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冬の気象 宇宙から見る不思議な模様 JPCZとカルマン渦など〜しぜんのかがくep.28 防災豆知識〜低体温症に気をつけよう

前回は冬の気圧配置による北風の影響についてお話をしました。

冬の北風は寒さをもたらすだけでなく、宇宙からの目で見ると北風で現れる雲の動きで気象現象ががわかりますし、面白い現象(デザイン)が見えることもあるんですよ。

宇宙の目、気象庁の静止衛星ひまわりの画像が気象庁のホームページで見られますので、こちらの画像を見ながらご紹介します。

※静止気象衛星ひまわりは現在9代目。雲などの観測を宇宙から行っています。 この衛星は、赤道上空約 35,800 kmで、地球の自転と同じ周期で地球の周りを回っているため、いつも地球上の同じ範囲を宇宙から観測することができます。

冬型の気圧配置になると、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」が発生します。JPCZとはJapan sea Polar air mass Convergence Zoneの略です。

シベリア高気圧からの風が中国と朝鮮半島の境目にある長白山脈(標高2000m級の山が連なる)で2手にわかれ、日本海で合流します。そして、帯状の雪雲が次々に発生するんですね。日本海側の地域に大雪をもたらす可能性があります。
※長白山脈には、白頭山(ペクトゥサン)という標高2744mの山が最高峰で、朝鮮民族発祥の地とも言われる聖地だそうですよ。日本の富士山みたいですね。

日本気象協会サイトより https://tenki.jp/forecaster/r_fukutomi/2022/12/15/20974.html

今年の11月24日にこのJPCZが気象庁の静止衛星ひまわりの画像で見ることができたんです。そして、その時、同時にチェジュ島付近で「カルマン渦」が見えました。
ウズウズしていて面白い模様ですよね。

気象庁の画像に加筆

カルマン渦とは、流れがある物体に当たり、その周りを流れた空気が条件が揃うと風下方向に渦が交互に生まれます。カルマン渦という名前は、ハンガリーの工学者(航空工学)であるセオドア・フォン・カルマンさんからです。1911年に理論的に証明しました。

カルマン渦の模式図

墨を使った実験でも簡単にできたので、以下動画をご覧ください。


カルマン渦は気象現象以外にも笛のなる仕組みでも生まれる渦になります。
科学の眼No.569「管楽器の発音原理」 (姫路科学館サイエンストピック)

吹き込んだ息が吹き口の断 面に当たって、外に出る息と中に入る息との2つに分かれます。分かれた息が渦を作り、 空気の振動を起こすことで音が出ます。この渦のことを「カルマン渦」といいます。 ペットボトルなどの口に、角度をつけて息を吹き込むと汽笛のような 音が鳴るのと同じ原理

また、冬にはもう少し見てみると、面白い模様が見られることもあります。
これは、べナール対流でできます。フランスの物理学者アンリ・ベナールが、1900年に発見しました。
べナール対流は、みんな身近に見ている現象なんですよ。味噌汁です。

蜂の巣型のドーナツ🍩の形をしたオープンセルと、クローズドセルがあります。セルというのは、細胞です。
オープンセルは、寒気が流入している時に発生します。主に対流雲で構成されています。つまり、オープンセルは、気温と海面水温の温度差が大きいときに発生することが多く、この付近で強い寒気移流があることを示唆しています。なお、次第に寒気が弱まってきますと、オープンセルからクローズドセルへの変化が見られることがあります。

クローズドセルは主に層積雲で構成されています。つまり、気温と海面水温との温度差が小さいときに発生することが多く、寒気の流入が弱い場合に発生することが多いです。
ウロコ雲(上層雲)、ひつじ雲(中層雲)がそうですね。※高さによって呼び方が違う。

気象衛星センター

https://www.data.jma.go.jp/mscweb/ja/prod/pattern_08.html

オープンセル(O)、クローズドセル

防災豆知識〜低体温症に気をつけよう

1月1日の能登半島地震で被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。冬の寒さが過酷な中避難生活を送られていることと思います。以下の記事は、「低体温症」について知りたい方向けに、防災の備えとして参考にしていただければと思います。

低体温症というと、登山で起こりそうなイメージですが、自宅などの室内でも低体温症になるリスクがあります。

低体温症とは、体の深部体温が35度以下になった場合に脳卒中や意識障害を引き起こし、最悪の場合死に至る症状です。

体温には2種類あり、「皮膚体温」と「深部体温」があります。通常体温計で測定する体温は皮膚体温ですね。深部体温は体の中心部の温度で季節に関わらずに一定に保たれています。

どういう状況で低体温症になるのでしょうか?

まず災害時には、冬の季節など気温が低い時に停電して室内の温度が保てなくなったり、大雨や津波で体が濡れた状態のままの場合です。
気温が18度以下となると人は寒いと感じるようです。

低体温症の初期症状には、体が激しくふるえる(シバリング※筋肉を収縮させ熱を作ろうとする生理現象)、歯がカチカチ鳴るなどがありますが、そのまま症状が進むと、動作が遅くなったり、思考がぼんやりしたり判断力が損なわれていきます。

これらの症状はゆっくり現れるため、本人も周囲の人も何が起こったかなかなかわかりません。転んだりフラフラとしたり、横になることもあります。
さらに冷えが進むと震えが止まり動作が遅くなり昏睡状態になります。
映画やドラマで「起きろ!寝てはいけない!」というのはこのあたりかもしれません。すでにかなり危険な状態ですね💦

そのうち、心拍や呼吸が遅く弱くなり心臓が停止します。体温が約31℃°を下回ると死に至るおそれがありますが、死亡例の大半は体温が約28℃を下回った場合だそうです。

それでは、どうすれば良いのでしょうか?

・衣類の工夫です。濡れた服はできたら着替えた方がいいでしょう。周りが乾燥していると水は揮発熱でどんどん熱を奪っていきます。着替えられない場合は、ウールやポリプロピレンの合成繊維の素材は濡れても保温効果があるそうです。(※ウールは濡れると「吸着熱」を発します。 熱伝導率が低いため体温が奪われにくく、濡れても糸に弾力性があり、潰れずに繊維間の空気を保持するので保温性を失いません。 さらに繊維内部に吸水する性質があり、肌面から水分を吸い上げドライな着心地が続きます)登山用にウールの下着など販売していますね。
・また、体温を保持するために衣類の重ね着や帽子、手や足を覆うことも重要です。
・温かい食べものや飲みものをとるようにしましょう。食べものは燃焼のための燃料となり、温かい飲みものによって体が直接温まり、また脱水が予防できます。以前もお話ししましたが、災害でライフライン停止の場合、カセットコンロはやはり必須ですね。
・カイロや湯たんぽなどで暖を取ることも必要です。ep.22「冬の寒さの備え」でも紹介しましたので、あわせてご覧ください。

また、特に!新年会でアルコールを泥酔するほど飲んでしまう可能性のある人は要注意です。アルコールは皮膚の血管を広げるため、一時的に体が温まったように感じますが、実際にはより多くの熱を放散させます。
寒い部屋やお風呂でそのまま寝てしまったりしないようにしてくださいね。

また、特に高齢者は体温を保ちにくいため、(体の中心部に効率よく血液を戻せない。震えなどで体温を上げることが難しい。体を動かさない等あるため)、気をつける必要があります。

⭐️Podcast本編はこちら↓宜しければお聴きください♪
神田沙織 がりれでぃ スピンオフ
ナチュラル・サイエンス・ラボ
しぜんのかがく






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