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スタートアップCOOが、市場選択について考えた一年

どうも、Acompanyの佐藤です。
この記事は アカンクリスマスアドベントカレンダー2023 34日目 の記事です。

昨年のアドカレでこんな記事を書きましたが、またあっという間に一年が過ぎました。

振り返ってみれば、この一年でさらにいろいろなことがありました。ありがたいことに、「順調に成長していますね」と言われることもありますが、個人的には全然そんなことはなく、日々たくさん葛藤し、迷いながら今に至っていますし、今でもいろんなことに格闘中です。

この記事では、その中で考えていた、市場選定に対する考え方を書いておきたいと思います。

同じようなスタートアップで戦略を考える方々が、Acompanyがどのような考え方で事業開拓を進めているか、参考になれば幸いです。

市場選択は、企業にとってめちゃくちゃ重要

スタートアップに限らずですが、「どの場所で戦うか」は企業にとって非常に重要ですし、特にスタートアップの場合はリソースに大きな制約がある中で、スピードを意識して戦っていく必要があるので、市場選びはとても重要です。

以前読んだ本に、「企業が儲かる要因には、どこに身を置くかが非常に大きな影響を及しており、経営戦略などは影響が非常に小さいかもしれない」という記述がありました。

経営者の力量、カルチャー、経営戦略などもとても重要だと思っていますが、戦略の前提として、「自分たちがどこに身を置くか」は企業成長において最も重要になる可能性がある、ということです。

逆に言えば、「どこに身を置くかを間違えると、企業の価値は十分に大きくならない」リスクがあるということです。それぐらい、経営課題としてとても重要なものです。

(ちなみに、この本は経営学を統計等から科学的に捉え直すという観点で、読んだ当時、すごい目から鱗でした。おすすめです。)

とにもかくにも需要が大事

そもそも、この記事を書こうと思ったのは、これを読んだからです。

僕も「市場選択する上では、需要がないと、何も始まらない」と考えています。

Acompanyの場合、プライバシーテック領域を事業の中心に捉えていますが、これも大きなトレンドとして「プライバシーが社会課題であり、それは今後も確実に進行する」ことが背景にあります。

このようなマクロトレンドも含め、社会的に需要がないと、なかなか事業の発展は難しいと考えています。仮に、一時的なブームで研究や投資が動いたとしても、やはり社会的な価値が出ないと事業としては続かないと思います。

ただ、世の中には「なんとなく需要がある」というテーマはゴロゴロしています。

これが結構厄介で、「なんとなく需要がある」ものは、いろんな人から関心も得られますし、話も聞いてくれます。ただ、肝心なところでビジネスにはなりません。ここには大きな壁があります。

そのため、需要を感じたら、解像度を高めることが大事です。

Acompanyの場合、例えば秘密計算ソリューションを作ったとき、100社近い顧客と話しました。みなさん、興味は示してくれるのですが、そこで話は終わってしまいビジネスには進まないパターンばかりでした。そこで、以下のような方針に転換した過去があります。

このように、まずは需要を起点に考えるべきだと思いますし、察知した需要は具体的に確認し、検証していくことが重要です。

会社のミッションの”広さ”も大事

ニーズがあるといっても、なんでもやれば良い、というわけにもいきません。会社のリソースは有限ですから。

そのような時に、どのようなニーズに応えていくのか?を決める上では、やはり会社のミッションが重要になります。

AcompanyのBHAGは「2035年までに世界No.1の偉大なプライバシーテックカンパニーになる」です。

このBHAGの内容は、具体的で狭くなりすぎず、かといって経営リソースを散逸させない程度にフォーカスを絞る、という点でうまく機能しています。

このようなイメージがあるので、何かニーズが出てきた場合も、「これは自分たちの将来の方向性から外れそうなので、別のアプローチを考えよう、あるいは撤退しよう」というような判断もすることが可能になります。

これまでも幾度か、そういう時がありました。このBHAGのおかげで、これまで比較的迷わずに、Go / Not Goを選択できている気がします。

自分たちが勝てそうなフィールドを定義する

需要がある程度見えてきたら、改めて”市場”というものについて考えてみます。顧客は”実際には何を欲しているのか?”や、競合と比べた時に”自分たちがどこに優位性を作れるか?”という視点です。

これは、3C分析で整理するとわかりやすいです。このフレームワークは、シンプルかついつも冷静な思考を与えてくれるので、個人的には好きです。

特に自分が意識しているのは、いろんな観点で価値や競争の軸を考えてみることです。サービス単体もありますし、企業全体という整理もあると思います。様々な次元で比べてみることで、自分たちの強みや弱みを再認識し、次の打ち手を考えることができます。

Acompanyの場合も、顧客からの評価ポイントの理解に努めて言語化することで、事業のあり方・組織構造などをどんどん見直してきました。

需要と市場のタイミングとの関係を考える

事業活動していくと、需要についても大小含め、様々な種類のものと出会います。それらのニーズが、市場の中でどういう位置付けになるのか、というのもよく考えます。

わかりやすいフレームとして、キャズム理論があります。

このように市場のタイミングを意識することで、「今のニーズはどのステージにあるのか?」を考えることができます。「今はまだ限られたプレイヤーしか認知されていないから、もう少し時間がかかる」と考えます。

特に重要なのは、複数のニーズを相対的に捉えることだと思っています。簡単な例では、「同じソリューションでも、こちらの業界は早く進んでいて、あちらの業界はまだ時間かかる」というような捉え方です。それによって、今後どのようなスピードで市場が成長していきそうか?というのも考えることになりますし、それによる会社のリソースの掛け方も変わってきます。

経営資源を蓄積していけるか

事業選択を考える上で、「今やっていることが、将来的にどう積み上げられるか?」を意識しています。

スタートアップの場合、先々まで見通すことが難しい場面が多いかもしれませんが、それでも、日々踏み出す一歩は、将来に続く大きな道に向かっていってほしいと思っています。

なので、会社の経営資源で行うことは、無形・有形問わず、将来につながる資産となるような形を理想としています。

これを実現するためには、これまで述べたような観点に加え、「自分たちがどのような形で市場へサービスを提供するのか」という、具体的な普及手段についても想像を働かせる必要があります。

自分たちの事業がどのような形で普及していくのか?を具体的にイメージすることで、「そのような状態になるためには、今の行為がどのように影響するのか?」を考えることにつながります。

リクルートの出木場社長が、こちらの記事でこのように語っていました。

たとえば、空飛ぶ車をつくろうとしている企業があるとしますよね。経営者が「空飛ぶ車で人々の移動を自由にしたい」と。僕は「その車は駐車場では浮いているのか、それとも地面に置いてあるのか」「鍵はどんな鍵なのか。スマートフォンで開けるのか、あるいは近づくと自動で開くのか」「空に信号はあるのか」といったことをどんどん聞いていくわけです。

https://www.fastgrow.jp/articles/idekoba-saijo

この記事を読んでから、この表現がすごい心に残っています。自分たちが実現したい世界を、どれぐらいの解像度で描けるか?は、自分たちの選択に大きな影響を及ぼします。

不確定な未来ではありますが、それでもできるだけ具体的に考えてイメージし、そのような世界につながるような行動を選んでいきたいと思っています。


以上、普段自分が考えている観点のご紹介でした。このように、さまざまな観点で市場やニーズについて、日々考えてきましたし、今でも日々考えています。このように複数の軸を持っておくと、簡単に「これいいんじゃないか?」みたいな流され方はされづらくなるはずです(といっても、それなりに判断を外したりしてますが・・・)。

これからも、Acompanyの成長に合わせて市場ポジションをどう取るかを深く考えていこうと思います。

Acompanyでは事業開発を募集しています!

お決まりの告知ですが、Acomapnyでは事業開発を募集しています。

プライバシーテックの市場は面白いぐらいに盛り上がってきていますが、まだまだ新しい市場を作る過程です。そのため、ここを一緒に開拓してくれる仲間を募集しております。

興味ある方は、ぜひカジュアル面談から話しましょう。

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