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近場で「赤」を探す旅

以前から「赤」が好きだが、還暦ということもあるのか今は余計気になる。

ならもっと追求してみようと、現在取り組んでいるムサビ通信の卒業制作は、赤い絵が中心だ。部屋の中で、100号サイズがどんどん赤くなっていくのは、うっかりすると事件現場のようでまったくスリリングだ。

また、絵具の乗せ方や、赤の中でも様々な赤があり、選び方で全然違うものになるのはとても興味深い。

そんなこんなで、気づくと日常でもふと「赤」を探している気がする。

今日は、友人とランチがてら車で30分ほどのちょっとした遠足を楽しんだ。東京は急に冬が来たような、どんよりと肌寒い日だった。緑が勢いをなくす中、折々に目に飛び込む赤にハッとさせられる。

普段、どれだけぼんやりとしか世界を見ていないか。

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ランチをいただいた農家料理「高宮」は、多摩丘陵の坂の途中にあった。窓の外には竹林が広がり、ゆずとレモンがたくさん実っていた。

ほんのりピンクの桜塩が振られている

ほとんどの食器は漆塗りで、何代も受け継がれた赤は、朱がほんのり混じる落ち着いたものだった。触れる感じも柔らかく、漆のはげたデコボコがかえって古いものを大切にしているようで嫌な気持ちにならない。

食べるということは目も鼻も、すべてを動員するのだと。そして、日本の伝統は身体性を共振させるんだなあ、となんだか深く納得した。

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11月の木曽ではすでにピークだった紅葉も、お江戸東京、まだまだ美しさを競っている。

薬師池公園の紅葉

赤から黄色、そして黄緑へとつながるグラデーションは、いつ見ても本当にため息が出る。幹や枝の黒さがさらに画面を引き締め、絵を描くヒントはここにもあった。

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農家の庭先で飼われている木曽馬。母娘二頭はおそろいの赤い無口をつけてもらって、おしゃれだ。夏には、開田高原に避暑に帰るという。いいなぁ、そういうの。大切にされている存在は、誰だって等しく大切なんだと無言で語りかけてくる。

こちらは母さん馬

「こないだ、あんた達の故郷に行ってきたよー!」というと、んじゃちょっと、ふるさとの話でもしようか、と言わんばかりにこちらに来てくれた。木曽馬は、主に女性が大切に育てる風習があって、だから温厚で働きものなのだと木曽に行った時、何かで読んだ。多摩の木曽馬も人なつこくて温厚だ。


同い年くらいかな?


一日でいろんな赤を見つけたけど、
まあ結果として、一番赤いのは自分だった、という、、、

これからも、赤く生きよう、と決めた60初冬の一日。笑


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