甥っ子が残していったもの。
甥っ子が実家に帰ると決めた翌日の夕方。
私はまだ仕事中で帰宅前だったのですが、珍しく甥っ子から電話がかかってきました。どうしたことか??
「パパと電話で話した。今から実家に帰るけん。」
「え!?今から??荷物は?」
「とりあえず必要な教科書だけ持って帰る。あとはパパが休みの日に取りに来る。」
「夕飯は?」
「実家で食べるけん、いらん。」
甥っ子よ、昨日の今日でそんなに慌てて帰らなくていいじゃないか。牢獄からの脱出じゃないんだぞ!?今夜は君の決断を尊重して応援しようと、君の好きな蟹を解凍しているというのに。おまけにケーキまで買っているというのに。
「じゃあ、冷蔵庫にケーキ買ってるから、それだけでも食べて帰ったら?」
「うん。」
ガチャ。ツーツーツー。この虚しさは一体なんなのだろう。
仕事を終えて、帰宅したのは19時頃。玄関に入ると既に甥っ子の気配はありません。一応名前を呼んでみますが、返事はない。
本当に逃げるように帰ってしまったんだな。そんなにウチが嫌だったのか。せめて1年お世話になりましたって挨拶くらいしてもいいじゃないか。夫も私も一生懸命に甥っ子を育てたというのに。
テーブルやシンクに使った皿やフォークがなかったので、ケーキも食べずに帰ったのかと、ふとゴミ箱に目をやると、ショートケーキをくるりと包む透明フィルムとトレーが捨ててありました。
あいつ、ケーキを立ち食いして、慌てて帰ったんだな。
我が家に居候して1年、甥っ子が残していったものはケーキのゴミだけでした。お世話になりました!のメモ紙くらい残していけ~!!!
つづく。
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