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資本主義と環境危機

どうも、reiichiです。

今回は、

資本主義が引き起こす環境危機について書きます。

よろしくお願いします。


資本主義の目的

資本主義の本質は

生産手段を通して商品を生産し、

それにより利潤を拡大させることである。


したがって、

あらゆる生産活動は

利潤を発生させるためにあり、

その利潤は生産手段の強化などを通じて

さらなる利潤を追求するために使用される。


その利潤拡大を支える要素の一つが地球環境であり、

地球環境が提供する資源を用いて労働を行うことで

生産活動が可能になる。


物質代謝

マルクスは人間と自然の関係を

物質代謝という概念を用いて論じた。


まず、人間は自然環境を媒介して

労働や生活を行い、

その自然環境は長い時間を経て回復する。


人間がその自然の回復力の範囲内で

活動を行うことで

自然と人間、

お互いが調和的な関係を保つことができる。


物質代謝の亀裂

しかし、

資本主義社会における利潤の追求の欲望からすれば

自然環境が利潤を発生させる要素である以上、

その回復力の範囲を超えた経済活動が行われる。


よって、

利潤の追求のための

自然環境の過剰な搾取が

人間と自然との調和的な関係を破壊する。


この現象を物質代謝の亀裂と呼び、

資本主義における利潤追求が続く限りは

物質代謝の亀裂を回避できない。


緑の資本主義について

現代社会において環境問題が深刻になっている今では

「緑の資本主義」となるものが注目されている。


これは、

資本主義の構造を保ちながら

環境保護を実施しようとする試みである。


しかし、

資本主義と環境保護は果たして両立できるのだろうか。


経済成長と環境保護

資本主義において求められるのは

無限の利潤拡大であり、

それに伴う経済成長である。


したがって緑の資本主義は

環境保護と同時に経済成長を追求するものだ。


しかし、

環境保護と経済成長の両立が可能になるためには

経済成長と環境の分離、

すなわち「デカップリング 」が必要である。


残念ながら、

経済成長の増加は

さらなるエネルギーや資源の消費、

温室効果ガスの排出と相関しており、

デカップリング が現在においても、

あるいは将来においても実現できるかどうかは

考えられないのである。


すなわち緑の資本主義は、

その構造からして

矛盾を含んでいるシステムである。


環境クズネッツ曲線

それでも、

資本主義がもたらす生産力の劇的な向上が

自然環境を保護できるようになると

緑の資本主義を援護する者は主張する。


その根拠の一つとなっているのが

環境クズネッツ曲線である。


環境クズネッツ曲線は

GDP成長と環境負荷の度合いの関係性を示しており、

GDPが成長すれば

初めは環境への負荷が増加するが、

さらにGDPが成長し、

ある転換点を超えれば

逆に環境への負荷が減少することを示している。


しかし、

環境クズネッツ曲線は

先進国での傾向を表しているだけに過ぎず、

その先進国が実際は

環境破壊を外部に転嫁していることを無視している。


帝国型生活様式

帝国型生活様式とは、

先進国における豊かさが

グローバル・サウスの人々や環境の搾取の上で

成立していることを示している。


スマートフォンを大量に生産するために

アフリカからレアメタルを大量に搾取しているのが

その例である。


グローバル化が進むことで

企業の経済活動は国境を超えた。

それにより、

世界中のフロンティアを利用して

生産活動を活性化させた。


先進国が利潤を拡大させるために

グローバル・サウスへと経済活動圏を拡大し、

人間ら環境を自らの豊かさのために

過剰に搾取しているという構造が

まさに「帝国的」であり、

帝国的な構造は

利潤を増加させるために

いかなるフロンティアをも開拓する

資本主義がもたらした結果である。


もちろん、

地球環境は有限であるから

帝国型生活様式による「豊かさ」は

持続不可能である。

しかしその実態は日常生活の中で気づくことはできず、

まったく認識されていないので、

無限の経済成長を基盤とした豊かさを

これからも続けることが可能であるという幻想が

世論を支配している。


地球の資源は有限であり、

経済成長には限界があるので

資本主義を永遠に続けることはできない。

逆に、

資本主義が続けば続くほど

環境は破壊され、危機が悪化しする。


こんな自己破滅的なシステムであるのにも関わらず

なぜ資本主義を続けようとするのか。

そして、なぜ資本主義から抜け出すのが困難であるのか。


資本主義から抜け出せない理由とこれから

資本主義から抜け出せない理由は、

資本主義が提供する生活様式が

「豊かさ」の条件となっているからだ。


多くの商品を生産し、利潤を増加させる。

多くの商品を消費し、欲望を満たす。

より安く。より多く。

これが資本主義社会における豊かさの条件となっており、

これが「当たり前」となっている以上、

資本主義から抜け出すことはできない。


しかし、

地球環境の有限性は

経済成長の限界を示しており、

資本主義社会における「豊かさ」は

持続不可能である。


だからこそ、

「緑の資本主義」という自己矛盾を含んだシステムではなく、

そもそも「資本主義」に疑問を持ち、

「豊かさ」の定義に変革をもたらすような

新たな社会経済システムを構築する必要がある。


そのシステムがいかなるものか、

そしてどのように到達するかについては

今後の研究を通して考察を深めていきたい。



参考にしたもの

斎藤幸平(2020)『人新世の「資本論」』集英社新書

ウルリッヒ・ブラント、マークス・ヴィッセン(2021)『地球を壊す暮らし方 帝国型生活様式と新たな搾取』(中村健吾・斎藤幸平訳)岩波書店


Parrique T., Barth J., Briens F., C. Kerschner, Kraus-Polk A., Kuokkanen A., Spangenberg J.H., 2019. Decoupling debunked: Evidence and arguments against green growth as a sole strategy for sustainability. European Environmental Bureau.



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