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#001 「国際教養」ってなにを勉強するのか教えて! まとめレポート

れいこう麗澤会が主催するオンラインれいたくキャリアトークの第1回が終了しました。このレポートでは会全体の様子についてまとめます。ちょっと長いので、見たいところを目次からご覧ください。なおアンケートの結果・質問とその回答については別noteでまとめます。

れいこう麗澤会とは?キャリアトークとは?

私たちれいこう麗澤会について、そしてこのキャリアトークというイベントにかける思いについては、それぞれ以下のnoteをご覧ください。

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申し込み100人超!参加者は81名!

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イベント公開から当日までは約2週間だったのですが、申し込みは100名と大人気のイベントとなりました。当日の参加は訳80名で、内訳は上記のように麗澤関係者が約7割(うち生徒2割、保護者4割)ということで、保護者の方の参加が多かったようです。一般参加の方が全体の23%もいたのは嬉しい誤算でした。様々な方がこのような機会を求めてくださっていることに事務局としては、開催して良かった!と思うことができました。

国際教養で学ぶこと

大学での学びといえば、経済学や社会学、政治学、心理学、物理学、、、といった学問がそのまま「学部」の名前になってて、そういった専門性を学ぶというイメージがあるのではないでしょうか。しかし社会がどんどんと複雑になり、ある1つの領域からのアプローチでは解決できないことが明らかになってきました。例えば今話題のビニル袋をはじめとするプラスチックによる環境汚染を例に挙げて考えてみましょう。

プラスチックの何が環境に悪いかは物質学や生物学の知識が必要だとします。海に与える影響がどんなものなのか考えるには海洋学や生態系についての知識が必要だとします。プラスチックが海に流れ着いてしまう原因を究明するには人がゴミを捨てる心理を考えたいと思って心理学が必要になるかもしれません。またそうした行為を止めるために地域社会における政策や行政について考える必要も出てくるかもしれません。そもそも昔は風呂敷を使っていたのにどうしてビニル袋を使うようになったのかを考えるには歴史を知る必要があり、またその利便性によってどのような経済効果があったかを考えることも重要かもしれません。。。

という風に、現在私たちが直面している問題には様々な要因があり、答えがあるようなないような、そんな問題が多く存在しています。これらに対応するには、ある分野におけるスペシャリストと同じくらい、他分野についての知識があり、批判的で俯瞰的な視点からそれを見つめ、多様性の中に答えを探る力のある人が必要になってきます。そんな力のある人を育てるための教育が国際教養という学び方なのかな、と思います。

なお今回の説明には東京工業大学リベラルアーツ研究教育院長教授の上田紀行先生の記事を引用させていただきました。とてもわかりやすく解説してくださっていますので、みなさんもぜひそちらをご覧ください。

ゲストの紹介

今回話をしてくれたのはこの3名です。石丸くんと水谷さんは麗澤卒業生、加藤さんは卒業生ではないのですが引き受けてくださいました!

石丸純平 Jumpei Ishimaru
法政大学グローバル教養学部(GIS)4年生。高校時代にニュージーランドに1年間留学。その経験で価値観を大きく揺すぶられ、自分の興味や関心についてよく考えるようになる。昨年から今年の3月までアメリカのジョージメイソン大学へ留学。現在はアフリカなどにおける開発学を学ぶため海外大学院への進学を検討している。
水谷真緒 Mao Mizutani
上智大学国際教養学部卒業。高校時代はインターナショナルリーダーシップコースに在籍。大学在学中は、アメリカのジョージメーソン大学への交換留学、ワシントンD.C.での長期インターン、ネパールでの教育支援、学生向け講演会の開催等、アクティブに活動。現在は総合商社一年目で、新興国ビジネスに携わる。
加藤茉子 Mako Kato
国際教養大学4年生。高校時代は親の転勤のため、1年目は日本、2年目は韓国、そして3年目は中国のインターナショナルスクールで学ぶ。大学では、TEDxAkitaIntlUの創立、国連ユースボランティア、香港大学への1年交換留学、寮アシスタント(RA)等を経験。現在は、教育開発の分野に興味があり、大学院進学に向けての準備を進めている。

大学・学部の雰囲気や学びのことを教えて!

石丸:法政大学のGISでは、国際関係学、紛争学、言語学、社会学など、色々な学問を学ぶことができます。学部の半分ぐらいが推薦で入っているイメージですが、一般入試もあります。帰国子女が多いですね。授業はすべて英語なので、英語力はもともと高い人が多いです。

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水谷:水谷:上智大学の国際教養学部は、約90%が帰国子女と留学生で、授業はすべて英語です。比較文化、国際経営・経済、社会科学という三つの専攻分野では、自分の興味関心にしたがってその分野について深く学ぶことができます。入試は公募推薦と主に海外の高校やIB出身者用がありますが、一般入試はありません。私は公募推薦で受験しましたが、成績が平均7.5以上で、かつTOEFL79点以上が必要です。

加藤:国際教養大学でも、前の2人のように色々なことが学べます。ですからまだ「これを学びたい!」というような専門が決まっていない人におすすめです。多角的な視点が身につき、価値観の違いに気付きくことができます。グループワークが多く、クラスは少人数のものが多いので、アットホームな雰囲気で学びを進められますね。ちなみに国際教養大学は英語があまり得意でない人も大学1年生の時に英語が伸ばせるカリキュラムがあります。

留学:自分との対話、世界を肌で感じるチャンス

石丸:僕はアメリカバージニア州の大学に1年間交換留学でいきました。留学する、と決めた時に立てた目標があって、それは「自分の力がどのくらい通用するのかを試したい」というものでした。自分からサッカーのコミュニティーに入っていったり、あえてチャレンジングな課題のある授業を取りました。現地で感じたのは、学生の意識の違いです。日本の大学には入るのは難しいが卒業するのは簡単で、アメリカの大学はその逆というのを聞いたことがありましたが、本当に授業が大変でした。課題の量がとにかく多くて、、、でも周りの学生たちの熱意も全然違います、みんな「勉強しにきている」ので。当たり前かもしれませんが、日本でそれを感じれないことも多かったので、そんな仲間や友だちと一緒に勉強することで自分も成長できました。

水谷:私は大学2年から3年にかけて、交換留学でワシントンDCの大学へ留学しました。語学力の向上はもちろんのこと、異文化に順応するため、熱心な人たちと勉強するため、そして国際的な信頼関係を作るために留学をしたいと思っていました。行って感じたことは3つ。まず、「日本人としての自覚と誇り」です。大袈裟かもしれないけど、アメリカでは私が「日本代表」でした。政治のことや経済のことなど、日本のことについてたくさん聞かれ、その度に自分がもっと日本について勉強しなくてはいけないという思いと、また自分が日本に生まれたことに自信を持つようになりました。また様々なバックグラウンドの友だちができて、信頼構築には国籍関係ないと感じるようになりました。最後に、1人ではできないことも、周りを巻き込んで成功させることを学びました。留学費用も、奨学金制度に応募して受給することができ、また現地でも授業で悩んだ際には積極的に教授とコミュニケーションをとり、インターンの際にも現地での人脈を自ら広めていくなど、常に、自分の持つ限られたリソースを最大限に活用し、周りを巻き込んでいくことで高い壁を乗り越えてきました。

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加藤:国際教養大学では、留学は卒業に必須で、私は香港大学に留学していました。留学を通して日本のことをもっと学ぼうという意識が強くなりましたし、私も学生の学びに対する意識の違いを感じましたね。日本国内だと授業中もあまり発言の機会はないですが(だんだんと変わってきているようですが)、海外ではとにかく自分の意見を主張することが大事です。どちらが良い悪い、というよりもこういう学び方もあるんだ、と柔軟な発想が持てるようになりました。また外国語での学習によって以前よりも思考力がつき、さらに英語圏ではない国で学び生活することで適応能力を身に付けたと思います。2人も言っていた通り、大学の授業や課題についていく中で英語力は伸びていきますが、それ以外にも友達と英語で話すことが当たり前になるので、「英語の勉強」という感覚ではなくて、英語で生活して勉強していく中で英語力が伸びていったと思います。1つおすすめなのは、自分の勉強する分野の専門用語のノートを作ることですね。特殊な用語がたくさん出てくるとそれがわからないだけで大混乱しかねないので、私は作っていました。

高校生活:将来のチャンスを掴むための行動を

石丸:高校生活では、やはりニュージーランドへ留学(私費留学)したことが大きかったです。ここで僕は自分とは違う異文化の人たちと交流すること面白さや、自分の知らない世界の広さなどを感じました。そしてもっと世界について学びたい、と勉強に対して自分から興味や関心がわいてきました。今は海外にはいけませんが、僕たちの高校生の頃よりもオンラインのイベントやセミナーなどがたくさんあって、むしろ遠くの人と早く繋がれるチャンスがたくさんあります。ぜひ周りを見渡してそんな機会を有効に活用してほしいです。そして自分から、もっと知りたい、と思えるものを見つけてください。

水谷:大学入試で推薦を考えている人や、まだどんな風にするか決まっていない人は、とにかく普段から良い成績をとっておくことをおすすめします。なぜなら、成績がないと、せっかく目の前にチャンスが来ても、応募すらできないこともあるからです。
また、自分の熱意を大切にし、目標に対して自分ができることを最大限に実行してください。そのように前向きに行動すると、不思議と自分が思ってもいない程のパワーが出てきます。それで失敗してもいいんです。大事なのは挑戦することであり、人生において後悔しない道を選択することです。初めから諦めず、目標に対しての道のりを分析し、戦略を立て、計画的にすすめてほしいです。

加藤:私は高校が1年ごとに変わっていたのであまり参考にならないかもしれませんが、自分が各学校、各国でどんなことを学んだかを考え、自分を見つめなおす時間を取るようにしていました。自分の一つ一つの体験を大事にしたかったからです。皆さんも、1つの学校に通っていても毎年、毎月の体験は違うはず。なので時々自分を振り返る時間を作ることをおすすめします。

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これからの未来に向けて

石丸:将来は世界で活躍できる人材になりたい、と考えています。また大学で興味を持った開発学をもっと勉強したいと思っていて、現在は海外の大学院へ進学準備を進めています。

水谷:現在は総合商社で新興国ビジネスに携わっています。これから先も、自分自身に足りないところを積極的に埋めていくと同時に、新興国や途上国をはじめとする国々の未来を持続的なビジネスの観点から、そして、現地の人々と共に、実現していきたいです。

加藤:私も大学院への進学を考えています。ちなみに国際教養大学というと外資系企業に就職するイメージがあるかもしれませんが、もちろん外資系企業の就職する人もいますが、様々な業種・業界でみんな活躍しています。

最後に一言

石丸:高校での成績は重要になってくるので、ぜひ頑張ってください!また何事にも挑戦していってください。

水谷:大学に進学することがゴールではない、ということを忘れないでください。大学進学はあくまでスタートであり、大切なのは、そこで何を学ぶか・経験するかです。とにかく行動し、自分から何かを求めに行くこと。そして、自分の可能性を決めつけないこと、これを大事にしてください。

加藤:受験は辛いですが、一人だけではなくて同じように苦しんでいる人たちがいっぱいいるので、安心してください。多くの学校をみて、それぞれの良いところを探してください。


ということで、初めての開催でしたが、たくさんの方にご参加いただき、本当にありがとうございました。事務局としてもこの会の意義を改めて感じることができました。アンケートの分析noteもこれから作成しますが、改善点はたくさんありそうです。参加者の方から改善のためのポイントをいただくことができましたので、次回にぜひ活かしていきたいと思います。(今回のレポート作成にあたり、大学生サポーターの髙田空也くん、三浦優太くんにご協力いただきました。ありがとうございました!)

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