真実は、美しいとは限らない

米澤穂信さんの小説「真実の10メートルの手前」は、フリージャーナリストの太刀洗万智が取材を通して真実を明らかにしていく短編集です。事件の謎が解けて、犯人が判明して、一見落着とは、少し違います。

真実が明らかにされると、それほど「美しいもの」ではないことが分かります。

真実って、美しいとは言えるものばかりじゃない。

ドロッとしているんだよ。明らかにして、スッキリしないものもあるんだよ。あえて、そういうものを示してく姿勢を、著者が持っているのだと思います。

マスコミによってつくられる「美談」「バッシング」に対して、冷ややかに見ている著者の視線も感じます。

主人公は、太刀洗なのですが、各短編は、それぞれの事件で太刀洗に関わった人が語るスタイルで書かれているのも、視点が変わって面白かったです。米澤さんの作品は「満願」「王とサーカス」も面白いけれど、まずは、最初のこの作品がお勧めです。

「真実の10メートル手前」https://amzn.to/2SM2hmw



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