさせた。

と言っても、99.9%、自然妊娠は不可能、と言われたレイナ夫婦に残された治療法は少なく、通常はタイミング法→人工授精→体外授精→顕微授精、と順を追って治療をスタートさせるのだが、レイナ達は、最初から顕微授精という方法を選び、最短で妊娠することに成功した。

この辺りのエピソードは、書き出すと膨大な量になってしまうので…今回は割愛して、先に進みますね!笑

さて、男性の浮気で最も多いのは、『妻の妊娠中』というデータがあるようで、レイナの旦那が、レイナの妊娠中に浮気をしていたかどうかは不明だが、例外ではなかっただろうと思う。

1人目妊娠中、レイナはつわりが酷く、旦那の匂いすらダメになり、旦那を見ただけで嘔吐していた時期もあったほどだった…

そのため、ほとんど食べ物を口にすることなく、また切迫流産の状態だったこともあり、寝たきりの状態で1日を過ごしていたが、そんな中でも夫は仕事が忙しいのか、深夜帰りになることもしばしば。
寝ている私を起こさないためなのか、帰宅後も、私がいる寝室には寄らずに、他の部屋で寝ることが増えていった。

つわりが酷かったレイナにとって、夫のその行動は、大変ありがたかったので、特に寂しさもなく、文句もなく、ただ辛いつわりの時期を過ごしていたが、少しずつ、つわりの症状も軽減されていき、食欲が戻り始めていたので、同居している義母に「お素麺なら食べられそう」と伝えてみた。


すると、義母が素麺を茹でて、持ってきてくれたのだが、当然ながら…おかずも何もない、素麺だけ茹でたものを用意されただけ。


いや、確かにレイナは「お素麺なら食べられるかも」とは言ったが、大事な孫の出産を控えた嫁の食事が、素麺だけ、というのは心配にならないのだろうか?
栄養面でも「赤ちゃんに栄養がいかなくなるわよ」と言って、あれこれ用意してくるのかなと思っていたレイナだったが、あまりにも素っ気ない、お盆の上を見て、矛盾かもしれないが少しガッカリした。

ーーいや、用意してくれただけ、感謝しなきゃ!

そう思い、用意してもらった素麺を口に運ぶと、さっぱりしていて、美味しかった。

ーーあ、お素麺なら本当に食べられそう。

こうして、レイナは、少しずつだったが、素麺を食べることで、食欲を戻していった。

ただ茹でただけの素麺に、少し飽きてきたレイナだったが、一向に義母が用意するお盆の上には、茹でたそうめんが乗っているだけ。

他に「食べれる物だけでも食べてね」といったおかずの用意は特になく、レイナ自身も、どの食材なら食べられるのかがわからなかったので、「これ食べたい」というような指定もできず、義母が用意してくれるかも…という期待はしないことにした。


しばらくして、茹でただけの素麺にも飽きてきたため、「おにぎりにチャレンジしたい」とお願いしたところ、そこからは毎食が、白い塩むすびとなった。
どうやら、義母は、頼まれた以上のことは、しない主義らしい。塩むすび生活が3週間ほど続いた後、レイナは容体が悪くなり、入院することとなった。

栄養が足りておらず、点滴治療をしながら、切迫流産から切迫早産になることを防ぐ目的での入院だった。

身動きも取れず、絶対安静の状態の中で、旦那もほとんど家にいない中、義母が作ってくれた食事を口にするしか方法がなかったレイナにとって、この時期の精神状態は、不安以外の何物でもなかった。
本来なら、実家に帰って、実母の元で過ごせることが最善だったのだろうが、旦那にその相談をしたところ「俺はどうするんだよ、俺の親の気持ちも考えてくれよ」と言われ、実家に帰ることを許されなかったことも、レイナのつわりが悪化した原因の一つだったと思う。


妊娠というのは、新しい命を宿ることであり、妊娠した瞬間から、その子の人生を背負うこととなる。当然ながら、赤ちゃんというのは、夫婦で作った生命の誕生となるのだが、自身が妊娠を経験していない男性は、今ひとつ実感がわかない、という人が多いらしい。

そうすると、つわりで妻が苦しんでいても、何が辛いのか理解できないし、何でイライラしているのかもわからない。

義母も同じだった。
義母は昔、妊娠していても、つわりの経験がほぼなかったようで、レイナが寝込んでいると、口癖のように「妊娠は病気じゃないんだから」と言われていた。


さらに、レイナがつわりのせいで、匂いに敏感になっていることを知っているはずなのに、1階にいる義母たちが、豚のモツを煮込みだしたり、鉄板焼きを始めたり、2階で寝込んでいるレイナにとっては、地獄のような状態が、数ヶ月に渡って続いていた。

そんな中での入院だったので、レイナはやっとストレスから解放されて、症状も回復し、無事に出産の日を迎えることができた。

ところが、事件は、その出産当日にも起こってしまう…。

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