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「勝つための教育」以外に「負けたときのための教育」がもっとあってもいいと思います

企業で行われる人材育成の施策は基本的に「勝つ」ことが目的です。

例えば、論理的思考や問題解決、目標管理といったスキルを学ぶのは個人が成果を出して勝つことが目的であり、結果的に組織として勝つことにつながります。

一方で以下のような「負けることを前提にした研修」を私は聞いたことがありません。

  • 目標が未達成に終わったときの対処法

  • 人に思い切り嫌われたときの振る舞い

  • 同期より出世できなかったときの心構え

  • 会社の業績が悪化して給料が下がったときの対応

あえて露骨な書き方をしていますが、要はよくある「目標を達成するための研修」、「部下と良好な関係をつくるための研修」、「昇進するための研修」、「会社の業績を上げるための研修」の逆バージョンと思っていただければ幸いです。

こんな縁起でもない研修を行う企業がもしこの世にあるとしたら相当変わっている会社かもしれません。

ただ、現実的に考えて毎回目標を達成し、誰からも好かれ、とんとん拍子で出世し、会社の業績も右肩上がり、なんて人はほとんどいません

世の中の多くの人は以下のことに悩まされているのが現実だと思います。

  • 目標を達成できずに上司に詰められ

  • 他人との人間関係がギクシャクし

  • 頑張っても思い通りに昇進できず

  • 会社の業績が下がれば給料も下がる

大相撲に例えると人生を15戦全勝で行ける人はほとんどなく、8勝7敗でも充分成功者で、2勝13敗や1勝14敗といった人も少なくないと思います。

では負けたときどうすればよいか?と言われると、結局は「自分で何とか乗り越えろ」となってしまいます。

そうなると自力で乗り越えられる人や、、「別に負け続けてもいいや」と端から乗り越える気がない人はいいのですが、乗り越えられない人は潰れてしまいます。(勝ち負けに執着しない人もそれはそれで貴重な存在です)

「勝つこと」はもちろん難しいことですが、「負けを乗り越える」ことも充分難しいことなので、教育などのサポートがあってもいいかもしれません。

例えば世の中には一定数の「意地でも負けたくない人」がいらっしゃいます。それはそれで素晴らしい資質だと思いますが、行き過ぎてしまうと弊害もあります。

このような人もどこかで他人に負けるときがありますが、「負けを受け入れる」ことができないと立ち直れない可能性があるので、勝ち続けている間も「負けたときのこと」を考える練習をしてもいいと思います。

どんなに優秀でもどんなに努力しても、負けるときは負けるので、そこからどうするかが人としての真価を問われる気がします。

個人的には「常に勝負に勝て!」とは思いませんし、勝負から降りてもいいと思いますが、不本意な負けをしたときに道を踏み外して後悔しないためにも、負けたときに備えることも意義があるのではないかと考えています。

今回もお読みいただきありがとうございました。


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